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教養・ノンフィクション

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#コラム

アフガニスタンで65万人の命をつなぎ、凶弾に倒れた医師は、何を語ったのか――自身について多くを語らなかった中村哲さんの心の内にふれる

 2019年12月4日、アフガニスタンで銃撃され亡くなった医師・中村哲さん。生前の中村さんが出演したNHK「ラジオ深夜便」の6番組より、インタビューに答えるその肉声を忠実に再現した、『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』が2021年10月25日に発売します。「長年の活動の原動力は何でしょうか?」という、インタビュアーの問いに対して、自らを宮沢賢治の童話の主人公「セロ弾きのゴーシュ」にたとえた中村さん。本書は、感慨や本音が随所に表れ、その心の内を知ることのできる貴重な証言の記録です

読んで考える〝わたしたちのSDGs〞――地球温暖化、プラスチック汚染、経済改革……2030年の「分岐点」をまえに、いまこそ向き合いたい環境問題

 いまいたるところで耳にするSDGs(持続可能な開発目標)。SDGsとは2030年までに達成すべき17の目標であり、「極度の貧困と飢餓の撲滅」「ジェンダー平等推進と女性の地位向上」など内容は多岐にわたっています。なかでも「環境の持続可能性の確保」について、日本は2030年までに温室効果ガス排出量を26パーセント削減するという目標を掲げました。世界規模の課題の「分岐点」といわれる2030年までにどうすれば危機を回避し、持続可能な未来を実現できるのでしょうか?  世界が直面してい

2020年「本がひらく」で話題を呼んだ記事5選を振り返り――韓国ドラマからラッパー評伝、サイコサスペンス小説まで

 今年一年「本がひらく」をご愛読くださり、本当にありがとうございました! 2020年1月15日にサイトを立ち上げて以降、「何ができるか」「何をやるべきか」を考えて実践しているうちに、あっという間に一年を迎えようしています。  そこで、この一年を振り返る代わりに、「本がひらく」で反響のあった記事のいくつかをここでご紹介します! ①日本でも大注目の韓ドラ! EXOのド・ギョンス(D.O.)が初挑戦した時代劇が話題に 昨年、NHK-BSプレミアムで国内初放送され、今年5月には地

訃報から1年。担当編集者が綴る中村哲さんの人柄にふれた日々のこと、そして馳せる思い

中村哲先生との思い出  2019年12月4日に中村哲先生の訃報を聞いてから、早いもので一年が経ちました。アフガニスタンのNGOガフワラ著の絵本『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』(さだまさし他訳、双葉社)や『天、共に在り~アフガニスタン三十年の闘い』の英語版Providence Was with Us: How a Japanese Doctor Turned the Afghan Desert Green(JPIC 一般財団法人 出版文化産業振興財団)が出版され、テレビや新

加速する異常気象とコロナ。生態系を痛めつけた人間がやるべきこと――『地球に住めなくなる日 「気候崩壊」の避けられない真実』をいまこそ読んでほしい理由

 2020年3月発売の『地球に住めなくなる日 「気候崩壊」の避けられない真実』(デイビッド・ウォレス・ウェルズ、藤井留美訳)。「今世紀末までに世界の多くの地域が居住不可能」「平均気温が4℃上昇すると100以上の都市が浸水する」など、気候変動をめぐる数々の衝撃的な事実をまとめた本書は、発売以来大きな話題となっています。  よりどころのない不安を抱えるいまこそ手にとっていただきたいという想いをこめて、担当編集者が本書の内容についてご紹介します。 いま何が起きているのか?  頻発

赤坂真理「愛と性と存在のはなし」最終回 〔セクハラ論議はなぜ一面的なのか――言葉をめぐる落とし穴〕

※連載第1回から読む方はこちら 「セクハラ」という言葉が見えなくする真実  愛と性をめぐる問題系の中で、最もありふれたことのひとつなのに、議論が一向に深まらないことがある。いわゆる「セクハラ」の問題である。「セクハラ」と聞くと、良心的な男性の多くが、どれほど身構えるものかを、わたしは知っている。一方で「セクハラ」を受けたと感じる側が、どれほど驚いたり不安定な気持ちになったり傷ついたりするものかも知っている。  これは女性とは限らない。性的な傷は男性から女性に付与されるもの、

赤坂真理「愛と性と存在のはなし」第9回 〔すべての身体と心にはズレがある〕

※連載第1回から読む方はこちら 性の管理とその犠牲  この連載の第1回で、提示した命題を覚えているだろうか?  よりわかりやすく言い換えて、もう一度繰り返す。 「すべての個人は性的マイノリティである」  自分はヘテロセクシュアルだから普通、などと思っていると、人生が非常に生きにくい。これからますます生きにくくなるだろう。伝統価値の崩壊が世界一くらいに速い戦後日本社会では、特にそうだと思う。  おおまかに多数に属しているだけで、異性と結婚したところで、「普通に」「自然に」

ベストセラー『嫌われる勇気』著者・岸見一郎氏が哲学講義で語った「今ここを生きる勇気」とは?

