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教養・ノンフィクション

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記事一覧

連載 シン・アナキズム 第5章 グレーバー (その1)

本を書いていた みなさまおひさしぶりです。たいがいにせい、というくらい間が空いてしまった。「連載どうなるんですか」「グレーバー篇が楽しみです」などと、半年くらい前まではときどき言われていたが、最近はそれすらなくなって読者も忘れているらしい。まことに月日は百代の過客ってとこですな。  さっき確認したところ、前回「第4章 ポランニーとグレーバー(その7)」が2022年5月公開だから、これを書いている2023年3月からすると、10カ月も前だ。何をしていたかというと、実はウクライナ

宗教とは何か——日本の宗教研究の第一人者が、「救い」をキーワードに宗教という営みの“核心”を明らかにする!

文学や芸術においてしばしば表れる「救い」というテーマは、昔も今も人の心を打ちます。この「救い」の教えは、キリスト教、仏教、イスラームなど世界中の宗教において教義の中心となってきました。なぜ、宗教では「救い」が重要とされ、普遍的な教えとなってきたのでしょうか。 宗教の核心に通じるこの問いに、日本の宗教研究の第一人者である島薗進さんが迫ります。  宗教とは何か。  このように問われたら、みなさんはどんな答えを思い浮かべるでしょうか。「質問が漠然としすぎていて、すぐには答えられな

私たちが生きている世界は〝本物〞なのか? 現代の代表的哲学者によるテクノロジー + 「心の哲学」探求の最先端

 VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、メタバース(仮想空間)の普及により、「現実」のとらえ方が激変した現代。哲学の鬼才が「リアリティ(現実)」とは何かという哲学的難問に挑戦!  現代哲学の第一人者デイヴィッド・J・チャーマーズによる『リアリティ+(プラス)~バーチャル世界をめぐる哲学の挑戦』(上下)が、NHK出版より3月25日に発売となりました。今までの常識や既成事実であったはずの現実(リアリティ)の認識が覆され、根本から思考の転換をうながす衝撃の哲学書です。  刊行を記念し

【著者インタビュー】世界の法はなぜ戦争を防げないのか?――忘れられた日本人・安達峰一郎から考える「戦争と平和」

国際連盟・常設国際司法裁判所の創設、不戦条約の発効まで、第一次世界後の国際秩序の構築に深く関わりながら、なぜ日本は戦争の道へと邁進してしまったのか。ロシアによる戦後国際秩序への挑戦が続く中で、今こそ日本が陥った当時のジレンマを仔細に検討する――。そんな問いから上梓された近刊『帝国日本と不戦条約』の中では、知られざる日本人・安達峰一郎という人物が象徴的に語られています。安達峰一郎とはいったい何者か? 著者の国際法学者・柳原正治先生にお話を伺いました。 ――3月18日、ウクライ

「らんまん」主人公のモデルとなった牧野富太郎は、何に生涯を捧げたのか?…NHK出版新書『牧野富太郎の植物学』発売!

2023年度前期の連続テレビ小説「らんまん」の放送が4月から始まります。主人公のモデルは「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎。貧窮の中にあって独学で植物分類学を修め、アカデミズムと対峙しつつも、偉大な業績を残し、植物知識の普及に尽力したとされる人物です。  しかし、彼の研究者としての業績は、破天荒な人物像や、彼を取り巻く人間ドラマに比べて、これまであまり顧みられてきませんでした。3月10日発売のNHK出版新書『牧野富太郎の博物学』は、「らんまん」で植物監修を務める植物学者

「イスラエルについてどう思う?」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』抜粋公開

なぜ人口1万に満たない小さな国の動向が世界のトップニュースになるのか? アメリカの福音派がトランプを支持するのはなぜなのか? そして、中東の動きを知ることは私たちにとってなぜ重要なのか? 「知らない」ではすまされない、世界が注視する“この国”を正しく理解するために、国際社会の一員として生きていくために日本人が知っておくべきことを一冊にまとめた『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』が発売になりました。 本書は、遠く離れた世界に思えるイスラエルの情勢が、じつは私たちの身近な問

空っぽの猫ベッド、もう誰も落とさない私の本――「熊本かわりばんこ」#24〔拾われ猫フジタが生きた14年〕田尻久子

 長年過ごした東京を離れ故郷・熊本に暮らしの場を移した吉本由美さんと、熊本市内で書店&雑貨カフェを営む田尻久子さん。  本と映画、そして猫が大好きなふたりが、熊本暮らしの手ざわりを「かわりばんこ」に綴ります。 ※#01から読む方はこちらです。 拾われ猫フジタが生きた14年 沈丁花がつぼみをつけている。前の家のベランダで生き残り、引っ越したときに連れてきたのだが、地植えをしたらしっかりと根付いた。椿の花も一輪だけ開いていて、昨年より少し早い気がする。そういえば今年は正月早々に

「邪馬台国はどこにあったのか」「神武東遷とは何だったのか」…NHK出版新書『小説で読みとく古代史』発売!

