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NHK出版新書

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ビジネス、哲学、時事、環境、教育、宗教、美術、科学……多彩なジャンルを深くわかりやすく伝えるNHK出版新書の関連記事をラインナップ。
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記事一覧

行動遺伝学がもたらしたパラダイム転換とは?!「残酷すぎる世界」との向き合い方を論じた決定版。

知性、能力、性格、そして運まで――。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないということだった。私たちは、残酷すぎる世界の真実といかに向き合うべきか。 人気作家の橘玲氏と、行動遺伝学の第一人者である安藤寿康氏が、知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方までを論じ合った本書の発売を記念し、安藤氏による「あとがき」を特別公開します。 遺伝を取り巻く「闇」と「光」 行動遺伝学については2000年に『心はどのように遺伝

人間と生命を読み解く解像度が格段に上がる! 慶應SFC人気教授による目ウロコの講義

生物学者の黒田裕樹さんによる新書『希望の分子生物学 私たちの「生命観」を書き換える 』が発売となりました。 分子生物学という分野は、医療、産業、環境など社会へ広範な影響を及ぼすだけでなく、生物学的な〈わたし〉という存在への理解を深めるのにも役立ち、人間と生命を読み解く解像度が格段に上がると著者は言います。 今回はその発売を記念し、内容の一部を特別公開します。 はじめに 私が慶應義塾大学において実施している授業の中でも、最も人気がある授業が毎年9月末から1月半ばにかけて行われ

知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方まで。人気作家と第一人者が徹底的に論じる!

知性、能力、性格、そして運まで――。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないということだった。私たちは、残酷すぎる世界の真実といかに向き合うべきか。 人気作家の橘玲氏と、行動遺伝学の第一人者である安藤寿康氏が、知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方までを論じ合った本書の発売を記念し、橘氏による「まえがき」を特別公開します。 誰も「遺伝」から逃れることはできない どんな質問にも人間と区別のつかない返答をする生

神を裁く者、その名は…… ”あなたのキリスト教観が180度変わる”類書皆無の宗教論!

ストラスブール大学神学部出身の神学者加藤隆さんが、自身の研究の集大成として世に放つ新書『キリスト教の本質 「不在の神」はいかにして生まれたか』が発売となりました。 全世界で22億5000万人もの信者を有する一大宗教であるキリスト教。しかし、その実態について、日本人のほとんどが理解していないと著者は言います。 そんなキリスト教の本質に迫る本書——今回はその発売を記念し、内容の一部を特別公開します。 キリスト教諸宗派全体の理解は不可能である 「キリスト教」を理解する上では、大き

三つの古記録から、平安時代の「リアル」が浮かび上がる――『平安貴族とは何か~三つの日記で読む実像』

 10月10日、NHK出版新書より『平安貴族とは何か~三つの日記で読む実像』が刊行されました。 本書の著者は、2024年大河ドラマ「光る君へ」の時代考証も務める歴史学者・倉本一宏氏。藤原道長『御堂関白記』、藤原行成『権記』、藤原実資『小右記』という三つの古記録を読み解き、この時代を生きた貴族たちのリアルな姿を明らかにしていきます。  歴史の傍流として描かれることが多く、ともすれば誤解されやすい平安貴族。本書は、武士が台頭し不安定化する世情にあって、国のために周到に立ち回り、腐

ChatGPTをはじめとする生成AIの可能性と限界——「新時代の教養」を最も平易に解説!

ジャーナリスト・西田宗千佳さんによる新書『生成AIの核心』が刊行になりました。 ChatGPTに代表される「生成AI」は、急速に浸透しましたが、内容の間違いへの対応や著作権保護等、多数の課題があります。さらには、一層の開発をめぐる企業間、国同士の覇権争いまで、多くの論点も。 生成AIをどう活かすべきなのか、AIの歴史や動作の理由も知り、その本質をあぶりだす一書です。 今回は刊行を記念し、本書の一部を特別公開します。 はじめに テクノロジーの発達は、幾度も世界を変えてきた。た

土葬、風葬、両墓制……日本の滅びゆく葬送を求めて――鵜飼秀徳『絶滅する「墓」――日本の知られざる弔い』

 8月10日、NHK出版新書より、『絶滅する「墓」 日本の知られざる弔い』(鵜飼秀徳著)が刊行されました。  時の権力や死生観、土地や風土に根ざした習俗によって、日本では古来、じつに多様な葬送文化が育まれてきました。しかし、過疎化や高齢化により、現在その文化は風前の灯となっています。  土葬の現在から、肉体と魂を分けて埋葬する「両墓制」、奄美の樹上葬、沖縄の風葬やアイヌの男女別葬、無数の遺骨を粉末状にして固めた「骨仏」まで。全国各地で著者が取材し撮影した写真を多数収載し、また

