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「鈴川絢子のママYouTuberの子育てノート」第4回 子連れ鉄道旅のコツ

  2児の母であり、人気YouTuberの鈴川絢子さん。家族との鉄道旅行や、子どもたちとの何気ない生活の様子など、動画からあふれ出す鈴川家のほんわかした楽しそうな日常が、とくに鉄道好きの子どもたちとそのお母さんたちから支持されています。チャンネル登録者数も春からさらに約3万人増え、現在82.5万人。
 当連載では、動画配信では伝えきれない子育ての工夫や想いなどを、家族とのエピソードとともに、鈴川さんがつづっていきます。
 今回のテーマは「子連れ鉄道旅のコツ」です。新型コロナウイルスの流行で、まだまだ旅行には行きづらい状況ですが、安全に十分配慮して、少しずつ家族でのお出かけを楽しみはじめた鈴川さん。そこで今回は、幼い頃から旅好きな鈴川さん流の、鉄道旅のコツやルールを教えてもらいました。
 ※連載第1回から読む方はこちらです。

 この4月から「ママYouTuber」として、子育てについてお届けしています、鈴川絢子です。8月のカレンダーをめくると同時に梅雨が明け、暑い、暑い夏でした。みなさん、お変わりないでしょうか?

 さて、今回は、私の大好きな「鉄道旅」がテーマです。新型コロナウイルスの影響で、しばらく旅行や外出は控えていましたが、夏休みに入ってから、できる対策はしっかりして、混雑していない場所を選びつつ、また少しずつ外出しはじめました。こんなときこそ、鉄道を利用して力になりたいという思いは強いのですが、仕事や車両貸切など特別な場合を除いては、遠方への子どもたちの同行は控え、近場で楽しむようにしています。

 新型コロナ流行前までは、出かけない月はないといっても過言ではなかったわが家。子どもたちも一緒に、さまざまな鉄道に乗って、いろいろな場所に行っていました。だから、私の動画を見てくださっているお母さんがたからは「どんなふうに行き先を決めているの?」「スケジュールの組み立て方は?」「子どもたちの睡眠時間の調整は?」などの質問をされることが、よくありました。そこで今回は、子連れで鉄道旅を楽しむための、わが家なりの工夫やコツ、ルールを、お届けしたいと思います。みなさんのお出かけに、少しでもお役に立てればうれしいです。

子どもが生まれて旅が変わった

 子どもが生まれる前は、ピンポイントで「ここと、ここと、ここに行きたい」という、夫婦それぞれの目的の場所が先にあって、それらをつなぐ感じで旅の行程を決めていました。大人だけの旅ということもあり、少々無茶なプランでも、それも含めて鉄道旅を楽しんでいました。ですが、子どもと一緒にとなると、旅の目的はもちろん、車両の選び方や食事、泊まる宿も含め、安心して無理なく過ごせる、トータルで楽しい一つの旅として考えることが多くなったように思います。

 たとえば、車両の選び方でいえば、キッズスペースがあったり、キャラクターの車両だったり。以前なら乗らなかった車両に乗るようになったのは、子連れ旅ならではです。子どもたちも喜びますし、子どものご機嫌がいいほうが親の私たちも気持ちが楽になります。むしろ、移動中にも子どもたちと一緒に楽しめる時間が増えて、子連れでの移動の大変さはカバーできているかしれません。

旅のプランはどう立てる?

 長男のひたちが幼稚園に通いはじめてからは、平日の旅が難しくなりました。そのぶん、週末や長期休みを活用して、一度旅に出たら、なるべくいろんな物事を体験できるように心がけています。

 プランを考えるときは、まず、夫婦で候補を出し合います。2人とも、全国の鉄道や、この県にはこんな鉄道関係の見どころがある、いつどこで鉄道イベントが開催される……などの情報はつねにチェックしていますので、なんとなく頭に入っています。そこから、まだ乗ったことのない路線や車両、すでに夫婦で行ったことがあるけれど子どもたちにも楽しめそうな場所、大きい鉄道イベントから小さい鉄道イベントまで、まずはお互いの情報やアイデアを出し合います。

 また、最近ではひたちが「ここに行きたい」と提案してくれることが増えたので、子どもの希望を叶える旅も増えました。提案された目的地に行くために、その前後をどういう流れにするか、私たち夫婦で「この列車がいいんじゃない」「こういう行程がいいんじゃない」と相談して、一つの旅にします。

