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教養・ノンフィクション

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いつ、どうやって切り替えるか――メンタルヘルス研究の世界的権威が語る「柔軟な脳」の作り方

人は1つのことをする状態から、別のことをする状態に頭を切り替えることが難しく、そのつどエネルギーを消費しています。切り替えにかかる負荷は思わぬストレスになり、切り替えがうまくできなければ同じ間違いを繰り返してしまうのです。 一方で、機敏に思考や精神を切り替えることができれば、最高のパフォーマンスを発揮し、より軽やかに楽に生きることができます。では、いかにして「フレキシブルな脳」となるのでしょうか。『SWITCHCRAFT(スイッチクラフト)切り替える力――すばやく変化に気づき

連載 ロジカルコミュニケーション入門――【第8回】多種多彩な「論証」を使ってみよう!

●論理的思考の意味  本連載【第1回】「論理的思考で視野を広げよう!」では、「論理的思考」が「思考の筋道を整理して明らかにする」ことであると解説した。たとえば「男女の三角関係」のように複雑な問題であっても、思考の筋道を整理して明らかにしていく過程で、発想の幅が広がり、それまで気づかなかった新たな論点が見えてくる思考法である。  【第2回】「論理的思考で自分の価値観を見極めよう!」では、「ロジカルコミュニケーション」によって新たな論点を探し、反論にも公平に耳を傾け、最終的に自

【怪談】壁に残された血文字――葬儀業者の身に降りかかった背筋の凍る怪異

怪奇体験から垣間見える、現代社会の実像と歪ひずみ――。  2020年からNHKで不定期に放送され、SNSで話題の「業界怪談 中の人だけ知っている」。番組の再現ドラマをもとに体験者ひとりひとりに徹底追加取材し、より恐ろしく、より不可思議に、全16篇からなる怪談として新たに描き出すことで各業界のリアルに迫った書籍『業界怪談 中の人だけ知っている』が本日発売です。  “事故物件住みます芸人”松原タニシさんが「自分一人の人生では体験できぬ怪異、まさに「私の知らない世界」」と評した本書

困難な現実は人を成長させる――「不安を味方にして生きる」清水研 #12 [悲しみという感情の役割②]

不安、悲しみ、怒り、絶望……。人生にはさまざまな困難が降りかかります。がん患者専門の精神科医として4000人以上の患者や家族と対話してきた清水研さんが、こころに不安や困難を感じているあらゆる人に向けて、抱えている問題を乗り越え、豊かに生きるためのヒントをお伝えします。 *第1回からお読みになる方はこちらです。 #12 悲しみという感情の役割② 前回では悲しみという感情の役割について説明しましたが、悲しんでいるとき、こころには一生懸命がんばっている面もあり、多くのエネルギーを

泣きたいときに泣く大切さ――「不安を味方にして生きる」清水研 #11 [悲しみという感情の役割①]

不安、悲しみ、怒り、絶望……。人生にはさまざまな困難が降りかかります。がん患者専門の精神科医として4000人以上の患者や家族と対話してきた清水研さんが、こころに不安や困難を感じているあらゆる人に向けて、抱えている問題を乗り越え、豊かに生きるためのヒントをお伝えします。 *第1回からお読みになる方はこちらです。 #11 悲しみという感情の役割① 第9回、第10回に登場された室田隆さん(仮名・38歳男性)は、がん告知後に激しい怒りの感情が起こったといいます。室田さんは進行したす

「やり抜く力」から「切り替える力」へ――メンタルヘルス研究の世界的権威による、みずから変化を起こすスキル!

長年の研究により、目標達成や幸福度を劇的に高めるのは「切り替える力」だと判明。脳が不安にとらわれたままでは行動を起こせません。どんな状況でもすばやく柔軟に対応できる人・組織だけが困難を乗りきれるのです。 新刊『SWITCHCRAFT(スイッチクラフト) 切り替える力――すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略』(NHK出版より11月17日発売)では、認知心理学・神経科学の世界的権威であるエレーヌ・フォックスが、フリーズした脳を動かし、しなやかな思考・行動が身につく方

『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』輪島裕介さん×『落語に花咲く仏教』釈 徹宗さん対談―”大阪音曲巡礼”【後編】

近世以来、庶民の娯楽や祈りのバックボーンを支えてきた大阪の音曲。「地」に根づいた音楽・笑い・語りの歴史と可能性について、『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』を上梓した輪島裕介さんと、上方の芸能にも詳しい宗教学者の釈徹宗さんが縦横無尽に語りました。後編も、西洋と日本の音楽観の違いから始まり、日本のアイドルのあり方の特殊性や、後年の笠置シヅ子とロックスターのエピソード、大阪人のコミュニケーションまで話題は広がって……。 ■街に花咲く音楽輪島 釈先生が『落語に花咲く