朝ドラ「ブギウギ」の背景がわかる! 笠置シヅ子と服部良一、世紀のコンビの奮闘記

NHK出版新書にて、近代音曲史研究家・輪島裕介さんの新著『昭和ブギウギ ——笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』が刊行されました。 朝ドラ「ブギウギ」のファンブックとして、音楽史を90度展回させる(180度ちゃうんかい)野心作として――。当代随一の音楽・音曲研究家が「涙ぐましい」調査をもとに書き上げた瞠目の近代大衆文化論です! 本記事では刊行を記念して、本書の「前口上」を再構成して公開します。 ヘッダー写真提供/服部音楽出版 「近代音曲史」の展望 敗戦後、東京・有楽町の日本劇

「NHK出版新書を求めて」第6回 装丁家の目に新書の棚はどう映るのか?――奥定泰之(装丁家)さん、名久井直子(ブックデザイナー)さんの場合

各界で活躍する研究者や論者の方々はいま書店で、とくに「新書コーナー」の前で何を考え、どんな新書を選ぶのか? 毎回のゲストの方に書店の回り方、本の眺め方から現在の関心までをじっくりと伺う、NHK出版新書編集部の連載です。 *第1回から読む方はこちらです。 今回はこの人! 奥定泰之(おくさだ・やすゆき) 1970年愛媛県生まれ。おもに書籍や雑誌のデザインを手がける。『早稲田文学』などの雑誌のほか、小説、詩集、実用書、ビジネス書など幅広いジャンルのデザインをおこなう。第40回、

社会を変える、政治への想像力とは?――三牧聖子『Z世代のアメリカ』

NHK出版新書にて、国際政治学者である三牧聖子さんの新著『Z世代のアメリカ』が刊行されました。アメリカが世界の中で例外的な強さを誇った時代が終わり、国内外でその矛盾や欺瞞が厳しく問いなおされている中で、人口の2割を占め、社会変革の主体として注目されているアメリカのZ世代の視点から、未来のアメリカ、未来の平和を考える一冊です。本記事では刊行を記念して、本書の「はじめに」を公開します。  アメリカは今、政治・外交・社会、さまざまな意味で転換期にある。本書はこの転換期のアメリカを

「東大生でも解けない?!」中学受験算数の良問を通して問題解決力を身につける

中学入試のリアル 突然ですが、次の問題を考えてみてください。  これは、2022 年の中央大学附属中学校の入試問題です。この問題を見てパッと方針が立った方には、本書がお役に立てる所はあまりないかもしれません。でも「え? あれ? どうするのかな?」と少しでも考えあぐねた方は、本書の対象読者です。  簡単に解説します。  扇形や三角形を組み合わせて斜線部分の図形の面積を求めることは難しそうです。そこで、次のように補助線を入れることを考えます。そうすると、 円が  ・①の部分4

日本の「常識」が通じない隣国と、今いかに対峙するか?――亀山陽司『ロシアの眼から見た日本』

5月10日、NHK出版新書より『ロシアの眼から見た日本~国防の条件を問いなおす』が発売されました。昨年2月より続くロシアによるウクライナ侵攻で、東アジアにも緊張が続いています。日本の安全保障についての議論も過熱していますが、元ロシア駐在外交官の著者・亀山陽司氏は、戦争の危機を煽るのでなく、なりふり構わぬ防衛力強化を唱えるのでなく、今こそ冷静に、可能性としての「戦争と平和」を問うことが必要だと説きます。これからの東アジア地域の安定を生み出すための、国防の論理とリアリズムとは? 

「らんまん」主人公のモデルとなった牧野富太郎は、何に生涯を捧げたのか?…NHK出版新書『牧野富太郎の植物学』発売!

2023年度前期の連続テレビ小説「らんまん」の放送が4月から始まります。主人公のモデルは「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎。貧窮の中にあって独学で植物分類学を修め、アカデミズムと対峙しつつも、偉大な業績を残し、植物知識の普及に尽力したとされる人物です。  しかし、彼の研究者としての業績は、破天荒な人物像や、彼を取り巻く人間ドラマに比べて、これまであまり顧みられてきませんでした。3月10日発売のNHK出版新書『牧野富太郎の博物学』は、「らんまん」で植物監修を務める植物学者

「邪馬台国はどこにあったのか」「神武東遷とは何だったのか」…NHK出版新書『小説で読みとく古代史』発売!

「歴史的なあの事件」は本当に教科書どおりに起こったのか? いや、私はこう考える——。 日本史を舞台にした作品を多く手掛ける周防柳さんは、当サイト「本がひらく」で、往年の大作家や現代作家、漫画家たちが描いた「歴史的なあの場面」に焦点をあて、諸説を紹介しながら、自身もその事件の背景や人物像を考察してきました。 小説を通して古代史にせまる意義とは何か? 連載に大幅加筆し、詳細な系図、写真をふんだんに使用した新書から、著者の周防さんに語っていただきました。  歴史とは、なかなか手強