 このとき、情報共有にはスマートフォンを使いますが、便利なのは「iCloud」のメモ帳や「LINE」のノート機能です。

 とくにiCloudは、ほかのユーザーと共有して一つのファイルに書き込めるので、わが家では国内の鉄道旅の予定は、iCloudをおもに使っています。同期していればパソコンからも見られますし、いつ、どこにいても、最新情報がアップデートされた状態でやりとりできます。行程をどうしようかという相談や、どんなことをしたいかという企画など、アイデアの交換に使いやすいです。

 LINEの場合は、どちらかが主導権を持って決める場合に便利なので、海外旅行で使うことが多いです。わが家では、海外旅行のプランを決めるのはおもに私なので、まず大まかなプランを私がLINEのノートに投稿します。そして、それを夫が見て、意見があれば私がノートを修正していきます。

 とはいえ、iCloudもLINEも臨機応変に使用しています。
 とくに国内の旅は、長期、短期、日帰りと期間もさまざまです。長期の場合は、海外と同じようにLINEのノートにしっかり書くときもあれば、短期や日帰りの場合は、列車の時間以外、予定を決めていない気ままな旅のときもあるので、乗換案内アプリのスクリーンショットで済ますこともあります。大切なことは、旅の行程を夫婦できちんと共有するということでしょうか。

 行き先や車両の目星がついたら、国内の鉄道はだいたい1ヶ月前から指定席が販売されるので、人気の車両の場合は、まず1ヶ月後が空いているかをチェックします。そこから逆算して、細かい日程やスケジュールを考えていく。寝台列車や記念イベントなど、特別な車両に乗る場合は、もっと前から計画していることも多いので、その場合は、すべてプランを組んだ状態で、あとはチケットを取るだけにしておきます。

 だから多いときは、この月のこの週末にはあそこへ、さらにこの週末にはここへ行って、その翌週はこことか、ずいぶん先の予定まで決めて、チケットも押さえているなんてこともありました。決めておかないと、気がつけば「子どもの長期休みが迫っていた!」などとなりがちなのです。

 あとは「今週末、予定が空いている。何か乗ることができそうなもの、あるかな?」と調べて行くこともあります。新型コロナウイルスが流行する以前は、ひと月の週末のうち、3日間ぐらい子連れ旅に出かけていました。

 このように、子どもの生活に支障がない限り、ついつい予定を入れたくなりますが、詰め込み過ぎないようにも心がけています。とくに冬場は、風邪やインフルエンザなど、感染症も流行りやすい時期ですし、幼稚園もあります。無理をさせないように、大きな予定はワンシーズンに一つか二つにするなど、子どもの状況や体調を含めて決めるようにしています。

 旅によってタイムスケジュールはさまざまですが、鉄道は運行時間が決まっているものなので、基本的には鉄道合わせ。とはいえ、子どもたちに無理をさせるのは禁物です。

 どうしても朝の5時とか6時とか、早い時間の列車に乗らなくてはいけない場合は、前の日の午後からスケジュールを調整。わが家の場合は、幼稚園のお迎えや晩ごはん、お風呂などの時間を旅に合わせて、子どもたちが8時間以上は必ず眠れるようにしています。また、大人だけなら日帰りする旅も、余裕をもって前日から宿泊することもあります。

 たとえば、先ほど動画で紹介した「大井川鐡道きかんしゃトーマス」乗車の旅のときは、静岡県島田市にある新金谷駅に朝9時半に着いていないといけなかったので、前日18時頃発の東海道新幹線こだまに乗って静岡駅まで行き、そこで東海道本線に乗り換え島田駅に20時頃到着、市内のホテルに泊まりました。

 もし、無理なスケジュールで子どもが体調や機嫌を崩したら、子どもはもちろん親も旅を楽しめません。旅から帰ってきたときに「楽しかったね」と振り返れるようなゆとりのあるプランを立てる。これも子連れ旅を満喫するためのポイントなのかもしれません。

旅の便利グッズ

 子連れの旅や外出は、荷物が増えがちですよね。わが家もそうです。ただ、中には欠かせない便利グッズもあります。

 たとえばわが家では、子どもとお出かけするときは、サイズ違いのジッパー付きビニール袋を4サイズ分、バックパックに常備しています。子どもの食べかけのおやつを入れたり、汚れもの入れにしたり、記念にとっておきたい鉄道の切符を集めたり、記念スタンプを押した紙や冊子を入れたり。同じように活用されているご家庭も多いかもしれません。とにかく、ジッパー付きビニール袋は何かと役に立つので、必需品です!

