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小説・エッセイ

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人気・実力を兼ね備えた執筆陣によるバラエティー豊かな作品や、著者インタビュー、近刊情報などを掲載。
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記事一覧

わたしたちはどこになら、どんなふうにいられるのだろう。――「ことぱの観察 #18〔寝る〕」向坂くじら

詩人として、国語専門塾の代表として、数々の活動で注目をあびる向坂くじらさん。この連載では、自身の考える言葉の定義を「ことぱ」と名付け、さまざまな「ことぱ」を観察していきます。 寝る 汐留のペデストリアンデッキは日中、そこまで人がいない。まだ新品だがすでにいくつか傷のついた黒いパンプスを脱ぎ、ベンチに座る。それからスーツのジャケットを脱いで、ビジネスバッグの口をふさぐように包み、横倒しにベンチの端に置く。襟元のボタンを外したら、さっき置いたバッグを枕に、膝を曲げて小さく横にな

いちにち全力で授業を受けたら、つぎの日はがっつりやすむ。「だいじな休暇」――《こどく、と、生きる》統合失調症VTuber もりのこどく

「同じ病で苦しむ仲間とつながりたい、救いたい、当事者以外の人たちにも病気のことを知ってほしい」という思いでVTuberになり、配信を通してメッセージを伝え続けるもりのこどくさん。高校生で統合失調症になった彼女がいかにしてVTuberになったのか、その足跡を綴ったエッセイ連載です。 ※#0から読む方はこちらです。 #8 だいじな休暇 こどくの2024年の抱負は、「いちにちおき」だ。いちにち全力でやったなら、いちにち全力でやすむ。この抱負は、できるだけまわりに伝え、ぜったいに守

【新連載】南沢奈央「女優そっくり」第1回

そうして私は、スカウトウーマンに導かれるようにして女優になったのだ 私が南沢奈央になる前の話だ。  中学三年生のとき、私は芸能事務所にスカウトされた。と今は書けるが、当時の私はこれが「スカウト」なのかピンときていなかった。もっと言えば、本当に「芸能事務所」なのかと疑ってもいた。  スカウトと言えば、渋谷や原宿で「芸能界に興味ないですか?」と声を掛けられるものだと思っていた。埼玉で生まれ育ち、東京に遊びに出たことは一度だけあるが、池袋止まり。やっぱり大宮が落ち着くねと友達と慰め

普通の生活は、よく見ないと見落としてしまうくらい小さな喜びと楽しさで満ち満ちている。「忘れたくない家、街」――料理に心が動いたあの瞬間の記録《自炊の風景》山口祐加

 自炊料理家として多方面で活躍中の山口祐加さんが、日々疑問に思っていることや、料理や他者との関わりの中でふと気づいたことや発見したことなどを、飾らず、そのままに綴った風景の記録。山口さんが自炊の片鱗に触れ、「料理に心が動いた時」はどんな瞬間か。3年間過ごした家と街を離れることになった山口さん。そこで過ごした時間に思いを馳せる一篇です。 ※第1回から読む方はこちらです。 #8 忘れたくない家、街 「自分にとって心地よい自炊ができるキッチンがほしい」  そう思って引っ越したのが

さびしさは鳴り、そして共鳴しない。――「ことぱの観察 #17〔さびしさ〕」向坂くじら

詩人として、国語専門塾の代表として、数々の活動で注目をあびる向坂くじらさん。この連載では、自身の考える言葉の定義を「ことぱ」と名付け、さまざまな「ことぱ」を観察していきます。 さびしさ さびしさは鳴る。  その一文ではじまる小説『蹴りたい背中』が芥川賞を最年少受賞したとき、わたしは小学生で、小説を書いていた。テレビに映る十九歳の綿矢りささんはきらきらしていたけれど、それでいて自分とさほど変わらない歳にも見えた。その少しあとにわたしは引っ越すことになり、転校した小学校の図書

どんな趣味も、思いがけず失うときが来るかもしれない。「また見つければいい」――《こどく、と、生きる》統合失調症VTuber もりのこどく

「同じ病で苦しむ仲間とつながりたい、救いたい、当事者以外の人たちにも病気のことを知ってほしい」という思いでVTuberになり、配信を通してメッセージを伝え続けるもりのこどくさん。高校生で統合失調症になった彼女がいかにしてVTuberになったのか、その足跡を綴ったエッセイ連載です。 ※#0から読む方はこちらです。 #7 また見つければいい 読書はこどくの趣味だった。  だった、と過去形なのは、統合失調症になってから、読書がとんとできなくなってしまったからだ。  認知機能障害と

スペインベスト児童書賞作品『夜明けをまつどうぶつたち』を熱帯森林保護団体代表の南研子さんにお読みいただきました。

2019年、南米アマゾンの森林で起きた大規模火災に胸を痛めたペルー出身の作家が描いた絵本の翻訳本『夜明けをまつどうぶつたち』が5月27日、NHK出版から刊行されます。発売を記念し、熱帯森林保護団体(RFJ)の代表、南研子さんのインタビュー記事をお届けします。 Q:この絵本は南さんが保護活動をされているアマゾンに生きる動物たちが主人公に描かれた絵本です。まず、お読みいただいた絵本の感想をお聞かせくださいますか。 ──発売前のゲラを拝見したとき、本当にすてきな絵本だと思い編集者

