2020年「本がひらく」で話題を呼んだ記事5選を振り返り――韓国ドラマからラッパー評伝、サイコサスペンス小説まで
今年一年「本がひらく」をご愛読くださり、本当にありがとうございました! 2020年1月15日にサイトを立ち上げて以降、「何ができるか」「何をやるべきか」を考えて実践しているうちに、あっという間に一年を迎えようしています。
そこで、この一年を振り返る代わりに、「本がひらく」で反響のあった記事のいくつかをここでご紹介します!
①日本でも大注目の韓ドラ! EXOのド・ギョンス(D.O.)が初挑戦した時代劇が話題に
昨年、NHK-BSプレミアムで国内初放送され、今年5月には地上波で放送された韓国ドラマ「100日の朗君様」。朝鮮王朝時代を舞台に、幼い頃に出会った世子(イ・ユル)とユン・イソが、権力争いと政変により引き裂かれるも、数奇な運命を経て再び巡り合い、ひょんなことから夫婦として過ごす100日間を描いた時代劇。
主役・世子を務めるのは韓国のみならず日本でも絶大な人気を誇るアイドルグループ「EXO」のD.O.ことド・ギョンス。世子と朝廷の陰謀によって記憶喪失になった村人(ウォンドゥク)という2人をド・ギョンスがひたむきに演じる一方、時代劇ながら毎回コミカルな展開は笑いあり、涙あり、胸キュンありのストーリーで、毎週の放送後はファンの方々の熱い感想ツイートなどが飛び交う賑わいでした。
そんな地上波での放送直前に掲載したこちらの記事は、大の韓国ドラマファンの編集者が担当したもので、その熱量があふれていました。それが伝わったのか、待ちに待ったファンの皆さんに読まれ、10万PVを超える反響に! 「愛の不時着」や「梨泰院クラス」など、韓国ドラマの勢いが止まらない昨今。次はどんなドラマが私たちを夢中にさせてくれるのか、とても楽しみです!
②いまなお厚く支持を集めるラッパー・ECD、磯部涼による評伝連載がスタート
2018年に他界したラッパーのECDさん。音楽家としてだけでなく、私小説家として、そして社会運動家としても活躍されていたECDさんを多くの人が偲び、その作品や活動はいまでも人々に大きな影響を与えています。
そんなECDさんの生涯を評伝として描く連載を、彼の命日にあたる今年1月24日に公開しました。執筆は、さまざまな場所・人への丁寧な取材で“ニッポンの病巣”をえぐった『ルポ川崎』が注目を集めたライター・磯部涼さん。2000年代初頭からECDさんと親交を深め、併走してきた磯部さんでなければ描けない画期的な評伝です。
ECDさんの命日での記事公開だったこともあり、多くの方から反響があり、瞬く間に「スキ」の数が増えていきました。その様子は、まさにECDさんへと捧げられた祈りのように感じたのを思い出します。現在、第2回公開に向けて準備中ですので、引き続き楽しみにお待ちください!
③毎回、いま話題のさまざまなジャンルの研究者が登場する気鋭の連載
「NHK出版新書の認知拡大を!」という新書編集部員の意気込みから始まったのが、連載「NHK出版新書を探せ!」。さまざまな出版社が独自のカラーを打ち出しながら、新書レーベルを立ち上げている昨今。「老舗の新書レーベルにはまだ敵わなくても、もっとうちの新書を知ってほしい」という慎ましくも、攻めの姿勢で臨んでいる企画です。
毎回、いまを時めく気鋭の研究者に取材し、最新の研究やいま考えていらっしゃることなどを伺いながら、その方の本棚にある(かもしれない)NHK出版新書の感想を訊ねています。そのインタビュアーを務めるのは、ライターおよび編集者として活躍し、当社からも『試験に出る哲学――「センター試験」で西洋思想に入門する』などの著書がある斎藤哲也さん。先方のお話の意図を丁寧に汲み取った斎藤さんの取材力も面白さのひとつです。
これまで法哲学、倫理学、経済学、生物学、歴史学、国際政治学、経済思想学における、それぞれ第一線で活躍されている研究者の皆さんからお話を伺ってきました。今後もさらに旬の情報や知識をお伝えしていきますので、どうぞご期待ください!
④国際アンデルセン賞ノミネート中の荒井良二さんが絵本への思いを語る
2019年9月に刊行された、荒井良二さんの最新絵本『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』は、愛馬「あさやけ」にまたがった「ぼく」が、さまざまな場面に立ち合いながら、日々の暮らしの中にある小さな幸せや喜びに出合っていく、希望に満ちた未来を描いた物語。荒井さんにとって約3年ぶりとなるオリジナル絵本の刊行は、ファンにとって待望の1冊でもありました。
本書制作の経緯や込めた思い、荒井さんが日ごろ考えていることや絵本づくりで心がけていることなどについて、さまざまに荒井さんに語っていただいたインタビューは、note編集部さんのオススメ記事としても取り上げられ、多くの方々に読んでいただきました。
そんな荒井さんは現在、“小さなノーベル賞”とも呼ばれている「国際アンデルセン賞」(2022年)の画家賞部門で日本人の代表としてノミネート中です。日本人による画家賞の受賞は1984年の安野光雅さん以来でもあり、おのずと期待も高まります。この機会に改めてこの記事で荒井さんの世界にふれてみるのはいかがでしょうか?
⑤芥川賞作家・藤野可織さんの神髄――狂気に満ちたサイコサスペンス小説
これまで、不穏な世界やただならぬキャラクターを妖しく、そして美しく綴り、独自の世界観を構築してきた藤野可織さんの数々の小説。そんな「至高の狂気」を描き出す藤野さんにとって集大成とも言える作品が、この「ここからは出られません」です。
どこにでもいる平凡な女性・鳩里鳩子が、習慣的に「人を殺す」のは、欲望のままに行う無差別殺人ではなく、堅固たる「自分より強い者しか殺さない」というルールに則って行動していく様を描いた本作。まさに最強(最凶)クラスで藤野節がほとばしっています!
現代日本版の「アメリカン・サイコ」をイメージした本作は、藤野さんのファンはもちろん、「アメリカン・サイコ」ファンからもたくさんの反響をいただき、SNS上でも話題になりました。果たして、鳩子の狂気はどこまで加速していくのか? 鳩子に待つ行く末は? 絶賛執筆中の次回公開はもうすぐですので、ぜひお楽しみに!
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いかがでしたでしょうか? 来年もさまざまな新しい連載や特集企画、話題の著者や本の紹介、耳寄りな情報などお伝えできるよう編集部一同で取り組んでまいります。これからも「本がひらく」への応援を、どうぞ宜しくお願いします!