 ほかに、クリアファイルを持っていくことも多いです。旅先でいただいたり買ったりした大きめの紙ものを、折り曲げず持って帰るのに重宝します。これは子連れ旅だけではなく、鉄道での旅全般でいえるかもしれません。とくに鉄道でのスタンプラリーを楽しむ際には、スタンプ用紙をきれいに保存しておくために欠かせないグッズです!

より思い出を増やしてくれるアイテム&アプリ

 わが家では、旅行に行くとき子どもに持たせるアイテムの一つとして、インスタントカメラがあります。

 旅先で、夫は基本的にはずっと動画を撮影していて、私もカメラを複数携帯しています。そうして撮った動画を、私たちはYouTubeで配信し続けていますが、その根本には鉄道をはじめ、いろんな場所の景色を撮っておきたいという気持ちが強くあります。そんな両親ですので、海外だと必ず、国内でもなるべく、ひたちにはインスタントカメラを持たせています。

 また、夫や周りの大人がカメラを構えているところを見ることが多いせいか、ひたちにもカメラに対する憧れがあるようで、渡すといつも喜んで撮影しています。デジタルカメラとは違い、撮れる枚数が限られている中で「いいと思ったものを撮ってみたら」と自由に使わせています。

 インスタントカメラのいいところは、使い捨てだから、万が一、なくしても壊れても「まあいいか」と思える気軽さでしょうか。持たせはじめたのは3歳ぐらいで、次男のときわが生まれた頃からです

 小さい子どもでも、自分の思い通りに撮影するのはやはり気持ちが入るのか、写真を見ると、被写体により強い想いを感じます。「この子は、こういうところに感動したり、気になったりしていたのか」というのが、ちゃんとわかるんです。夫や私が気がつかなかったものを撮っていたり、「こんなのあったよ」とあとで教えてくれたりもします。子どもの視点を具体的に見られるのはいいですね。

ひたち君写真1

 たとえば、こちらの写真は、昨年9月に横浜港の大さん橋で撮ったもので、中央奥に写っているのは、豪華客船セレブリティ・ミレニアム号です。祖父母と一緒に日本周遊クルーズに出かけるときの写真なのですが、まさかこんなところを撮っていたとは! 

 同じ環境で育った兄弟でも好みや性格が違うように、きっと惹かれるものが違うと思うので、ときわにも、もう少ししたらインスタントカメラを持たせたいです。

 旅のあいだ、Google EarthやGoogle Mapもよく見せます。なかでもGoogle Mapのストリートビュー機能は、一度見始めるとずーっと2人で見ています。もともとひたちが地図好きというのもありますが、ときわも影響されたのか、電車が映っているのを探したり、「この車両の車庫は、この沿線の、どこで見つかるでしょう」などと、ちょっとしたゲーム感覚で遊んだり。

 また、この先、どういうところに行くのかを「こんな感じだよ」と、ストリートビューで事前に教えたりもします。すると、実際にその場所を通過するときには、「今、ここにいる」とか「ここからこう来たよね」とか「本当だ。さっき見たやつだ」と確認するように路線を覚えてくれて、鉄道好きの両親としては、うれしいですね(笑)。いろんな地域を地図上で見るのは、遊びながら自然と地理が頭に入って、刺激になっているのかなと思っています。

子連れ旅だからこそ気をつけていること

 どちらかといえば旅慣れているわが家ですが、子どもを2人連れての移動は、やはりひと苦労です。ただ、実は、ひたちは全くといっていいほど出先で騒いで困った経験がなくて、本当に、すごくありがたい状況だったというのを、ときわが生まれてから感じています(笑)。

