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日々がんばっている自分をみとめ、気を遣ってあげてほしい。「生きててえらい」――《こどく、と、生きる》統合失調症VTuber もりのこどく

「同じ病で苦しむ仲間とつながりたい、救いたい、当事者以外の人たちにも病気のことを知ってほしい」という思いでVTuberになり、配信を通してメッセージを伝え続けるもりのこどくさん。高校生で統合失調症になった彼女がいかにしてVTuberになったのか、その足跡を綴ったエッセイ連載です。
※#0から読む方はこちらです。


#37 生きててえらい

 さいきん、ゆっくりやすむ、ということを覚えた。やすめやすめとまわりに言われ続けてはや数年。ようやくかよ、とこどくも思う。
 方法はかんたんだ。へやの電気をぜんぶ消して、カーテンもぴっちりと閉め、ベッドに横になる。その体勢のまま目をつぶる。
 なんとかんたんなのだろうか。おやすみの日は、こどくはこうしてやすんでいる。動かないことで、脳も使わないし、なにより、体力を使わない。気分がわるい日は、アイマスクなんかもつけちゃう。
 しかし、いいことばかりでもない。このやすみかたは、ときどき、「やすみすぎ」になってしまうのだ。
 よる、目が覚めてしまうときほど、心地のわるいときはない。ひるに、先述したやすみかたをすると、そのままおひるねになってしまって、やすみすぎてしまい、結果、よるねむれなくなる。だから、決して、ねむってはならない。
 ねむってしまうことを回避するため、こどくはスマホで1時間あるいは30分おきに、タイマーをかけるようにしている。そしてそのスマホを、ベッドからとてもとてもとおいところに置く。それから、ゆっくりとやすむ。こどくは入眠がおそいほうなので、1時間で、ちょっとうつらうつら、あたりでタイマーがなり、目を開く。
 こどくは、このやすみかたでやすんだあとは、作業により集中できるようになったと思っている。やりたいことをやりたいだけやるのもたいせつだが、ときどき、やすみをいれてあげて、体をリラックスさせることも必要だ。
 こどくはそうやってやすんでいるが、ひとによって、やすみかたはちがってくるだろう。こどくのおともだちは、ゲームをすることや動画を見ることでやすめると言っていた。こどくのかぞくは、ヨガやピラティスをしてリラックスしているようだ。
 こどくはまだまだ、このやすみかた以外の方法も模索している途中だ。やるときはやる、やすむときはやすむ、こどくはそうして、こころの安寧をはかってきた。
 これからも、たくさん研究して、やすみかたを探すつもりだ。もし、あらたなおもしろいやすみかたを見つけたら、このエッセイで触れたいとも思っているから、たのしみにしていてほしい。
 なんどもこのエッセイで言っているが、やすむことはとても、とてもとてもだいじだ。それは、統合失調症当事者だけじゃない。どんなひとにだって、睡眠時間や食事は必要だ。だからこそ、日々がんばっている自分をみとめ、気を遣ってあげてほしい。
 「今日も、生きててえらいね」と。

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※本連載は毎週月曜日に更新予定です。
※12/30(月)は更新をお休みします。次回は1/6(月)です。

プロフィール

もりのこどく
VTuber。「同じ病で苦しむ仲間とつながりたい、救いたい、当事者以外の人たちにも病気のことを知ってほしい」。そんな思いで19歳で配信を始めた。バーチャルの強みを生かして、当事者たちの居場所をクラウドファンディングでメタバース上に創るなど幅広く活動。2023年、SDGsスカラシップ岩佐賞を受賞。

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