本がひらく

NHK出版の書籍編集部が、多彩な執筆陣による連載小説・エッセイ、教養・ノンフィクション読み物や、朝ドラ・大河ドラマの出演者や著者インタビューなどをお届けします。新刊情報も随時更新。ときどき編集部裏話も!

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記事一覧

    • 古賀及子「これも詩ということにする」第3回

      駅のホームから、今日の見送りの合図を 昨年のクリスマスの翌日、中学生の娘と居間でテレビを観ていたら、がらと台所に続く引き戸が開いた。  パン!  破裂音がして、細い赤の紙のテープが居間の中空をひらひら舞ってちゃぶ台に着地する。薄く煙のにおいがした。学校から帰ってきた高校生の息子が、登場するなりクラッカーを鳴らしたのだ。  ちょっとまて、なになに、どうしたどうしたと、ざわつきながらも、友達とやるんだといっていたクリスマスパーティーで余ったクラッカーを持ち帰り、おもしろがっ

      古賀及子「これも詩ということにする」第3回

      • 今度は自分が君の救いになりたい。「休息になるから」――《こどく、と、生きる》統合失調症VTuber もりのこどく

        「同じ病で苦しむ仲間とつながりたい、救いたい、当事者以外の人たちにも病気のことを知ってほしい」という思いでVTuberになり、配信を通してメッセージを伝え続けるもりのこどくさん。高校生で統合失調症になった彼女がいかにしてVTuberになったのか、その足跡を綴ったエッセイ連載です。 ※#0から読む方はこちらです。 #43  休息になるから こどくは、じつは大のVTuberファンである。活動上でもあまり話さずにいたが、いわゆるVTuber黎明期と呼ばれる時代からVTuberを知

        今度は自分が君の救いになりたい。「休息になるから」――《こどく、と、生きる》統合失調症VTuber もりのこどく

        • 新しい人と関わることで新しい世界の扉が開いていく。「未知なる料理のオンパレード。メキシコのお母さんが作る家庭料理」――料理に心が動いたあの瞬間の記録《自炊の風景》山口祐加

          自炊料理家として多方面で活躍中の山口祐加さんが、日々疑問に思っていることや、料理や他者との関わりの中でふと気づいたことや発見したことなどを、飾らず、そのままに綴った風景の記録。山口さんが自炊の片鱗に触れ、「料理に心が動いた時」はどんな瞬間か。前回に続いてメキシコ滞在中の山口さん。日本でできた縁と交わした約束が今回の旅の目的のようです。 ※第1回から読む方はこちらです。 #25 未知なる料理のオンパレード。メキシコのお母さんが作る家庭料理 前回に引き続き、メキシコに滞在したと

          新しい人と関わることで新しい世界の扉が開いていく。「未知なる料理のオンパレード。メキシコのお母さんが作る家庭料理」――料理に心が動いたあの瞬間の記録《自炊の風景》山口祐加

          • 宮島未奈『モモヘイ日和』第11回「モモヘイを描いてみた」

            24年本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』の作者・宮島未奈さんの新作小説が「基礎英語」テキストにて好評連載中です。「本がひらく」では「基礎英語」テキスト発売日に合わせ、最新話のひとつ前のストーリーを公開いたします。 とある地方都市・白雪町を舞台に、フツーの中学生・エリカたちが巻き起こすドタバタ&ほっこり青春劇!  メイサに別のポーズのモモヘイを描いてほしくて、わたしとミサトは署名を集めはじめた。同じバスケ部の子たちや、クラスの仲の良い子、それに「白雪町をよくする会」のメ

            宮島未奈『モモヘイ日和』第11回「モモヘイを描いてみた」

            • けれど大切にしてこなかったのだ。――「愛がありふれている #5」向坂くじら

              いま、文芸の世界で最も注目を集める詩人・向坂くじらさん。「本がひらく」連載で好評を得た、言葉の定義をめぐるエッセイ「ことぱの観察」の次なる連載テーマは「愛」。稀有なもの、手に入りにくいものだと思われがちな「愛」はどのようにありふれているのでしょうか。向坂さんの観察眼でさまざまに活写するエッセイです。  マグカップにひびが入っていると気がついたのは朝、コーヒーを飲んでいるときのことだった。白い陶の側面に、うっすらと細い線が走っている。コーヒーがみるみる黒く染みていくように見え

              けれど大切にしてこなかったのだ。――「愛がありふれている #5」向坂くじら

              • それは好かれたくもなる!「目に見える笑い声」――昆虫・動物だけじゃない、篠原かをりの「卒業式、走って帰った」

                動物作家・昆虫研究家として、さまざまなメディアに登場する篠原かをりさん。その博識さや生き物への偏愛ぶりで人気を集めていますが、この連載では「篠原かをり」にフォーカス! 忘れがたい経験や自身に影響を与えた印象深い人々、作家・研究者としての自分、プライベートとしての自分の現在とこれからなど、心のままにつづります。第22回は篠原さんが愛してやまない、一緒に暮らす生き物たちについてのお話です。 ※第1回から読む方はこちらです。 #22 目に見える笑い声 昨年末から、再び、ネズミと暮

                それは好かれたくもなる!「目に見える笑い声」――昆虫・動物だけじゃない、篠原かをりの「卒業式、走って帰った」