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ミステリー小説や食エッセイから、小中学生向けの教養読み物まで、さまざまな興味・関心を刺激する作品を取りそろえています。
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2022年9月の記事一覧

歴史から学ばない「無知」のツケは国民が支払わなければならない――「マイナーノートで」#18〔無知のツケ〕上野千鶴子

各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。 ※#01から読む方はこちらです。 無知のツケ ウクライナ戦争が始まってから半年経った。  いや正確に言おう、ロシアがウクライナに侵攻を始めてから半年経過した。  冷戦が終わった後の21世紀の世の中にまさかの熱い戦争が始まり、それが収束しないまま、まさかの半年を迎えた。軍事評論家たちは、この戦争は

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で仏教美術考証を務める塩澤寛樹さんの連載『運慶の風景』! 第2回は美術史における運慶の位置を考えます。

 第1回で紹介した願成就院の阿弥陀如来坐像をはじめとする5軀を含め、運慶が残した数多くの仏像を私たちはいま鎌倉彫刻と呼び、そして鎌倉彫刻は日本の彫刻史上の集大成の時代といわれますが、そもそもそうした評価はどのように形成されてきたのでしょうか。運慶仏の制作の経緯やすぐれた持ち味の吟味から一旦離れ、第2回では日本の美術史・彫刻史の中で運慶の時代の仏像がどのように位置づけられてきたのかについて振り返っていきます。話題の時世は、運慶仏がつくられた中世からおよそ700年後の近代・明治時

「彼」自身の言葉で、語るべきではないか――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は、特別編でお送りします。 ※当記事は連載の第18回です。最初から読む方はこちらです。 #18 支配者 二十一年間「推し」ていた有名俳優が性加害をしていたことが一週間前に報道された。 「彼」のファンだと常日頃公言していたせいで、マスコミ各社からの原稿依頼は後を絶たない。そのほとんどが「推しが性加害者になった時、ファンである私たちはどうすればいいか?」というも

自分でも謎のおかしな癖 「これって、私だけ?……こだわりがあるのか、ないのか」――お題を通して“壇蜜的こころ”を明かす「蜜月壇話」

タレント、女優、エッセイストなど多彩な活躍を続ける壇蜜さん。ふだんラジオのパーソナリティとしてリスナーからのお便りを紹介している壇蜜さんが、今度はリスナーの立場から、ふられたテーマをもとに自身の経験やいま思っていることなどを語った連載です。 *第1回からお読みになる方はこちらです。 #05 これって、私だけ?……こだわりがあるのか、ないのか ふと、「うちは家族みんなでお風呂に入ってますよ。さすがに全員は狭くて無理ですけど」と、中高一貫の女子校時代に2つ下の学年の後輩に言われ