小説・エッセイ

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私はとても上手に針を刺すことができます――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス小説「ここからは出られません」藤野可織

私はとても上手に針を刺すことができます――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス小説「ここからは出られません」藤野可織

 妊娠安定期に入った鳩里鳩子だが、彼女の心配は尽きない。  彼女の信念では、生まれてくる子はあらゆる意味で「完璧」でなければならないのだ。  自然かつ完璧な状態で、すべての「特権」を掌握できる存在……。  そんな彼女が選んだ選択は――。  ※当記事は連載第4回です。第1回から読む方はこちら。  私がそれを申し出たとき、私の産婦人科医はぎくりと肩を震わせる。羊水検査だ。私のつわりはすっかりおさまっている。尿検査でもケトン体は出ていない。すべての数値が正常だ。胎児にも問題は見ら

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限定特典付き販売も! 佐藤健ら豪華キャストで映画化される『護られなかった者たちへ』の原作小説、大迫力のフルカバー帯バージョン登場!

限定特典付き販売も! 佐藤健ら豪華キャストで映画化される『護られなかった者たちへ』の原作小説、大迫力のフルカバー帯バージョン登場!

 ミステリー小説の名手・中山七里さんのヒューマン・ミステリー『護られなかった者たちへ』は、刊行以来、読者や書店員の皆さまの大きな反響を呼び続けてきました。そして2021年10月1日(金)、ついに本書を原作とする映画が封切られます。主演の佐藤健さんをはじめ阿部寛さんや清原果耶さんなど、映画「護られなかった者たちへ」は実力派俳優が勢ぞろいの力作です。  この映画公開を記念して、4月23日(金)から新たな装いのフルカバー帯をはじめ、この機会にしか手に入らない限定特典をご用意したキャ

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今の私には人殺しができない――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス小説「ここからは出られません」藤野可織

今の私には人殺しができない――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス小説「ここからは出られません」藤野可織

 妊娠が判明した鳩里鳩子だが、その信条は確固として変わらない。自分より強い者しか殺さない。そんな彼女は、複数の「女性だけ」が殺された事件を「無差別通り魔事件」と報道するニュースに憤る。しかし、その後に訪れた未体験のつわりという悪夢が彼女の心をかき乱し――。  ※当記事は連載第3回です。第1回から読む方はこちら。  吐き気にもいろいろある。二日酔い。風邪。胃腸炎。食中毒。そういうのはただただ最悪だけど、そうでもないのもあって、それは高揚と緊張と集中がぴんと張り詰めたときに感じ

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2020年「本がひらく」で話題を呼んだ記事5選を振り返り――韓国ドラマからラッパー評伝、サイコサスペンス小説まで

2020年「本がひらく」で話題を呼んだ記事5選を振り返り――韓国ドラマからラッパー評伝、サイコサスペンス小説まで

 今年一年「本がひらく」をご愛読くださり、本当にありがとうございました! 2020年1月15日にサイトを立ち上げて以降、「何ができるか」「何をやるべきか」を考えて実践しているうちに、あっという間に一年を迎えようしています。  そこで、この一年を振り返る代わりに、「本がひらく」で反響のあった記事のいくつかをここでご紹介します! ①日本でも大注目の韓ドラ! EXOのド・ギョンス(D.O.)が初挑戦した時代劇が話題に  昨年、NHK-BSプレミアムで国内初放送され、今年5月に

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映画続報に沸く『護られなかった者たちへ』(主演・佐藤健)のシリーズ続編『境界線』——情報化社会の闇ビジネスと人々の祈りを描く骨太の社会派長編小説

映画続報に沸く『護られなかった者たちへ』(主演・佐藤健)のシリーズ続編『境界線』——情報化社会の闇ビジネスと人々の祈りを描く骨太の社会派長編小説

復興への祈りを込めたヒューマンミステリー  12月16日(水)に中山七里さんの新作小説『境界線』が発売されます。この日は中山さんの誕生日です。そして今年は中山さんの作家デビュー10周年の記念イヤー。そのキャンペーンの一環として実施している「単行本12か月連続刊行」のフィナーレを飾るのが本書です。  本作は2018年に刊行された『護られなかった者たちへ』につらなる、“宮城県警シリーズ”の続編。宮城県警捜査一課の笘篠誠一郎刑事が部下の蓮田らとともに、宮城県内で起きた不可解な事

