見出し画像

「鈴川絢子のママYouTuberの子育てノート」第9回(最終回) 私の夢と家族の夢

 6歳と3歳の兄弟との日々をはじめ、大好きな鉄道やおもちゃなどの魅力を動画で配信している、人気YouTuberの鈴川絢子さん。その等身大の様子は、とくに鉄道好きの子どもがいるお母さんたちに支持され、多くの共感を呼んでいます。
 当連載では、動画では伝えきれない子育ての工夫や想いなどを、家族とのエピソードとともに鈴川さんがつづります。 
 さて、最終回となる第9回は「私の夢と家族の夢」をお届けします。これまでの経験や好きなことをふまえ、鈴川さんがどんな夢を持っているのか。また、家族で実現したい夢は? 
 長男・ひたち君の小学校入学、次男・ときわ君の幼稚園入園を控え、子どもたちもスクスク成長するいま、思い描く未来とは。
 ※連載第1回から読む方はこちらです。

 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。みなさんは、どんなお正月でしたか? ゆっくり過ごされましたか? わが家は、おせちを手づくりしたり、おもちゃやゲームで遊んだりして、おうち時間を楽しみました。私自身は、天体望遠鏡で夜空を観察するのが楽しくて、新年早々、ずっと月を見ていました。

 また、昨年は、毎年楽しみにしていたプラレール博&トミカ博が中止となり、仕方がないと思いつつ、残念な気持ちが大きかったので、自宅で開催してみました!

いつか家族でしてみたい旅

 さて、新しい年の始まりに、目標を立てたり、改めて自分の夢を考えたりした方も多いのではないでしょうか。私も、その一人です。そこで最終回となる今回は「私の夢と家族の夢」をテーマに、お話ししたいと思います。

 日頃から「次は、行ったことのない○○へ行きたいね」「また○○へ行こう」などと、鉄道旅の計画を話すことが多いわが家。さしあたっての夢は何かと聞かれると、夫も私も、最近では長男のひたちも、やはり家族みんなで好きな「旅」が真っ先に浮かんできます。次男のときわもそろそろ行きたいところを言い出しそうです。

 今回の緊急事態宣言の前までは、安全対策をしっかり行ったうえで、近場のお出かけを楽しんでいました。現在、またお出かけが厳しい状況ですが、以前のようにマスクなしで出かけられるようになったら、叶えたい旅がいくつかあります。

 まず、国内でいうと、家族で乗ってみたいのがJR西日本さんの「WEST EXPRESS 銀河」です。こちらは、時期によって夜行特急列車と昼行特急列車のいずれかを運行していて、気軽に鉄道の旅を楽しめる列車として昨年9月にデビューしました。
 3~4名利用の半個室型指定席「ファミリーキャビン」ではベンチシートの座面をマットレスのように広げて自由に座ることも寝転ぶこともでき、さらに車内でのおもてなしや途中停車駅での歓迎イベントなど、子連れでも移動が快適で、乗っているだけで楽しめる列車となっています。

 そのほかにも、2020年3月のダイヤ改正後、新しくなった車両に乗れていない路線があるので、1日も早く楽しめるようになればと思っています。

 そして、子どもたちの年齢制限がクリアになったら、是非乗りたい列車があります。周遊型豪華寝台列車、クルーズトレインです。
 代表的なものは、九州各地を周遊する「ななつ星 in九州」、上野発着で東日本から北海道まで多彩なコースを走行する「トランスイート 四季島」、山陽山陰を周遊する「トワイライトエクスプレス 瑞風」です。どれも人気で座席の購入も抽選制なのですが、運よく四季島と瑞風に乗車することができました。
 これまでさまざまな鉄道に乗りましたが、クルーズトレインの素晴らしい車両とサービスは、鉄道の新しい世界を開いてくれた体験でした。将来、子どもたちが鉄道関係の仕事に就くかどうかはわかりませんが、そのきめ細やかなサービスを実際に体験してほしいと思っています。

 海外旅行では、シベリア鉄道に乗ってみたいと思っています。子連れで長時間のフライトは大変ですが、シベリア鉄道の始発駅のあるウラジオストクまでは、日本航空さんの直行便で2時間半〜3時間ほどで行けます。ロシアの駅でありながら、街並みは、ヨーロッパとアジアが入り混じった異国情緒あふれる雰囲気で、きっと歩くだけでも楽しいはず。子どもたちにも是非、体験させたいです。

