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いつもいっしょにいてくれたから。「いっしょに」――《こどく、と、生きる》統合失調症VTuber もりのこどく
「同じ病で苦しむ仲間とつながりたい、救いたい、当事者以外の人たちにも病気のことを知ってほしい」という思いでVTuberになり、配信を通してメッセージを伝え続けるもりのこどくさん。高校生で統合失調症になった彼女がいかにしてVTuberになったのか、その足跡を綴ったエッセイ連載です。
※#0から読む方はこちらです。
#42 いっしょに
こどくには、小学生のころからのおともだちがいる。ありがたいことに、いまもなかよく、電話をしたり、おたがいの家へ行ったりするほどだ。
今回は、そんなこどくのおともだちから、こどくが小学校のころのおはなしを聞いてみた。
こどく 「もう10年以上なかよくしてることになるね」
おともだち 「長いねえ」
こどく 「今日は、そんなおともだちに、インタビューをします。こどくの第一印象を教えてください」
おともだち 「第一印象~? そんな覚えてないよ。なんか、へんなTシャツ着てたなってことしか」
こどく 「へんなTシャツ!?」
おともだち 「あれはこどくちゃんじゃなきゃ着こなせなかったね。あと、いろんなことをやる子だなーって思ってた。私はあんまりやろうと思わないことも、こどくちゃんが私をひっぱっていっしょにやろうって言ってくれたから、私もいろいろやろうって思えたかな。あと、私以外にもおともだちおおいよね。それは、まあ性格もあるけど、まめに連絡とってくれるっていうのがおおきいかも」
こどく 「なるほど。じゃあ、こどくとの思い出のなかで、これは覚えてるなってエピソードある?」
おともだち 「5年生のとき、私、足がおそくて、50m走10秒くらいだったんだけど、恥ずかしくってひとに言えなくて。それで、こどくちゃんに『何秒だった?』って聞いたら、『11秒』って即答されて、『恥ずかしいことってないな』って思った(笑)」
こどく 「こどくすごいおそかったもんね(笑)」
おともだち 「あと、まわりのおともだちがみんなこどくちゃんのこと知ってた」
こどく 「有名人ってこと?」
おともだち 「そう。学校で、だれにこどくちゃんのこと話しても、『ああ、あの子ね』とか、『あのかわいい子ね』って言われた」
こどく 「かわいいは照れるな。それでは、そんなこどくのこれからにひとこと、お願いします」
おともだち 「人生ってさ、あと77年あるらしいじゃん。こどくちゃんはしっかりしてて、私もそうだけど、人生生き急ぎがちなところがあるから、自分のペースで生きていってください」
おともだちは、とってもやさしくて、いつもこどくといっしょにいてくれた。しかし、そんなおともだちから見たこどくも、「いつもいっしょにいてくれたおともだち」だったのだ。これからも、いっしょにいることはおおいだろう。だからこそ、突然聞いても、こんなにこどくのことを覚えてくれていて、話をしてくれることができる。今回のインタビューは1時間以上おしゃべりをしてしまった。こんなこどくだが、これからもどうか、いっしょにいてもらいたい。
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※本連載は毎週月曜日に更新予定です。
プロフィール
もりのこどく
VTuber。「同じ病で苦しむ仲間とつながりたい、救いたい、当事者以外の人たちにも病気のことを知ってほしい」。そんな思いで19歳で配信を始めた。バーチャルの強みを生かして、当事者たちの居場所をクラウドファンディングでメタバース上に創るなど幅広く活動。2023年、SDGsスカラシップ岩佐賞を受賞。