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教養・ノンフィクション

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#編集部だより

本邦初、聞き書き形式による西洋哲学史入門

哲学の泰斗が集結した新シリーズ『哲学史入門』第1巻を試し読み!NHK出版新書の新シリーズ『哲学史入門』が4月10日に創刊しました。シリーズ第1巻『哲学史入門Ⅰ 古代ギリシアからルネサンスまで』は、著者に千葉雅也さん、納富信留さん、山内志朗さん、伊藤博明さんをむかえ、 斎藤哲也さんが聞き手を務めます。刊行を記念し、本書の一部を特別公開します。 はじめに 斎藤哲也 本書は、本邦初の聞き書き形式による西洋哲学史の入門書です。  初学者向けから大学で使用するテキストまで、すでに哲学

[特別寄稿] 毒殺未遂を経て最後までプーチンを震撼させたナワリヌイの実像とは?

 SNSや調査動画などを駆使し、獄中からも最後までプーチン政権の裏側を追求してきた反体制派指導者ナワリヌイ。「自由なロシア」のための長年の活動からノーベル平和賞の有力候補とされ、2021年には人権擁護や思想の自由、民主主義の発展に貢献した個人・団体に与えられるEU「サハロフ賞」を受賞しました。日本で唯一の関連書『ナワリヌイ プーチンがもっとも恐れる男の真実』(NHK出版より2021年11月刊行)より、ナワリヌイ氏の死をめぐる最新状況を加筆したNHK解説委員・安間英夫氏の解説を

最新研究でここまでわかった、おどろきの「香り」の力!

ストレスや不安の軽減から脳機能の向上、治りづらい疾患の緩和・予防まで―—植物の香りは私たちの心身のコンディションに良い影響を与えるとされています。 NHK出版新書『「植物の香り」のサイエンス なぜ心と体が整うのか』では、昨今のめざましい研究から解明され、医療現場でも取り入れられているその具体的な効能を、第一人者がわかりやすく解説します。 今回はその刊行を記念し、本書の一部を特別公開いたします。 はじめに 私たちの日々の生活は、さまざまな香りによって彩られています。料理のおい

名場面・名文句から読み解く、イギリス小説の傑作――エミリー・ブロンテ『嵐が丘』

オースティン『高慢と偏見』、ブロンテ『嵐が丘』、イシグロ『日の名残り』――。名前は知っているあの傑作小説を、名場面の優れた英文と濃密な文法解説を通してじっくり精読。斎藤兆史氏(東京大学名誉教授)と髙橋和子氏(明星大学教授)の共著による『名場面の英語で味わう イギリス小説の傑作 英文読解力をみがく10講』は、英文の裏側にある意図にまで踏み込んで解釈することで、作品をより深く味わいながら本質的な英文読解力をみがくことのできる一冊です。3月14日に発売となる本書の刊行を記念して、本

名場面・名文句から読み解く、イギリス小説の傑作——ジェイン・オースティン『高慢と偏見』

オースティン『高慢と偏見』、ブロンテ『嵐が丘』、イシグロ『日の名残り』――。名前は知っているあの傑作小説を、名場面の優れた英文と濃密な文法解説を通してじっくり精読。斎藤兆史氏(東京大学名誉教授)と髙橋和子氏(明星大学教授)の共著による『名場面の英語で味わう イギリス小説の傑作 英文読解力をみがく10講』は、英文の裏側にある意図にまで踏み込んで解釈することで、作品をより深く味わいながら本質的な英文読解力をみがくことのできる一冊です。3月14 日に発売となる本書の刊行を記念して、

『オッペンハイマー』を観た現代の天才物理学者はなにを言ったか? カルロ・ロヴェッリ『規則より思いやりが大事な場所で』より、冨永星氏の訳者あとがきを全文公開!

現代物理学のトップランナーであるカルロ・ロヴェッリが新聞等に執筆したコラムから52篇を選りすぐった『規則より思いやりが大事な場所で』(日本語版は2023年12月発売)は、「発言する知識人」としても知られるロヴェッリの全体像が日本で初めて明らかになる一冊です。『時間は存在しない』『世界は「関係」でできている』も手掛けた本書の訳者・冨永星さんは、訳者あとがきでロヴェッリの最近の活動を紹介するなかで、彼がクリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』のアメリカ公開初日に招かれた際

出口治明・月本昭男対談 その2——博覧強記×碩学無双! “歴史と神話の交差点”を語り明かす

 2018年~2019年にかけて重ねられた、月本昭男さんと出口治明さんの対談。  1月に刊行された、月本昭男さんのNHKブックス『物語としての旧約聖書 人類史に何をもたらしたのか』は、発売10日で増刷が決まりました。そして2月26日、出口治明さんのNHK「100分de名著」ブックス『貞観政要 世を革めるのはリーダーのみにあらず』が発売されました。大好評をいただいてるお二人の対談のエッセンスを、引き続き、再構成してお届けいたします。  立命館アジア太平洋大学学長特命補佐・ライ