体調不良を乗り切るアイテム――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は、春の天候不順に悩まされた柚木さんを支えた、ある食べ物についてのお話です ※当記事は連載の第38回です。最初から読む方はこちらです。 #38 ゼリーミシュラン 寒暖差とともにスタートした新年度。明け方、気温が上昇してくると咳が止まらなくなり、跳ね起きる。毎日毎日なんか疲れているなあと思っていたら、子どもの発熱をきっかけに一気に体調が崩れ、GWに一家全員で寝

過ぎ去ったものに、もし、は訪れない。だからせめて、知ってほしい。「もしは訪れない」――《こどく、と、生きる》統合失調症VTuber もりのこどく

「同じ病で苦しむ仲間とつながりたい、救いたい、当事者以外の人たちにも病気のことを知ってほしい」という思いでVTuberになり、配信を通してメッセージを伝え続けるもりのこどくさん。高校生で統合失調症になった彼女がいかにしてVTuberになったのか、その足跡を綴ったエッセイ連載です。 ※#0から読む方はこちらです。 #6 もしは訪れない こどくは、統合失調症にかかるまで、統合失調症の「と」の字も知らなかった。だから、はじめてこの病気の名前を知ったのは、診断がおりたときのことであ

自分のなかの宇宙を旅する――「不安を味方にして生きる」清水研 #22[中年期からのこころの冒険②]

不安、悲しみ、怒り、絶望……。人生にはさまざまな困難が降りかかります。がん患者専門の精神科医として4000人以上の患者や家族と対話してきた清水研さんが、こころに不安や困難を感じているあらゆる人に向けて、抱えている問題を乗り越え、豊かに生きるためのヒントをお伝えします。 *第1回からお読みになる方はこちらです。 #22 中年期からのこころの冒険② こころの探検のコツ  前回では、人生の第二ステージである中年期からのこころの冒険についてお伝えしました。本来の自分を探す、「自分

新たな自分に出会う――「不安を味方にして生きる」清水研 #21[中年期からのこころの冒険①]

不安、悲しみ、怒り、絶望……。人生にはさまざまな困難が降りかかります。がん患者専門の精神科医として4000人以上の患者や家族と対話してきた清水研さんが、こころに不安や困難を感じているあらゆる人に向けて、抱えている問題を乗り越え、豊かに生きるためのヒントをお伝えします。 *第1回からお読みになる方はこちらです。 #21 中年期からのこころの冒険①「こころの宇宙」を豊かにするために  第19回と第20回では、人生の第一ステージと第二ステージで作られる価値観や感覚を通して、承認

春の食材には儚さがある。「春は風味を食べる季節」――料理に心が動いたあの瞬間の記録《自炊の風景》山口祐加

 自炊料理家として多方面で活躍中の山口祐加さんが、日々疑問に思っていることや、料理や他者との関わりの中でふと気づいたことや発見したことなどを、飾らず、そのままに綴った風景の記録。山口さんが自炊の片鱗に触れ、「料理に心が動いた時」はどんな瞬間か。みなさんはこの春にどのような食材を食べましたか? 「春は特に好きな野菜が多い季節」という山口さんが味わった春の料理とは。 ※第1回から読む方はこちらです。 #7 春は風味を食べる季節 春は短い。春の食材の旬も短い。ふきのとう、菜の花、

宮島未奈『モモヘイ日和』第2回「犬も歩けばモモヘイに当たる」

24年本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』の作者・宮島未奈さんの新作小説が「基礎英語」テキストにて好評連載中です。「本がひらく」では「基礎英語」テキスト発売日に合わせ、最新話のひとつ前のストーリーを公開いたします。 とある地方都市・白雪町を舞台に、フツーの中学生・エリカたちが巻き起こすドタバタ&ほっこり青春劇!  「迷い犬ですか?」  いきなり話しかけたりして、怒鳴られたらどうするんだろう。怖くなって 目を閉じると、百平さんはミサトの問いかけに対して、「そうなんだ」と応

英語を学ぶこと。文学を楽しむこと――斎藤兆史氏 × 鴻巣友季子氏 刊行記念対談

濃密な解説を通して、イギリス小説を原文でじっくり精読する『名場面の英語で味わう イギリス小説の傑作 英文読解力をみがく10講』の刊行を記念して、著者のお一人である斎藤兆史さんと、翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子さんの対談が開催されました(2024年3月22日 於:ジュンク堂書店池袋本店)。多くのお客様にご来場いただいたなか、お話は作品のセレクションから、イギリス小説の「絨毯問題」に広がり…。最後に駆けつけてくださった共著者・髙橋和子さんの執筆秘話も含め、当日の模様をダイジェスト