マガジンのカバー画像

小説・エッセイ

298
人気・実力を兼ね備えた執筆陣によるバラエティー豊かな作品や、著者インタビュー、近刊情報などを掲載。
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

長編ミステリー小説 「境界線」第6回 中山七里

鬼河内珠美と真希竜弥が身元を入手した経路を追っていた笘篠と蓮田は、〝名簿屋〟を裏稼業としている五代良則への事情聴取を行うも、芳しい成果を得ることができなかった。五代の関与を怪しみつつも、名簿屋に情報を売った出所をつかむべく、笘篠たちは膨大な個人情報を取り扱う役所や金融機関を探ろうとしていた。 境界線 第6回連載第7回へ進む 連載第5回へ戻る プロフィール 中山七里(なかやま・しちり) 1961年生まれ、岐阜県出身。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回「このミス

エッセイ「日比谷で本を売っている。」第1回 〔土の香りとレトルトのパスタソース〕 新井見枝香

日比谷で働く書店員のリアルな日常、日比谷の情景、そして、本の話。  私は都内でひとり暮らしをする、39歳の会社員だ。こうして物を書くこともあるが、基本的には、書店に立って本を売っている。  3年前に台東区の実家を出て、ひとり暮らしを始めた。縁もゆかりもない東久留米を選んだのは、単に不動産屋に勧められたからである。その頃、新しい書店のオープンに携わっていて、ハムスターのカラカラみたいに、働いても働いても、終わりがなかった。毎日終電で帰っては、這うように出勤する日々。なぜそんな

『クジラアタマの王様』ファン代表・上白石萌音さんが聞く「教えて!伊坂幸太郎さんのあんなこと、こんなこと」

大の“伊坂ファン”として知られる女優の上白石萌音さんが、伊坂幸太郎さんにぶっちゃけ質問! 伊坂さんの作品づくりに関することからプライベートまで、ファンだからこそ聞きたかった疑問の数々に一問一答形式で伊坂さんが答えます。 上白石: 怒涛の伏線回収が毎回楽しみです。どの程度展開を考えてから書き始めますか? 伊坂: あまり先の先までは考えず、全体の一割くらいを思い描いたら、書きはじめちゃうことが多いです。そこまで書いたら次の展開を考える形で、七割くらい書いたところでラストシーンが

3年ぶりのオリジナル絵本刊行!作品に込めた思いとは――荒井良二インタビュー

3年ぶりとなるオリジナル絵本『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』を刊行した世界的な絵本作家・荒井良二さん。本作の誕生秘話から絵本を作ることへの思いまで、最前線を走り続ける荒井さんに、今の気持ちなどを聞きました。 小さな自信や自尊心を思い起こしてほしくて どんな絵本にしようかと編集者とふたりで打合せをしているとき、どちらからともなく「小さな祝祭」をテーマにした絵本はどうか、という話になったんです。話し合いを進めるうちにイメージが膨らみ、日々の生活の中にある出来事に対する

長編ミステリー小説 「境界線」第5回 中山七里

天野明彦を騙っていた男は、日頃から指に接着剤を塗布し、指紋が自宅などに残ることを徹底して避けていた。笘篠と蓮田はもちろん、証拠を必死に探す鑑識にも焦りのムードが漂う。なぜ男はそれほどまでに身元を隠すのか? そんなとき、天野を騙っていた男の自宅から接着剤の被膜らしきものが発見された。 境界線 第5回連載第6回へ進む 連載第4回へ戻る プロフィール 中山七里(なかやま・しちり) 1961年生まれ、岐阜県出身。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがす

長編ミステリー小説 「境界線」第4回 中山七里

笘篠刑事の妻・奈津美の身元を騙っていた鬼河内珠美は、かつて陰惨な殺人事件を起こした両親を持ち、世間に対して肩身が狭い思いを抱えて生きていた。珠美が奈津美の身元を入手した経路を探っているさなか、十指を失い、口元を著しく損壊された他殺体発見の一報が入る。この遺体もまた他人の身元を騙ったものだった。 境界線 第4回連載第5回へ進む 連載第3回へ戻る プロフィール 中山七里(なかやま・しちり) 1961年生まれ、岐阜県出身。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回「このミ

長編ミステリー小説 「境界線」第3回 中山七里

妻の身元を騙っていた女が風俗嬢だったことがわかり、その足取りを追う宮城県警の笘篠と蓮田刑事。女は死の直前にふたりの男を接客しており、そのうちのひとりに聞き込みを行うも身元の特定には至らず。焦れる気持ちを抑え、笘篠と蓮田はもうひとりの男を捜すのだった。 境界線 第3回連載第4回へ進む 連載第2回へ戻る プロフィール 中山七里(なかやま・しちり) 1961年生まれ、岐阜県出身。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。斬新な視点と

長編ミステリー小説 「境界線」第2回 中山七里

遺体は妻・奈津美のものではなく、まったくの別人だったーー。宮城県警捜査一科警部・笘篠誠一郎は妻の身元を騙った女の素性を探ろうとするが、なかなかたどり着けずにいた。一体、誰が、何のために。強い憤りを胸に、さらなる捜査を進める。 境界線 第2回連載第3回へ進む 連載第1回へ戻る プロフィール 中山七里(なかやま・しちり) 1961年生まれ、岐阜県出身。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。斬新な視点と華麗などんでん返しで多くの

長編ミステリー小説 「境界線」第1回 中山七里

〈東日本大震災で行方不明になっていた妻の変死体が発見され、しかも前夜まで生きていた〉。さまざまな疑問を胸に遺体安置所へ急行した宮城県警捜査一科警部・笘篠誠一郎は、思わぬ事実に直面する――。2018年1月刊行の長編小説『護られなかった者たちへ』のその後を描く、魂を揺さぶる社会派ミステリー小説。 境界線 第1回連載第2回へ進む プロフィール 中山七里(なかやま・しちり) 1961年生まれ、岐阜県出身。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」

長編伝奇小説 「太陽の末裔」第3回 恩田 陸

マヤ暦で世界が終わるとされていた2012年12月21日、東京で変死体が見つかる。その出来事は、南米の古代巨石文明に秘められた謎の技術に繋がる序章にすぎなかった。世界は本当に終わっていなかったのか? 恩田陸が6年の構想を経て描く、長編伝奇小説。 太陽の末裔 第3回連載第2回へ戻る プロフィール 恩田陸(おんだ・りく) 1964年、宮城県生まれ。91年、第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年、『夜のピクニック』で第2

長編伝奇小説 「太陽の末裔」第2回 恩田 陸

マヤ暦で世界が終わるとされていた2012年12月21日、東京で変死体が見つかる。その出来事は、南米の古代巨石文明に秘められた謎の技術に繋がる序章にすぎなかった。世界は本当に終わっていなかったのか? 恩田陸が6年の構想を経て描く、長編伝奇小説。 太陽の末裔 第2回連載第3回へ進む 連載第1回へ戻る プロフィール 恩田陸(おんだ・りく) 1964年、宮城県生まれ。91年、第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年、『夜のピ

長編伝奇小説 「太陽の末裔」第1回 恩田 陸

マヤ暦で世界が終わるとされていた2012年12月21日、東京で変死体が見つかる。その出来事は、南米の古代巨石文明に秘められた謎の技術に繋がる序章にすぎなかった。世界は本当に終わっていなかったのか? 恩田陸が6年の構想を経て描く、長編伝奇小説。 太陽の末裔 第1回連載第2回へ進む プロフィール 恩田陸(おんだ・りく) 1964年、宮城県生まれ。91年、第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年、『夜のピクニック』で第26