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小説・エッセイ

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人気・実力を兼ね備えた執筆陣によるバラエティー豊かな作品や、著者インタビュー、近刊情報などを掲載。
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2022年3月の記事一覧

過去の後悔との対峙。友との再会がもたらす感情にざわめくものは――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。震災復興のための公共工事がらみの汚職の可能性を探る、笘篠と蓮田。蓮田の旧友である貢の義父・森見善之助議員に疑いの目が向けられるなか、聞き込みのため、蓮田は自ら旧友のもとへと足を向ける―― ※当記事は連載第9回です。第1回から読む方はこちらです。 三 公務と私情1  非番の日に個人的な理由で捜査する日が

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編集者から、

初めまして。書籍『みやぎから、』の編集とライティングを担当しました藤本智士と申します。 健くんと神木くんに誰に会ってもらうとよいかなあという、旅のコーディネートをはじめ、今回の書籍のさまざまを担当させていただきました。刻一刻と状況が変化するコロナ禍では、取材予定が二転三転するなど、無事に出版できるだろうかと不安に思うことも多かったので、いまこうしてたくさんの方のお手元に本を届けることができて本当に嬉しく思っています。関わってくださったみなさん、そして読者のみなさん、ありがと

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佐藤健・神⽊隆之介――数々の出会いから⾒えてくる、宮城・東北 のいま。

佐藤健と神⽊隆之介が宮城県内各地を訪ね歩く  宮城県内各地の新旧さまざまな魅⼒に触れながら、その⼟地に根差す⼈々との数々の出会いや対話を通して、伝統芸能や⾵習の継承、産業や⽂化の創造、そして震災の記憶の伝承など、これからの私たちの暮らしのあり⽅を佐藤健さんと神⽊隆之介さんが真摯に向き合い模索している本書。旅の道中で⼆⼈が⾒せた、ありのままの表情をとらえた貴重な写真が満載なビジュアル対話集となっています。 フェリーで松島の島々を眺めながら塩竈へ 「仙台七⼣まつり」に⽋かせな

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「クインテット」「マツケンサンバⅡ」など数々のヒット曲を生んだ作曲家“アキラさん”が音楽と歩んだ紆余曲折の半生とは――

 「パパのようにヒット曲をたくさん作って有名人になりたい」。幼い頃のぼくはそう思っていた。『シャボン玉ホリデー』に映る父のように、飛び跳ねて指揮をして身をよじってピアノを弾く。そんなことをぼくもやってみたかったし、自分の作った曲を誰もが知っているなんて凄いと思っていた。通りすがりの他人が振り向くなんてこともあり、そんな父のやることなすことがぼくを魅了した。いつかぼくもああなりたい、と思ったものだ。  しかし「ヒット曲をたくさん作って有名人になる」という望みは、そう易々と叶わな

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「与えられた課題」ではなく「自分ごと」として―― 「マイナーノートで」♯12〔自分で問いを立てる~高校生との対話〕上野千鶴子

各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。 ※#01から読む方はこちらです。 自分で問いを立てる ~高校生との対話  2019年4月、東京大学入学式で来賓祝辞をスピーチしてから、十代の若者たちのあいだで、一挙に知名度があがった。  わたしが理事長を務めているWebサイト、ウィメンズアクションネットワーク(WAN)では「ジュニアプロジェクト

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コロナ禍がもたらした休日、そこで触れたひとの営み――「熊本かわりばんこ #12〔記憶の海を旅する〕」田尻久子

 長年過ごした東京を離れ故郷・熊本に暮らしの場を移した吉本由美さんと、熊本市内で書店&雑貨カフェを営む田尻久子さん。  本と映画、そして猫が大好きなふたりが、熊本暮らしの手ざわりを「かわりばんこ」に綴ります。 ※#01から読む方はこちらです。 記憶の海を旅する  正月を迎えたばかりのような気がするのに、もう梅の花が咲いているのを見かけるようになった。春はすぐそこ、早いものだ。  数年前までは、元日以外はほとんど店を開けていた。大晦日は営業こそしていなかったが、お客さんたち

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組織への忠誠心か? 友を信じる心か? 感傷が職業倫理に浸食して――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。蓮田の旧友である知歌は、迷惑系NPO法人として知られる〈シェイクハンド・キズナ〉の職員に遭遇し、彼らの活動にさらなる疑念を抱く。その頃、笘篠と蓮田は難航する捜査の突破口を探して、次の手に打って出る―― ※当記事は連載第8回です。第1回から読む方はこちらです。 4  元より捜査会議は緊張するものだが、そ

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あなたの味方は、たくさんいるから――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は、お笑い芸人が揶揄した子連れ女性に向けて、力強いメッセージをいただきました。 ※当記事は連載の第12回です。最初から読む方はこちらです。 #12 子連れで、恐怖しない世の中を  つい最近、有名なお笑い芸人さんが新幹線で一緒になった、乳幼児に二時間半ずっとしゃべり続けていた女性を「うるさい」とテレビ番組で揶揄した。当然のことながら炎上し、彼は「子連れの大変さ

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新しいものが生まれる陰に存在する破壊と消滅――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。期せずした旧友との再会によってかつての友人たちとの苦い思い出を嚙み締める蓮田。一方、南三陸町でいまもNPO活動を続ける旧友・知歌は招かれざる者と対峙する―― ※当記事は連載第7回です。第1回から読む方はこちらです。 3 『困ってるんだよ、大原さん』  皆本老人から電話が入ったのは今から三十分前のことだ

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