 ときわは、ヤンチャというか、比較的ワーッと騒ぐタイプです。だから、長時間の移動、とくに新幹線や飛行機などに乗る前には、たくさん遊んで疲れさせて寝る時間を調整したり、食事を大好物のメニューにしたり、なるべく心身ともに満足感を与えるようにしています。準備万端で出かけて、それでもだめだったら、好きなおもちゃやシールブックを出したり、動画を見せたり、頼れるアイテムでどうにか気を紛らわせます。それでもだめなら、デッキに出て、外を見ながらリフレッシュするのも効果があります。でも、一番ありがたいのは、ひたちがときわと遊んだり、面倒を見たりしてくれることです。ひたちが折り紙を始めたら、ときわも一緒にやり出して落ち着くこともあります。

 反対に、困ってしまうのは2人が同時に寝たときです。撮ろうと思っていた動画は、もちろん予定通りには撮れません。でも、わが家ではそこで撮影終了とはならず、基本的にしばらくカメラを回し続けているので、私が子ども2人を見ます。ただそうすると、どちらかはベビーカーに乗せたとしても、どちらかは抱っこなので、思うように動けません。もちろん、なるべくそれを避けるためにスケジュールは事前にきっちり組んでいますが、子どもたちの眠気はいつ襲ってくるかわからないので、この状況は本当に大変です(笑)。

 とはいえ、ここでも無理は禁物です。2人が寝たときは、撮れるものだけ撮って「もう、あとはいいんじゃない」と省略することが多いです。YouTubeは自分たちで発信する動画なので、無理するのもしないのも撮影者の選択。わが家では、家族が心地いいことを優先しています。

 子どもが2人になってから、座席の予約を取るときも、これまでよりもさらに家族の過ごしやすさを優先して考えるようになりました。ひたちだけのときは、大人2人に子ども1人だったので、大人2人分を並びの指定席で取るだけで、私たちの間に入れたり、膝の上に座らせたりしていました。でも、ひたちが成長して、ときわも生まれてから、席の取り方が変わりました。

 新幹線の自由席は、小学生になるまでは子ども料金がかかりません。大人1人に対して、小学生未満の幼児2人までが無料です。混雑時を除けば、わが家の場合、大人2人分の料金で4人分の座席を使用することもできます。

 でも、わが家では、席が空いていないなど、よほどのことがなければ子どもたちの分も指定席を取ります。今のひたちとときわの大きさなら、3人並びの指定席でもいいけれど、それなら2人掛けの座席を縦に2つ取って、くるっと回転させたほうが、家族4人で和やかに過ごせます。あとは、車両の中でも端の席を選ぶとスムーズに乗り降りできるので、なるべくそうできるように手配します。指定席の料金はかかりますが、子どもたちがリラックスできることが一番です。

 それから、旅先で在来線で移動するときも、混雑しそうな車両や時間帯は先に調べて、避けるようにしています。もし来た車両が混んでいたら見送って、車椅子やベビーカー専用スペースがある空いた車両に乗ります。近場へのお出かけや日常生活でも同じように心がけています。だから、1、2本逃すのは大前提。その分、時間に充分余裕をもって、早めに家を出たりして行動するのも、わが家の子連れ旅のルールです。

 私は旅が大好きで、子どもたちにもたくさんの旅をさせたいですし、これからも家族で旅を続けたいと思っています。新型コロナの影響で、まだまだ心から安心して子連れ旅行を楽しむのは難しい状況ですが、みなさんが今後鉄道旅に行くときに、わが家のコツやルールが参考になれば幸いです。

 さて、次回は、引き続き「旅」がテーマ。海外での子連れ旅について、お話したいと思います。小さい子どもを連れて海外旅行を楽しむ、わが家なりのポイントなどをお届けしたいと思います。残暑厳しい日が続きそうですので、みなさん、お出かけには十分ご注意ください。

構成協力/ニイミユカ

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プロフィール
鈴川絢子(すずかわ・あやこ)

1991年、千葉県出身。NSC東京16期生、吉本興業所属。2児の母。2013年にYouTubeで「鈴川絢子チャンネル」を開設。「恋するフォーチュンクッキー京浜急行ver.」の視聴回数190万回が話題となり、鉄道関連を中心とする動画で人気チャンネルに。その後、子連れ鉄道旅やプラレールの紹介をはじめ、家族の日常を映した動画で、鉄道好きの子ども(子鉄)を持つお母さんたちの間でさらに人気を博し、現在、79万人を超える登録者を集める。著書に『鈴川絢子とちっくんの 東京電車さんぽ』(JTBパブリッシング)、『鉄分多め。 関東編』(ヨシモトブックス)など。
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