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小説・エッセイ

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人気・実力を兼ね備えた執筆陣によるバラエティー豊かな作品や、著者インタビュー、近刊情報などを掲載。
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2020年8月の記事一覧

「鈴川絢子のママYouTuberの子育てノート」第4回 子連れ鉄道旅のコツ

 2児の母であり、人気YouTuberの鈴川絢子さん。家族との鉄道旅行や、子どもたちとの何気ない生活の様子など、動画からあふれ出す鈴川家のほんわかした楽しそうな日常が、とくに鉄道好きの子どもたちとそのお母さんたちから支持されています。チャンネル登録者数も春からさらに約3万人増え、現在82.5万人。  当連載では、動画配信では伝えきれない子育ての工夫や想いなどを、家族とのエピソードとともに、鈴川さんがつづっていきます。  今回のテーマは「子連れ鉄道旅のコツ」です。新型コロナウ

健全な女性が健全ではない欲求を果たす――日常に潜む狂気を描いたサイコサスペンス連載小説「ここからは出られません」藤野可織

 至高の狂気を描き出す作家、藤野可織の集大成がここに誕生!  私立大学の職員である鳩里は、ごくありふれた生活を送っている。決まった時間に出勤し、決まった時間に帰宅。ランチタイムには、身に着けたブランド品を同僚と自慢しあうなど、その生活は普通そのものだ。そんな「普通」な彼女が抱える秘密とは―――。 「ここからは出られません」というサインが輝いているのを見ている。これが私の毎朝の習慣。そのサインは、職場の最寄駅である地下鉄のホームの北の端にある。北の端とかんたんに言ってしまうと

エッセイ「日比谷で本を売っている。」第8回 〔秘湯と白猿〕新井見枝香

 日比谷で働く書店員のリアルな日常、日比谷の情景、そして、本の話(第8回)。※最初から読む方はこちらです。  秘湯と呼ばれるその温泉は、気が遠くなるほどつづら折りを繰り返した、山の奥の奥にあった。江戸時代には、立派な茅葺き屋根の宿が3軒並んでいたそうだが、今はいちばん奥の1軒を残すのみ。火事で焼けてしまった真ん中の跡地は、そのままになっていた。そのいちばん手前、趣きのある新しい旅館が、今夜泊まる宿だ。浴衣を持って、さっそく風呂へ入ろうと脱衣所の扉を開けると、強い気配がある。

震災によって引かれた“境界線”が、一変させたもの――情報化社会の闇を描いた長編ミステリー小説「境界線」中山七里

 ついに笘篠刑事に身柄を確保された鵠沼駿。確保の直前、鵠沼は旧友・五代良則と思い出の場所で再会を果たし、二人にとって空白の時間を埋めていた。震災によって引かれた線が、鵠沼と五代のその後の人生を大きく変えていたのだった。警察に連行された鵠沼は、笘篠に何を語るのか――。  ※本記事は連載最終回(第12回)です。 最初から読む 境界線 最終回(第12回)連載第11回へ戻る 関連コンテンツ プロフィール 中山七里(なかやま・しちり) 1961年生まれ、岐阜県出身。2009年、