 そして、子どもたちが巣立ったら、夫婦で、その時にまだ走っている路線や行っていない地域を全部巡ってみたいです。
 子どもが生まれる前も夫婦2人で旅はしてきましたが、楽しい子連れ旅をたくさん経験して、2人きりに戻った時に、家族で行った旅をもう一度なぞったら、また違う感覚があるのかな? と、今から楽しみにしています。

子どもたちに願うこと

 夢というより願いかもしれませんが、子どもたちには本当にしたいと思うことをできる人になってほしいです。

 私も夫も、自分でやりたいことをするというスタンスを大切に、これまでやってきています。とはいえ、好きなことを続けていくためには、当然、大変なこともあります。だからこそ、苦労してもやり続ける姿や、妥協しない姿勢、「楽しい」だけではないところを、子どもたちに見せようと、夫婦で決めています。

 たとえば、私と夫は仕事のパートナーでもあるわけですが、仕事の話は子どもたちの前でもします。いつも家にいるだけじゃないというアピールも兼ねて(笑)、両親がどんな仕事をしていて、どんな考えを持っているのかを伝えたいと思っています。
 子どもたちに見られていることで、私たちも考えがまとまったり、お互いの意見を調整して納得できる動画になったりするので、助かっているところもあります。

 子どもたちがいる中でも、たとえば、ある旅を振り返りながら、鉄道の仕事の厳しさについて話し合っているときもあります。だからこそ、vol.8でお話しした、ひたちの「鉄道関連の仕事に進みたい」という夢を聞いたときは、うれしかったです。どの職業も、それぞれに大変なことはありますが、鉄道関連は人の命を預かるという大きな責任があります。それも伝えたうえで、彼の夢になったところが、鉄道好きの母として、胸が熱くなりました。

新車両をデザインしてみたい

 私自身がいま叶えたい夢は、鉄道の車両をデザインすることです。すべての人にとって便利で快適なものを考えるのは難しいですが、6歳と3歳の子どもを持つ親だからこその感覚を大切に、子連れに便利な車両をデザインしてみたいです。

 オリンピックの影響もあり新車両がバリアフリー化して、新しい時代に合った車両が増えています。そういう車両を実際に利用する中で「こういうところはいい」とか「もう少しこういう要素が欲しい」などと考えるのが楽しくて、アイデアがどんどん沸いてきます。
 たとえば、親目線でこんな車両があればと思うのは、通路の幅がベビーカーでも難なく通れて、床が絨毯や畳のような素材で子どもが自由に過ごせるもの。あとは、窓の位置や大きさが、子どもも大人も圧迫感なく景色が眺められるようなもの。車両の中で過ごす時間が、もっと楽しくなりそうです。それから、個室は子連れ旅でとても重宝するので、ファミリー個室や1人用個室、2人用、4人用、いろんなサイズの個室があっても便利だと思います。

画像1

 旅については、いつかファーストクラスで世界一周旅行をしてみたいですね。ものすごく豪華に聞こえますし、通常であればそうだと思うのですが、「One World」や「STAR ALLIANCE」などの各エアライン・アライアンスが販売している「世界一周航空券」を利用すると、普段ならとても手の届かないファーストクラスをリーズナブルな価格で体験できるそうです。

 エアライン・アライアンスとは、世界の航空会社間で、乗り継ぎ手続きの簡略化やマイレージの相互利用などを可能にする、業務提携のことです。この仕組みにより、世界一周も夢じゃないとわかりました。興味のある方は、ぜひ調べてみてください。

変わる私、変わらない私

 夢や思い描く未来は、私を取り巻く状況で変わっているように感じます。その変化が、自分でもおもしろいです。

 私は、子どもの頃からその時々で、興味を持ったことや好きな物事に熱中してきました。ただ、内向的なところもあり、あまり自分からグイグイいくほうではないので、興味の範疇外には、広がりづらいタイプでもありました。
 それが、結婚、妊娠、出産、そして育児など、人生の階段をのぼり、家族が増えるごとに、どんどん新しい世界が開けているように感じます。

