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わたしたちのSDGs

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地球温暖化やプラスチック問題など、いま話題のSDGsについて考える指針となる情報や本を幅広くご紹介します。
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昆虫と地球上のすべての生きものたちのために、私たちができること――生物学者グールソンはあきらめない

8月末に発売され、各新聞紙上で、養老孟司さん(脳科学者)、鷲谷いづみさん(生態学者)、福岡伸一さん(生物学者)はじめ、多くの方々にご高評いただいた注目の書、『サイレント・アース 昆虫たちの「沈黙の春」』。昆虫をこよなく愛する生物学者である著者デイヴ・グールソン博士のロング・インタビュー、いよいよ最終回です。 ※最初から読む方はこちらです。 ヘッダー画像:昆虫のホテル-ドイツ(ⒸMickis-Fotowelt /Shutterstock) 取材:早川健治 ――若い人たちへの自

昆虫がいなくなったら、地球は動きを止めるだろう――生物学者グールソンは、昆虫の視点から多様性の危機を訴える

8月末に発売され、各新聞紙上で、養老孟司さん(脳科学者)、鷲谷いづみさん(生態学者)、福岡伸一さん(生物学者)はじめ、多くの方々にご高評いただいた注目の書、『サイレント・アース 昆虫たちの「沈黙の春」』。昆虫をこよなく愛する著者デイヴ・グールソン博士のロング・インタビュー全文。今回はその第2弾です。 ※最初から読む方はこちらです。 (ヘッダー画像:ⒸSumruay Rattanataipob /Shutterstock) 取材:早川健治 ――殺虫剤との長い闘い 早川 本書

世界中で昆虫の数が激減している!? それが意味することは何か?――生物学者グールソンは語る!

8月末に発売され、各新聞紙上で、養老孟司さん(脳科学者)、鷲谷いづみさん(生態学者)、福岡伸一さん(生物学者)はじめ、多くの方々にご高評いただいた注目の書、『サイレント・アース 昆虫たちの「沈黙の春」』。昆虫をこよなく愛する著者デイヴ・グールソン博士に、本書で伝えたかったことを1時間にわたり伺いました。そのすべてをあますところなく、3回に分けてお伝えします。 取材:早川健治 ――昆虫にまつわる衝撃的な数字 早川健治 『サイレント・アース』には多くの豊かで興味深いデータが詰

美しく、桁外れに奇妙な昆虫たち――。急速に減少するこの小さな生き物を守る行動指針を示す、『サイレント・アース――昆虫たちの「沈黙の春」』発売!

 いま、昆虫が危機に瀕しています。集約農業や森林伐採による生息域の減少、急速な気候変動……。昆虫は他の生物の栄養源であり、枯葉や死骸・糞の分解、土壌の維持、人間にとって有用な作物の受粉など、あらゆる生命を支えている存在にもかかわらず、その減少に大きな関心が払われているとはいえない状況にあります。  マルハナバチの研究を専門とするデイヴ・グールソンは、昆虫の数が近年急速に減少しつつあることを明らかにし、人類と地球の未来を守るための具体的な行動指針を示すために本書『サイレント・ア

庭やベランダからストップ気候変動! 話題の新刊『土を育てる』で土いじりがもっと楽しくなる

 日本では一般的に、庭や畑などの土は耕したり、肥料をやったりしなければならないと思われていますが、本当にそうでしょうか? もしかしたら、何もしない方が土や植物にとってはいいのかも……。  そんな驚きの考え方が詰まっているのが『土を育てる――自然をよみがえらせる土壌革命』(好評発売中)。本国アメリカのアマゾンでは今1,000以上の5つ星レビューがついている話題の翻訳書です。  自宅や畑で、植物を愛でたり、野菜の収穫を楽しんだりしながら、さらに温暖化対策もできる――その手法とはど

女性が“自分のからだを取り戻していく”ために――『からだと性の教科書』から学べること

高橋幸子さん(産婦人科医)×福田和子さん(「#なんでないの プロジェクト」代表)特別対談 日本の性教育は海外に比べて後れをとっていると言われて久しいが、そんな中で最近、学校では教えてくれない“からだや性”のことについて学べる書籍が多数刊行されている。性の先進国ノルウェー発の書籍『世界中の女子が読んだ! からだと性の教科書』もその1冊で、増刷を重ねている。本書の医療監修を務め、性教育の啓蒙にも力を入れている高橋幸子さんと、日本の避妊の選択肢を増やす活動を続けるアクティビストの福

「真に生きた土」をつくり、温暖化まで止める! “環境革命の実践書”と話題の新刊『土を育てる』

 いま、密かに“土ブーム”が起きています。  土と生き物の関係や、自然環境での土のはたらきなど、知られざる土の営みへの関心が高まっています。  足元で無数の微生物たちが織り成す宇宙――何十億年もかけて形成されてきた地中の生態系のことを、私たちはまだ何も知らないのかもしれません。  その土の本質に、身近な「畑」から迫った一冊が『土を育てる――自然をよみがえらせる土壌革命』(2022年5月30日発売)。従来の工業型農業から、環境再生型農業(リジェネラティブ農業)の第一人者へと転身