 2020年5月11日、世界累計490万部をほこる『嫌われる勇気』などの著作で知られる岸見一郎氏の新書『今ここを生きる勇気~老・病・死と向き合うための哲学講義』が発売されます。本書は、NHK文化センター講座「よく生きるための哲学」に“幻の第6 回講義”を加え、聴講生の質疑応答も付した、著者初の講義形式の一冊。  当記事では刊行に先立ち、さまざまな意見や質問が飛び交った受講生との質疑応答の様子を、本書より一部抜粋してお届けします。 ──先生は、アドラー心理学を研究されています

「愛と性と存在のはなし」第8回 〔男か女に生まれることの避けられない痛み〕 赤坂真理

※連載第1回から読む方はこちら  わたしのことを話さなければならない。わたし自身の最も深い苦悩について。  わたしの苦悩と、そのいちばんの核に隠された可能性について。  その可能性について語るために、わたしはこのすべてをしている。 耐え難さと生きていくために  それは、そうすべき対話の時間だった。相手が、誠心誠意そうしてくれるのを聞いていた。驚くべき告白を、聞いていた。息をするのも忘れて。わずかな息で、わたしは空気を吸うというよりは、言葉のエッセンスを吸う。それはわたしの

「健康のためと思うと続かないんです」――運動嫌いの人たちが語る驚きの言い訳の数々。プロのフィジカルトレーナーが本気で彼らと対話してみた

 青山学院大学駅伝チームのフィジカルトレーナーを務め、数々のトップアスリートの指導をしてきた中野ジェームズ修一さんが、さまざまな“運動をしない言い訳”を口にする運動嫌いの人たちと対話したら、運動嫌いが直るのか? 当記事は、そんな素朴な疑問をもとに企画がスタートした書籍『中野ジェームズ修一×運動嫌い 〜わかっちゃいるけど、できません、続きません。』より、中野さんと客室乗務員の方々との本気の対話を全2回にわたってお送りする、その後編です。  ※前編はこちらから 《客室乗務員編》

運動嫌いな人たちが語る数々の「運動をしない言いわけ」にプロのフィジカルトレーナーが本気で対話したら、はたして心に響くのか?

「疲れの原因は、“動きすぎ”ではなく“動かなすぎ”」 「筋肉貯金のない40代、60歳で要介護の可能性あり」 「効率的な運動なら週1回でも効果あり」  健康診断で運動を勧められたので通勤のときに一駅手前で降りて歩いている、という経験がある方も多いのではないでしょうか? でもそれでは、運動の負荷が低くて健康増進の効果がないどころか、「私は運動をしている」と安心してしまうことにつながっています。  青山学院大学駅伝チームのフィジカルトレーナーを務め、数々のトップアスリートの指導

「欲望の奴隷」からの脱出――『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ 自由と闘争のパラドックスを越えて』(1)

 NHK「欲望の時代の哲学」での番組出演が大反響を呼び、ブームを巻き起こしたドイツ人哲学者、マルクス・ガブリエル。「自由」の理念の実験場とも言うべきアメリカの中心地・ニューヨークで、世界が注目している哲学者は何を思い、何を語ったのか。そして、なぜ彼は時代と闘うのか。  当記事は、2020年4月10日(木)発売予定のNHK出版新書『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ 自由と闘争のパラドックスを越えて』の一部を、全2回にわたって先出しで掲載するものです。 人はみな、本

「愛と性と存在のはなし」第7回 〔最も深い苦悩を語るということ〕 赤坂真理

※連載第1回から読む方はこちら  「あなたの秘密を書いてください」  そう言われたら、あなたは何を書くだろうか。  正直になれるだろうか? 目の前の人に。  いや、  正直になれるだろうか? ほかならぬ自分に。  自分のために。    そんな課題を、2019年度、教えていた大学生の創作の課題に出した。  何年か創作の教師をして、創造性には、この課題がいちばんよかった。いちばん変容が起きた。いろいろな課題を出したけれど、いちばん厄介なのは、才能の欠如でもテクニックの欠如でも

「脱落」するリスクは誰にでもある――日本経済を激しく蝕む、労働市場の「落とし穴」とは何か?

 労働市場から100万人を超える“消えた”人々がいる――。  取材を進める中で著者たちに見えてきたのは、雇用統計にすら反映されず、労働市場から“消えた”状態となっている中高年たちの存在だった。その数、100万人超。働き盛りのはずの40代・50代に、いま何が起きているのか? 日本経済にまで負のインパクトをもたらす、労働市場の「落とし穴」とは? 誰もが陥りかねない「消えた労働者(=ミッシングワーカー)」の実態と問題の背景、そして解決の糸口に密着取材で多角的に迫る。  当記事は、N