平均寿命に影響するのは男女や国より階級差――人口の「数字」が映し出す未来

「1――シンガポールの合計特殊出生率」「79000――日本の100歳以上の高齢者数」など、人口動態における象徴的な10の数字をもとに気鋭の人口学者が未来を大胆予測! 『人口は未来を語る――「10の数字」で知る経済、少子化、環境問題』(ポール・モーランド/橘明美訳 NHK出版より1月26日発売)では、「少子化は政策より個人の思想が影響する」「超高齢化社会・日本は未来の象徴」「出生率が低い社会の共通点とは?」など、人口動態を通して今後の社会を読み解きます。 *本記事は、本書から一

見てはいけない映画を見ること―—『ブルーフィルムの哲学』刊行イベントレポート②

すべての映画はポルノである? 木下:さらに第四章では、映画についても著作がある現代の代表的な哲学者スタンリー・カヴェルの議論が参照されて、映画には出演者の身体が描かれ、個性が表現されるとも述べられていました。ただ、カヴェルの親しんでいたハリウッドの古典映画において、役者の身体は衣服で覆われているのに対して、ハードコアポルノでは身体の局部が露呈している。吉川さんの視点は、後者にも個性の表現を見出そうとしている。人の顔や身体を剥き出しに描くという点で、ポルノと一般映画が連続し

見てはいけない映画を見ること―—『ブルーフィルムの哲学』刊行イベントレポート①

ブルーフィルムに魅了された作家と映画人 吉川:まず著者として、『ブルーフィルムの哲学 「見てはいけない映画」を見る』の内容を紹介します。「ブルーフィルム」はむき出しの性器や性行為を描く映画です。刑法第175条では、猥褻なものを「公的に陳列(=上映)」すること、「頒布」すること、「販売目的」で「所持」することなどが禁じられています。現在でもその骨子は変わっていません。  インターネット上にはブルーフィルムに相当する映像が溢れていますが、海外のサーバーから配信されているなどの

斎藤幸平、マルクス・ガブリエルを語る!

「西洋の知識人」としてのガブリエル 天才哲学者マルクス・ガブリエルのシリーズ本。今回のテーマは、タイトルにもあるように、「日本社会への問い」だ。ガブリエルが日本滞在の印象を通じて、私たちの暮らす社会の問題を分析していく。  正直、本書の問題設定の仕方に私はそれほど同意しない。ガブリエルが天才的な哲学者であることは間違いないが、彼は日本社会の専門家ではない。ガブリエルは日本に少なくとも5、6回は来ているが、あくまでも彼の知っている日本は、私や他の研究者、NHKのクルーが案内し

知識人カルロ・ロヴェッリの全体像が明らかになる『規則より思いやりが大事な場所で』発売記念、収録作「錬金術師ニュートン」を全文公開!

『時間は存在しない』『世界は「関係」でできている』で知られる理論物理学者カルロ・ロヴェッリは、本国イタリアではテレビ・ラジオ・新聞などのメディアに多数出演し、社会問題等についてもコメントを求められる「発言する知識人」でもあります。物理学だけでなく、哲学や文学にも造詣の深いロヴェッリが新聞等に執筆したコラムから52篇を厳選して収録した『規則より思いやりが大事な場所で』より、ニュートンの意外な一面について考察した「錬金術師ニュートン」を全文公開します(※本記事用に一部を編集してい

〈我々〉と〈彼ら〉はなぜ対立するのか? 『善と悪の生物学ーー何がヒトを動かしているのか』(上下)より抜粋公開

「ワシントン・ポスト」紙が「2017年の10冊」に選び、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーにもなった話題作『善と悪の生物学――何がヒトを動かしているのか(上)(下)』。「文藝春秋」2024年1月号 “文藝春秋BOOK倶楽部特別篇 2023年「わたしのベスト3」”で橘玲さんが、12月17日(日)の読売新聞朝刊「本よみうり堂」で小川哲さんが本書をご紹介くださいました。ここでは、〈我々〉と〈彼ら〉の二分はどのように起こるのか、またそれは人類に特有の現象なのかについて考える「第11

大河ドラマ「光る君へ」の背景がよく分かる! 平安時代の実像が見える快作。

平安時代史、女性史を専門とする服藤早苗さんによる新書『「源氏物語」の時代を生きた女性たち』が刊行されました。 紫式部をはじめとする平安期の女性は、なぜ歴史的な文学作品をのこすことができたのか? 栄華極まり陰謀うごめく貴族社会で、女性たちは何を考え、どのように暮らしていたのか? 歴史の表舞台には立たない女性にも光を当て、彼女たちの結婚・出産・仕事・教養・老後などを通じて、平安時代のリアルを解き明かします。 今回はその発売を記念し、内容の一部を特別公開します。 『源氏物語』の時