落合陽一×オードリー・タン。知の最前線を走る2人による未来予想図 2人の「再会」に合わせて前回の対談の一部を特別公開![後編]

「落合陽一、2022年初の書籍」にてNHK人気番組初の書籍化、『ズームバック×オチアイ 過去を「巨視」して未来を考える』。世界恐慌、ペスト、ファシズム、オイルショック……過去の事例を徹底検証し、キーワードをもとに「半歩先の未来」への展望を示す新しい未来予測本です。  本書のもととなった番組「ズームバック×オチアイ」の2022年第1弾「落合陽一、オードリー・タンにふたたび会う(前編・後編)」がNHKEテレで放送されます。 [前編]1月14日(金)22:30~23:00(再放送1

落合陽一×オードリー・タン。知の最前線を走る2人による未来予想図――2人の「再会」に合わせて前回の対談の一部を特別公開![前編]

 1月11日発売、NHK人気番組初の書籍化、『ズームバック×オチアイ 過去を「巨視」して未来を考える』(落合陽一、NHK「ズームバック×オチアイ」制作班)。世界恐慌、ペスト、ファシズム、オイルショック……過去の事例を徹底検証し、キーワードをもとに「半歩先の未来」への展望を示す新しい未来予測本です。  本書のもととなった番組「ズームバック×オチアイ」の2022年第1弾「落合陽一、オードリー・タンにふたたび会う(前編・後編)」がNHKEテレで放送されます。  [前編]1月14日(

落合陽一×人類の叡智――混迷の世界を読み解くヒントは「過去」にある! 『ズームバック×オチアイ 過去を「巨視」して未来を考える』本日発売

NHK人気番組初の書籍化、『ズームバック×オチアイ 過去を「巨視」して未来を考える』(落合陽一、NHK「ズームバック×オチアイ」制作班)。世界恐慌、ペスト、ファシズム、オイルショック……過去の事例を徹底検証し、キーワードをもとに「半歩先の未来」への展望を示す新しい未来予測本です。「自粛=空気を読む力を武器にする」「環境負荷を制限する新しいイノベーション」「連帯の精神が経済を変える」など、ウィズコロナの世界を生きるヒントが満載。「世界の知見」オードリー・タン、マルクス・ガブリエ

シンプルな暮らしが、持続可能への道をひらく! 世界の若者たちの共感を呼んだ「希望の哲学」

 モノを所有し、それを消費するのが日常となったわたしたち現代人は、ほんとうにしあわせでしょうか? 大量生産・大量消費の生活は、かならず弱い立場にある人や自然環境を犠牲にする、とサティシュ・クマールは言います。〈エレガント・シンプリシティ〉という理想を支えているのは、より少ないモノでよりよく生きる技術(アート)です。一度立ち止まって、モノや時間に縛られ追い立てられる生活を見直してみませんか? 好評発売中の『エレガント・シンプリシティ 「簡素」に美しく生きる』にはそのためのヒント

「木」こそが人類の歴史をつくった! 700万年にわたる壮大な物語を解き明かす『「木」から辿る人類史』

 ⽊を多用した温かみのあるデザインが話題となった新国立競技場をはじめ、暮らしに木材を取り入れて、森を育てるエコ活動「木づかい運動」が広がるなど、最近、「木」を身近に感じる機会が増えています。  木は、はるか昔から、私たち人類の進化と文明の発展に深く関係してきました。なぜ、どのように、人類は木を利用し、今日の社会を築くまでになったのか、その壮大な道すじを解き明かしたのが、『「木」から辿る人類史 ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る』(2021年9月28日発売)です。  本書より、人間が

読んで考える〝わたしたちのSDGs〞――地球温暖化、プラスチック汚染、経済改革……2030年の「分岐点」をまえに、いまこそ向き合いたい環境問題

 いまいたるところで耳にするSDGs(持続可能な開発目標)。SDGsとは2030年までに達成すべき17の目標であり、「極度の貧困と飢餓の撲滅」「ジェンダー平等推進と女性の地位向上」など内容は多岐にわたっています。なかでも「環境の持続可能性の確保」について、日本は2030年までに温室効果ガス排出量を26パーセント削減するという目標を掲げました。世界規模の課題の「分岐点」といわれる2030年までにどうすれば危機を回避し、持続可能な未来を実現できるのでしょうか?  世界が直面してい

「海洋ごみ」の実態を世界に突きつけた『プラスチックスープの海』。全人類が知るべき情報がここにある!

「1997年の夏のある日、何よりも海を愛する男のヨットが、太平洋のただなかで高気圧の凪につかまって何日も身動きが取れなくなった。そして男は気づいた。彼のヨットが大量の微細なプラスチックが溶け込んだ海に浮かんでいることに。これがのちに“太平洋ごみベルト”で知られるプラスチックごみ渦流の一部だった」 2002年の渦流のサンプル Matt Cramer, Algalita Marine Research Foundation  2011年に刊行され(日本版は2012年刊行)、全