チャーハンを通して26年ぶりに父と和解した(元カリスマホスト、タレント・城咲仁) 【前編】

「しっとりチャーハンの聖地」と呼ばれ、全国から客が行列する、東京・板橋区の町中華「丸鶴」。連載の6、7回で登場した、店主・岡山実さんのひとり息子は、元カリスマホストで、タレントの城咲仁さん(46)だ。店の後継をめぐって、長年わだかまりのあった親子が、チャーハンを通して和解のときを得たという。 ■18歳で「店は継げない」と家を飛び出した ──連載の6、7回で丸鶴の店主・岡山実さん(77)にお話を伺いました。多くの町中華同様、丸鶴も跡継ぎの問題を抱えていましたが、城咲さんは子ど

『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』輪島裕介さん×『落語に花咲く仏教』釈 徹宗さん対談―”大阪音曲巡礼”【前編】

近世以来、庶民の娯楽や祈りのバックボーンを支えてきた大阪の音曲。「地」に根づいた音楽・笑い・語りの歴史と可能性について、『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』を上梓した輪島裕介さんと、上方の芸能にも詳しい宗教学者の釈徹宗さんが縦横無尽に語りました。前編・後編の2回に分けて公開します。まず前編では、そもそもおふたりが「音曲」なるもののイメージを共有するところから始まって、東西の発声の違いから、芸能の宗教性まで、朝ドラ「ブギウギ」にも絡めてお話しくださいました。 ■

行動遺伝学がもたらしたパラダイム転換とは?!「残酷すぎる世界」との向き合い方を論じた決定版。

知性、能力、性格、そして運まで――。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないということだった。私たちは、残酷すぎる世界の真実といかに向き合うべきか。 人気作家の橘玲氏と、行動遺伝学の第一人者である安藤寿康氏が、知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方までを論じ合った本書の発売を記念し、安藤氏による「あとがき」を特別公開します。 遺伝を取り巻く「闇」と「光」 行動遺伝学については2000年に『心はどのように遺伝

人間と生命を読み解く解像度が格段に上がる! 慶應SFC人気教授による目ウロコの講義

生物学者の黒田裕樹さんによる新書『希望の分子生物学 私たちの「生命観」を書き換える 』が発売となりました。 分子生物学という分野は、医療、産業、環境など社会へ広範な影響を及ぼすだけでなく、生物学的な〈わたし〉という存在への理解を深めるのにも役立ち、人間と生命を読み解く解像度が格段に上がると著者は言います。 今回はその発売を記念し、内容の一部を特別公開します。 はじめに 私が慶應義塾大学において実施している授業の中でも、最も人気がある授業が毎年9月末から1月半ばにかけて行われ

知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方まで。人気作家と第一人者が徹底的に論じる!

知性、能力、性格、そして運まで――。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないということだった。私たちは、残酷すぎる世界の真実といかに向き合うべきか。 人気作家の橘玲氏と、行動遺伝学の第一人者である安藤寿康氏が、知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方までを論じ合った本書の発売を記念し、橘氏による「まえがき」を特別公開します。 誰も「遺伝」から逃れることはできない どんな質問にも人間と区別のつかない返答をする生

人類は暴力を克服できるか? スタンフォード大学の名物教授による人間行動の根源を探る旅、『善と悪の生物学ーー何がヒトを動かしているのか』(上下)より抜粋公開

スタンフォード大学の名物教授、ロバート・M・サポルスキー博士による『善と悪の生物学――何がヒトを動かしているのか』(上下)が10月26日に発売になりました。ある行動の瞬間から、その一秒前に脳内で起こっていること、数秒から数分前の感覚刺激、数時間から数日前のホルモンの状態……と時間を遡り、行動を決定する要因を探るというユニークかつ壮大な構成の本書は、「ワシントン・ポスト」紙が「2017年の10冊」に選び、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーにもなった話題作。ここでは、その待望の

連載 ロジカルコミュニケーション入門――【第7回】明確に「論証」してみよう!

●論理的思考の意味  本連載【第1回】「論理的思考で視野を広げよう!」では、「論理的思考」が「思考の筋道を整理して明らかにする」ことであると解説した。たとえば「男女の三角関係」のように複雑な問題であっても、思考の筋道を整理して明らかにしていく過程で、発想の幅が広がり、それまで気づかなかった新たな論点が見えてくる思考法である。  【第2回】「論理的思考で自分の価値観を見極めよう!」では、「ロジカルコミュニケーション」によって新たな論点を探し、反論にも公平に耳を傾け、最終的に