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日比谷で働く書店員のリアルな日常、日比谷の情景、そして、本の話――エッセイ「日比谷で本を売っている。」第11回 〔バンドマンと壺〕新井見枝香

日比谷で働く書店員のリアルな日常、日比谷の情景、そして、本の話――エッセイ「日比谷で本を売っている。」第11回 〔バンドマンと壺〕新井見枝香

※連載第1回から読む方はこちらです。  髪の長い人には、定期的に「バッサリいきたい」という発作が訪れるようだ。髪は1年間に、約12センチほどしか伸びないと言われる。襟足を刈り上げるようなショートカットから背中の真ん中辺りまで伸ばすとなると、最低でも3年はかかるだろう。なんてことをしてくれたのだ。  発作の度にファンから全力で止められていた私の推しが、この度ついに、その美しい長髪を「バッサリ」やってしまったのである。SNSに投稿された写真を見て、目眩がした。コロナの影響で半年

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戌井昭人(作家)×伊賀大介(スタイリスト):「戌井さんといると小説の登場人物のように面白いことが必ず起こる」――新作小説『壺の中にはなにもない』刊行記念対談

戌井昭人(作家)×伊賀大介(スタイリスト):「戌井さんといると小説の登場人物のように面白いことが必ず起こる」――新作小説『壺の中にはなにもない』刊行記念対談

 10月28日に発売された作家・戌井昭人さんの最新小説『壺の中にはなにもない』の帯にコメントを寄せてくださったスタイリストの伊賀大介さん。ふたりは15年以上前からの友人で、数々の他とは代えがたい思い出を共有してきたという。  当記事では、ふたりの出会いから思い出深いエピソード、鉄割アルバトロスケットのこと、そして戌井さんの新作小説『壺の中にはなにもない』まで、さまざまに伺った対談の様子をお届けします。 戌井さんは、飲みの先輩であり気の合うお兄ちゃん 伊賀 振り返ると、最初

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人を「無差別」に殺してはいけない――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス小説「ここからは出られません」藤野可織

人を「無差別」に殺してはいけない――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス小説「ここからは出られません」藤野可織

 どこにでもいるような平均的で平凡な女性、鳩里鳩子。そんな彼女にとって唯一健全ならざる習慣は「ときどき殺しをする」ことだった。その手口は欲望のままに行う無差別殺人に見えるが、彼女は堅固たる自分のルールに則って人を殺し続けていた。  そんなある日、彼女の身体に異変が起こり――。  ※当記事は連載第2回です。第1回から読む方はこちら。  夕方に起こった殺人事件で、夜のニュースはもちきりだ。私はソファーで憤慨している。夫は背後の食卓でパソコンを開いている。食洗機のモーターのうなり

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健全な女性が健全ではない欲求を果たす――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス連載小説「ここからは出られません」藤野可織

健全な女性が健全ではない欲求を果たす――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス連載小説「ここからは出られません」藤野可織

 至高の狂気を描き出す作家、藤野可織の集大成がここに誕生!  私立大学の職員である鳩里は、ごくありふれた生活を送っている。決まった時間に出勤し、決まった時間に帰宅。ランチタイムには、身に着けたブランド品を同僚と自慢しあうなど、その生活は普通そのものだ。そんな「普通」な彼女が抱える秘密とは―――。 「ここからは出られません」というサインが輝いているのを見ている。これが私の毎朝の習慣。そのサインは、職場の最寄駅である地下鉄のホームの北の端にある。北の端とかんたんに言ってしまうと

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震災によって引かれた“境界線”が、一変させたもの――情報化社会の闇を描いた長編ミステリー小説「境界線」中山七里

震災によって引かれた“境界線”が、一変させたもの――情報化社会の闇を描いた長編ミステリー小説「境界線」中山七里

 ついに笘篠刑事に身柄を確保された鵠沼駿。確保の直前、鵠沼は旧友・五代良則と思い出の場所で再会を果たし、二人にとって空白の時間を埋めていた。震災によって引かれた線が、鵠沼と五代のその後の人生を大きく変えていたのだった。警察に連行された鵠沼は、笘篠に何を語るのか――。  ※本記事は連載最終回(第12回)です。 最初から読む 境界線 最終回(第12回) 連載第11回へ戻る 関連コンテンツ プロフィール 中山七里(なかやま・しちり) 1961年生まれ、岐阜県出身。2009

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