妊娠が判明した鳩里鳩子だが、その信条は確固として変わらない。自分より強い者しか殺さない。そんな彼女は、複数の「女性だけ」が殺された事件を「無差別通り魔事件」と報道するニュースに憤る。しかし、その後に訪れた未体験のつわりという悪夢が彼女の心をかき乱し――。 ※当記事は連載第3回で…
今年一年「本がひらく」をご愛読くださり、本当にありがとうございました! 2020年1月15日にサイトを立ち上げて以降、「何ができるか」「何をやるべきか」を考えて実践しているうちに、あっという間に一年を迎えようしています。 そこで、この一年を振り返る代わりに、「本がひらく」で反響のあ…
※連載第1回から読む方はこちらです。 髪の長い人には、定期的に「バッサリいきたい」という発作が訪れるようだ。髪は1年間に、約12センチほどしか伸びないと言われる。襟足を刈り上げるようなショートカットから背中の真ん中辺りまで伸ばすとなると、最低でも3年はかかるだろう。なんてことをして…
どこにでもいるような平均的で平凡な女性、鳩里鳩子。そんな彼女にとって唯一健全ならざる習慣は「ときどき殺しをする」ことだった。その手口は欲望のままに行う無差別殺人に見えるが、彼女は堅固たる自分のルールに則って人を殺し続けていた。 そんなある日、彼女の身体に異変が起こり――。 ※…
至高の狂気を描き出す作家、藤野可織の集大成がここに誕生! 私立大学の職員である鳩里は、ごくありふれた生活を送っている。決まった時間に出勤し、決まった時間に帰宅。ランチタイムには、身に着けたブランド品を同僚と自慢しあうなど、その生活は普通そのものだ。そんな「普通」な彼女が抱える…
ついに笘篠刑事に身柄を確保された鵠沼駿。確保の直前、鵠沼は旧友・五代良則と思い出の場所で再会を果たし、二人にとって空白の時間を埋めていた。震災によって引かれた線が、鵠沼と五代のその後の人生を大きく変えていたのだった。警察に連行された鵠沼は、笘篠に何を語るのか――。 ※本記事は…
鵠沼駿と五代良則それぞれの関係者への事情聴取を行ったが、ふたりの決定的な接点も有力な犯行の手がかりも、笘篠刑事は見つけることができなかった。それどころか、話を訊けば訊くほど鵠沼が犯行に及ぶ人間像からは遠く感じられるほどであった。しかし、鑑識を進めていた両角より、鵠沼がキズナ会の…
たび重なる詐欺により宮城刑務所に収容されていた五代良則は、懲りることなく、出所後のさらなる悪事を計画しながら日々を過ごしていた。そこには、五代が出所後の仕事のパートナーとして目をかけていた利根勝久の姿もあった。そんな折、東日本大震災が発生した。刑務所の食堂にあるテレビが五代の地…
五代良則と鵠沼駿は、金山組のフロント企業「東北ファイナンス」に一矢報いるため、「東北ファイナンス」のホストコンピューターへハッキングすることで資産を複数の架空口座に不正送金する詐欺を思いつき、成功させる。これをきっかけにふたりは互いを認め合い、親交を深めた。2001年春、高校を卒業…
1999年4月、高校2年生に進級した五代良則の同じクラスには鵠沼駿がいた。校内で有名な札付きのワルだった五代と、クラス委員長を務める優等生の鵠沼。交わるはずのないふたりだったが、五代が暴力団の組員に襲われ瀕死の重傷を負っているところを、鵠沼が助けたことでふたりの関係性に変化が訪れよう…