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ミステリー小説や食エッセイから、小中学生向けの教養読み物まで、さまざまな興味・関心を刺激する作品を取りそろえています。
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2022年4月の記事一覧

シン・アナキズム 第4章 ポランニーとグレーバー (その6)

機能的社会主義について(3) 先月発売のちくま新書『ホモ・エコノミクス』が好評の重田園江さんによる、ポップかつ本格派の好評連載「アナキスト思想家列伝」は第15回を迎えました。「どんどん難しくなっているようで申し訳ない感じ」という重田さんですがここは踏ん張りどころ。「もう一つの社会のあり方」を本当に想像できる連続2回の1回目です。キーワードは引き続きカール・ポランニーの「機能的社会主義」。まずは500円分の切手の話から! ※これまでの各シリーズは下記よりお読みいただけます。

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渋谷の書店員のリアルな日常、街の情景、本の話――〔いくらと思い〕 新井見枝香

※当記事は1話読み切りのエッセイ連載の第25回です。どの回からもお読みいただけますが、第1回から読む方はこちらです。日比谷から渋谷の書店に移った新井見枝香さん、連載もリニューアル再開です。  渋谷の書店で働くようになって、まず最初にぶち当たる困難が昼飯だとは思わなかった。限りある休憩時間に公園通りを行ったり来たりするも、食指が全く動かない。どこにでもあるチェーン店は悔しいし、キラキラした目新しい店は、制服の上にパーカーを羽織っただけの私には、敷居が高かった。私が食べたいのは

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崩された密室トリック。いまだ残る謎は容疑者のアリバイと動機――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。完全犯罪と思われた密室トリックの謎は関係者ならば知り得る手口で“抜け穴”があったことがわかる。容疑者候補が絞られるも、決め手に欠く笘篠と蓮田だった―― ※当記事は連載第11回です。第1回から読む方はこちらです。 3  翌々日の捜査会議で笘篠が〈ヤマトハウス〉の高橋からレクチャーされた内容を発表すると、

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一筋縄ではいかない“愉しみ”――「熊本かわりばんこ #13〔春の動物園探訪〕」吉本由美

 長年過ごした東京を離れ故郷・熊本に暮らしの場を移した吉本由美さんと、熊本市内で書店&雑貨カフェを営む田尻久子さん。  本と映画、そして猫が大好きなふたりが、熊本暮らしの手ざわりを「かわりばんこ」に綴ります。 ※#01から読む方はこちらです。 春の動物園探訪〈動物園のこと〉  花粉飛び交う中、ナマケモノに会いに行った。動物園へ行くのはひさしぶりだ。このところ冬に逆戻りしたような天気が続いて、怠け者がナマケモノに会いに行くぜよ、と決めていた3月19日の初公開日からだいぶ経っ

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目の前で戦争が始まる―― 「マイナーノートで」#13〔戦争の男女平等〕上野千鶴子

各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。 ※#01から読む方はこちらです。 戦争の男女平等 戦争が始まる。戦争が始まった。目の前で戦争が始まってしまった。まさか、の21世紀に。冷戦は終わったはずなのに、こんなに野蛮な熱い戦争が。人間はちっとも進歩しないのか。  見ているだけで手も足も出せない。祈るだけで何もできない。その事実にうちのめさ

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タレントのレシピ本から学べること――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は柚木さんがこよなく愛する、有名人のレシピ本についてです。 ※当記事は連載の第13回です。最初から読む方はこちらです。 #13 有名人のレシピ本 料理家の土井善晴先生がラッパーで料理好きで知られるスヌープ・ドッグの料理本についての書評を出した。一読して私はえ?と首をかしげた。いろいろと問題なところはあるが、一番良くないのはアメリカの食文化や人種問題はもとより

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沖縄に、琉球料理の伝道師に会いに行く――ぬちぐすい~聞き書き琉球料理

 琉球王国の流れをくむ洗練された料理のつくり手で、かつて日本全国からその料理を食べるためだけに沖縄を訪れる人も多かった伝説の料理人、山本彩香さん。自身の店を閉じた後も、琉球料理を次世代に伝える活動に取り組んでいます。食や工芸に造詣の深いライターの澁川祐子さんは、山本さんに惹かれたその一人。何度も沖縄に足を運び、山本さんから直接教わった料理や文化を記録した新連載です。 #0 琉球から沖縄へと続く文化を追って  琉球料理家の山本彩香さんを象徴する料理の一つに、自家製の豆腐ようが

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完全犯罪と思われた密室殺人の謎の真相が伝えるひとつの事実――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。後悔を抱えたまま十数年にわたって絶縁状態だった旧友との再会は、蓮田にとってさらに苦いものとなった。その一方、覚悟を新たにして、笘篠のもとへ向かった―― ※当記事は連載第10回です。第1回から読む方はこちらです。 2  非番明けで登庁した蓮田は刑事部屋で笘篠を見つけると、すぐに駆け寄った。 「話がありま

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連載 シン・アナキズム 第4章「ポランニーとグレーバー」(その5)

「機能的社会主義」について(2) 重田園江さんによる、ポップかつ本格派の好評連載「アナキスト思想家列伝」第14回! 前回に引き続き、カール・ポランニーの「機能的社会主義」という魅力的なアイデアの歴史的背景を明らかにしていきます。 ※これまでの各シリーズは下記よりお読みいただけます。 「序 私はいかにして心配するのをやめ、アナキストについて書くことにしたか」へ 「ジェイン・ジェイコブズ編」の第1回へ 「ヴァンダナ・シヴァ編」の第1回へ 「ねこと森政稔」の第1回へ 「ポランニー

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エターナル・アリス——少女の成長とノンセンスの相克  「言葉が・言葉で・言葉を作る『アリス』の世界」第2回

 誰もが知る名作『不思議の国のアリス』。子供の頃、アニメ映画などで見た方も多いでしょうが、原文を読んでみると、驚きの発見が詰まっています。そんな『アリス』の世界の深淵(アビス)を、気鋭の英文学研究者、勝田悠紀さんがご案内します。  ※本文で引用する『不思議の国のアリス』の日本語訳は勝田悠紀さんによるものです。  ※第1回から読む方はこちらです。 アリスの成長  「不思議の国」の「ノンセンス」は変化を忌み嫌う。それが前回の結論だった。しかし最初に “grow” という単語に注

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