 もともと、一人の時に熱中していたゲームや鉄道、おもちゃも、一人だから熱中できるというものではありません。むしろ、鉄道やトミカ好きな夫と出会い、21歳で結婚したことで、より深い世界に触れられるようになったと思います。
 そして、23歳でひたちが、26歳でときわがそれぞれ生まれて母親になり、彼らの成長とともに、子ども関係の仕事やお付き合いも増えました。子どもがいなかったら知り合わなかったかもしれない方々とのご縁が広がっているのも、ありがたいです。

 母親になって、「子どもが小さいから、好きな洋服が着られなくなった」「一人での外出が難しい」など、自分のことを我慢しなければならないという悩みを耳にする機会もありますが、私は、そのような点においては譲れないものがないのかもしれません。子どもが生まれたから自分を変えるというより、対応していく感覚というか、新たな自分を発見できることにワクワクして、比較的スムーズに母親であることを楽しめているように思います。

 子どもたちが巣立ったら、また一人の自分に戻るわけですが、戻ったとしても子どもが生まれる前とは、きっと違う。それはそれでまた、新たな楽しみ方ができそうですし、変化していける自分をうれしく感じています。

YouTubeとのこれから

 動画配信の内容やかかわり方も、その時々で変わってきました。今のところ、具体的なビジョンがあるわけではありませんが、YouTubeとわが家のかかわり方も、生活や時代の状況によって変化していくのだろうと考えています。

 ゲームの実況中継に始まった動画配信は、YouTubeにチャンネルを移し、内容も少しずつ変わり、いまでは、大好きな鉄道やおもちゃの話題だけでなく、子どもたちとの日常の楽しみを含めた家族の日々の記録になっています。

 YouTubeでもお伝えしましたが、ひたちの小学校入学を機に、子どもたちにクローズアップして撮るような機会は少なくしていくつもりです。これまでもずっと私がメインでやってきたつもりではありますが、やはり子どもが一緒だと、旅も遊びも彼らが中心の動き方になります。それゆえ、同世代のお子さんがいるお母さん方から「お出かけや旅の参考になります」などと言っていただけるのですが……。
 生活の状況に合わせて変わっていくのも、わが家らしいYouTubeとの付き合い方のように思います。子どもたちが学校へ通い出したら常に一緒にいることは難しいので、動画への登場も減っていくでしょう。そうなったら、また私一人でお届けするスタイルに戻っていくのも、自然の流れかなと思っています。
 もちろん、家族旅行は今後もします。そして、みなさんの参考になるようなことがあれば、家族として、モデルケースのような感じで発信できたらとも思っています。

 さてさて、今回も、そろそろおしまいです。
 これまで、みなさまの温かい眼差しに見守られながら、私なりに子どもたちとの日々について、自由につづらせていただきました。本当にありがとうございます。
 子どもは一人ひとり違います。それは、わが家の二人を見ていても、毎日感じることです。だからこそ悩むこともありますけれども、それぞれ、愛おしい、世界でただ一人の存在です。

 私がこの連載でお届けしたエピソードや私自身の想いが、みなさんの生活のどこかで役に立ったり、心が和んだりするものになっていればさいわいです。

 これからも、マイペースにではありますが、動画配信などで活動していきたいと思っています。不自由な状況ですが、みなさん、健康に気をつけて、お互い元気に楽しく過ごしましょう! また、お目にかかる日まで。鈴川絢子でした。 

構成協力/ニイミユカ

連載第8回へ戻る

プロフィール
鈴川絢子(すずかわ・あやこ)

1991年、千葉県出身。NSC東京16期生、吉本興業所属。2児の母。2013年にYouTubeで「鈴川絢子チャンネル」を開設。「恋するフォーチュンクッキー京浜急行ver.」の視聴回数190万回が話題となり、鉄道関連を中心とする動画で人気チャンネルに。その後、子連れ鉄道旅やプラレールの紹介をはじめ、家族の日常を映した動画で、鉄道好きの子ども(子鉄)を持つお母さんたちの間でさらに人気を博し、現在、79万人を超える登録者を集める。著書に『鈴川絢子とちっくんの 東京電車さんぽ』(JTBパブリッシング)、『鉄分多め。 関東編』(ヨシモトブックス)など。
*鈴川絢子さんのYouTubeチャンネルはこちら
*鈴川絢子さんのTwitterはこちら
*鈴川絢子さんのInstagramはこちら

※「本がひらく」公式Twitterでは更新情報などを随時発信中です。ぜひこちらもチェックしてみてください!