本がひらく
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消し去ることのできない言語的人格――#3シャオルー・グオ『恋人たちの言葉』(1)
「どうしてわざわざ日本に戻るんだ?」
今でも時々、なんで自分はアメリカから日本に帰ってきたんだろう、と思う。20年ほど前、ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学英文科の大学院に入ったとき、できた友人のほとんどが、外国からアメリカに渡ってきた人だった。ナイジェリアから亡命同然で来たクリスだけではない。ペルーから移民としてやってきたり、あるいは韓国からアメリカの白人夫婦に養子として引き取られてき
連載 ロジカルコミュニケーション入門――【第4回】白黒論法に注意しよう!
●論理的思考の意味
本連載【第1回】「論理的思考で視野を広げよう!」では、「論理的思考」が「思考の筋道を整理して明らかにする」ことであると解説した。たとえば「男女の三角関係」のように複雑な問題であっても、思考の筋道を整理して明らかにしていく過程で、発想の幅が広がり、それまで気づかなかった新たな論点が見えてくる思考法である。
【第2回】「論理的思考で自分の価値観を見極めよう!」では、「ロジカ
日本画家・安原成美が描く、家康/松本潤をイメージした鷹とは――NHK大河ドラマ『どうする家康』ノベライズ全4巻
NHK大河ドラマ「どうする家康」の完全小説版として、売れ行き良好のノベライズ第3巻が発売された。注目すべきはストーリー以外にも、その表紙に描かれた美しい鷹の絵。徳川家康は鷹狩(たかがり)を好んだ武将としても有名だが、ノベライズ『どうする家康』の装丁画に描かれる鷹は、日本画家の安原成美さんがドラマにインスパイアされた描いた懇親の一羽だ。装丁画を担当した安原さんにお話を伺った。
編集部 とても精緻な
「NHK出版新書を求めて」第6回 装丁家の目に新書の棚はどう映るのか?――奥定泰之(装丁家)さん、名久井直子(ブックデザイナー)さんの場合
各界で活躍する研究者や論者の方々はいま書店で、とくに「新書コーナー」の前で何を考え、どんな新書を選ぶのか? 毎回のゲストの方に書店の回り方、本の眺め方から現在の関心までをじっくりと伺う、NHK出版新書編集部の連載です。
*第1回から読む方はこちらです。
今回はこの人!
奥定泰之(おくさだ・やすゆき)
1970年愛媛県生まれ。おもに書籍や雑誌のデザインを手がける。『早稲田文学』などの雑誌のほか、
連載 シン・アナキズム 第5章 グレーバー (その5)
考古学とのコラボレーション このように見てくると、文明の進歩と、小さく単純な社会から大きくて複雑な国家への発展という歴史像への疑念は、人類学における一つの伝統だといえる。あるいは文明史に対する人類学的懐疑といってもよい。こうした伝統を受け継ぐ新たな試みとして、グレーバーとウェングロウの『万物の黎明』を位置づけることができる。ここまでの記述から、この本がどんな歴史像、人類史の見方を破壊しようとして
国難の時こそ、党を越えた団結が国を動かす――『総理になった男』中山七里/第8回
「もしあなたが、突然総理になったら……」
そんなシミュレーションをもとにわかりやすく、面白く、そして熱く政治を描いた中山七里さんの人気小説『総理にされた男』待望の続編!
ある日、現職の総理大臣の替え玉にさせられた、政治に無頓着な売れない舞台役者・加納慎策は、政界の常識にとらわれず純粋な思いと言動で国内外の難局を切り抜けてきた。海外赴任先から帰国した慎策の親友であり盟友の風間歴彦の助言によって、