「歴史的なあの事件」は本当に教科書どおりに起こったのか? いや、私はこう考える——。 日本史を舞台にした作品を多く手掛ける周防柳さんは、当サイト「本がひらく」で、往年の大作家や現代作家、漫画家たちが描いた「歴史的なあの場面」に焦点をあて、諸説を紹介しながら、自身もその事件の背景や人物像を考察してきました。 小説を通して古代史にせまる意義とは何か? 連載に大幅加筆し、詳細な系図、写真をふんだんに使用した新書から、著者の周防さんに語っていただきました。  歴史とは、なかなか手強

センチメンタルですがなにか~大杉栄の監獄体験――「サボる哲学 リターンズ!」#1 栗原康

我々はなぜ心身を消耗させながら、やりたくない仕事、クソどうでもいい仕事をし、生きるためのカネを稼ぐのか? 当たり前だと思わされてきた労働の未来から、どうすれば身体をズラせるか? 気鋭のアナキスト文人・栗原康さんの『サボる哲学』(NHK出版新書)がWEB連載としてカムバック。万国の大人たちよ、駄々をこねろ! 社会の歯車から解放されました  こんにちは。ごぶさたしております。みなさま、お元気でしょうか。『サボる哲学』を刊行してから、はや一年半。ふたたび、「リターンズ」と銘うっ

4月10日発売! 佐藤 健・著 新装版『るろうにほん 熊本へ』特設note

2017年4月に刊行され好評を博した『るろうにほん 熊本へ』(著・佐藤健)が新装版になって復活! 新たなカバービジュアルとともに、震災から7年経った熊本のいまを伝えるルポルタージュと新装版刊行に寄せた佐藤健さんのメッセージを、そして、単行本未掲載カットを1点追加収載。 こちらのページでは、本日より予約開始した新装版『るろうにほん 熊本へ』特設noteとして、本の詳細や販売・特典情報などをお伝えし、今後、新着情報も更新していきます! 基本情報『るろうにほん 熊本へ』 佐藤 健

700万人を教えたカリスマ英語講師が、子どもの英語勉強術を指南!

「英語は早く始めるほどよい?」「英語のシャワーを浴びせるのは効果がある?」  全国の小中高生を多数導いてきた英語講師の関正生さんが、親たちの悩みや疑問に答えた新刊『早期教育に惑わされない! 子どものサバイバル英語勉強術』が発売になりました。  本書は早期教育の誤解を正しながら、親はどのように子どもをサポートすればよいのか、子どもの英語力を伸ばすためには何をすべきか(何をすべきではないか)を綴った実践的な指南書です。今回は発売を記念して、本書の「序章」から抜粋してご紹介します(

「やる気が出ない」は間違い! 知らないうちにモチベーションがアップする〝飽きない脳〞の作り方

やる気は意識的なものではない。無意識の「脳の意欲」が身体に伝わり、思考・行動を変えるのだ――。 気鋭の脳神経科学者・大黒達也氏の最新刊『モチベーション脳~「やる気」が起きるメカニズム』が、NHK出版より2月10日に発売となりました。意識的な思考・行動を変えるには無意識の「脳のやる気」を高めるのが重要であることを脳科学の知見をもとに解き明かす、画期的なモチベーション論です。 刊行を記念して、本文の一部を特別公開します。 *本記事用に一部を編集しています。 脳の意欲が思考・行動

「人間にとって説得力のある」文章を生成できるチャットボットは何をもたらすか? 「Chat GPT」を開発した研究機関・オープンAIの目指すものとは

 かんたんな質問を入力するだけで、自然な文章で回答が生成される「Chat GPT」。2022年11月にリサーチプレビューとして一般公開されると、実際に使ってみたユーザがさまざまな反応を見せ、日本でも話題になっています。  質問への回答ばかりでなく、クリエイティブな文章やソースコードの作成といった指示にも応えるChat GPT。開発したAI研究機関・オープンAIとMicrosoft社が継続的なパートナーシップを結んでいるように、ビジネスへの有効利用が期待される一方で、倫理的な問

「NHK出版新書を求めて」第5回 悪いとされているものの中にも、否定しきれないものがある――山本圭さん(政治思想研究者)の場合

各界で活躍する研究者や論者の方々はいま書店で、とくに「新書コーナー」の前で何を考え、どんな新書を選ぶのか? 毎回のゲストの方に書店の回り方、本の眺め方から現在の関心までをじっくりと伺う、NHK出版新書編集部の連載です。 *第1回から読む方はこちらです。 今回はこの人! 山本圭(やまもと・けい) 1981年、京都府生まれ。立命館大学法学部准教授。名古屋大学大学院国際言語文化研究科単位取得退学。博士(学術)。岡山大学大学院教育学研究科専任講師などを経て、現職。専攻は、政治思想