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ミステリー小説や食エッセイから、小中学生向けの教養読み物まで、さまざまな興味・関心を刺激する作品を取りそろえています。
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2021年8月の記事一覧

「NHK出版新書を探せ!」第20回 街の洋食屋さんのような学者になりたい――磯野真穂さん(医療人類学者)の場合【後編】

 突然ですが、新書と言えばどのレーベルが真っ先に思い浮かびますか? 老舗の新書レーベルにはまだ敵わなくても、もっとうちの新書を知ってほしい! というわけで、この連載では今を時めく気鋭の研究者の研究室に伺って、その本棚にある(かもしれない)当社新書の感想とともに、先生たちの研究テーマや現在考えていることなどをじっくりと伺います。コーディネーターは当社新書『試験に出る哲学』の著者・斎藤哲也さんです。  ※第1回から読む方はこちらです。 〈今回はこの人!〉 磯野真穂(いその・まほ

連載 シン・アナキズム 「ねこと森政稔」第2回

政治思想史家の重田園江さんによる好評連載「アナキスト思想家列伝」第9回! いま大注目のアナキズム思想とはいったいどんなものか? そして現代的な可能性はあるのか? こうした疑問に答えながらアナキズムの新しい魅力をビシバシと伝えていく連載です。今回は3人目にして日本の現役の思想家を取り上げた話題の回「ねこと森政稔」の後半です! ※「ねこと森政稔」の前半を読む方はこちらです。 ※これまでの各シリーズは下記よりお読みいただけます。  「序 私はいかにして心配するのをやめ、アナキストに

「NHK出版新書を探せ!」第19回 食べ物と他者はよく似ている――磯野真穂さん(医療人類学者)の場合【前編】

 突然ですが、新書と言えばどのレーベルが真っ先に思い浮かびますか? 老舗の新書レーベルにはまだ敵わなくても、もっとうちの新書を知ってほしい! というわけで、この連載では今を時めく気鋭の研究者の研究室に伺って、その本棚にある(かもしれない)当社新書の感想とともに、先生たちの研究テーマや現在考えていることなどをじっくりと伺います。コーディネーターは当社新書『試験に出る哲学』の著者・斎藤哲也さんです。  ※第1回から読む方はこちらです。 〈今回はこの人!〉 磯野真穂(いその・まほ

子のない女の人生――「マイナーノートで ♯05〔不産ハラスメント〕上野千鶴子」

各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。 ※#01から読む方はこちらです。 不産ハラスメント 「産後うつ」ということばがあるのだから、「未産うつ」だってあるでしょう、と若い女性が訴えていると聞いた。出産適齢期の女性が子どもを産まないと、「子どもはいつ?」「まだ産まないの?」「妊活ならいいお医者さまを紹介してあげようか?」と周囲がいちいち

幸せそうで、なにが悪い――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は、電車の中で起きた痛ましい事件と、「幸せそうな女性」について、社会に思うことを書いていただきました。 ※当記事は連載の第5回です。最初から読む方はこちらです。 #5 幸せそうな女性 「幸せそうな女性を殺したかった」という理由で男性が女性を狙って刺した。ニュースを見て、事件の被害者や居合わせた人々に思いを馳せ、胸を痛めると同時に苦しい記憶を蘇らせた女性は多

“アメリカを代表するリベラル派女性最高裁判事”ルース・ベイダー・ギンズバーグ――連載「アメリカ、その心の生まれるところ~変革の言葉たち」新元良一

 自由・平等・フロンティアを旗印に、世界のリーダーとして君臨してきたアメリカ。様々な社会問題に揺れるこの国の根底には何があるのか? 建国から約230年。そこに培われた真のアメリカ精神を各分野の文化人の言葉の中に探ります。  第3回は、アメリカ最高裁史上2人目の女性判事として27年間務め、現役のまま亡くなった弱者の強き擁護者、ルース・ベイダー・ギンズバーグ(1933-2020)です。  ※第1回から読む方はこちらです。 第3回「大事なもののために闘えばいい。ただし、ほかの人の

連載 シン・アナキズム 「ねこと森政稔」第1回

政治思想史家の重田園江さんによる好評連載「アナキスト思想家列伝」第8回! あらためて注目が集まっているアナキズム思想の現代的可能性をビシバシと伝えていく連載です。今回は3人目として日本の現役の思想家を取り上げる待望の回「ねこと森政稔」の前半です! ※これまでの各シリーズは下記よりお読みいただけます。  「序 私はいかにして心配するのをやめ、アナキストについて書くことにしたか」へ  「ジェイン・ジェイコブズ編」の第1回へ  「ヴァンダナ・シヴァ編」の第1回へ 駒場のねこたち

日比谷の書店員のリアルな日常、街の情景、本の話――〔蛙と進化〕 新井見枝香

※当記事はエッセイ連載「日比谷で本を売っている。」の第19回です。第1回から読む方はこちらです。  手帳に旅行の予定を書き込んだが、なんだか妙である。 「取鳥旅行」  それくらい、馴染みのない土地だった。  新幹線を姫路で降りて、特急で鳥取県内の某駅に着くと、知人が車で迎えに来ていた。梅雨時で空が重く、今にも降り出しそうだ。駅前を離れ川沿いを進むと、雲を被った山の合間に田んぼが広がり、ぽつぽつと数軒の家が並ぶ。知人の家の前で車を降りると、足下で何かが跳ねた。「モグラ叩き」が