日本人のお尻は甘やかされている――「マイナーノートで」#27〔トイレ事情〕上野千鶴子
各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。
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トイレ事情 コロナ禍での封印を解いて、4年ぶりに海外へ出た。出るたびにぎょっとするのはホテルに入って、最初にトイレを使うときだ。まず便座の高さが違う。腰を下ろしかけて、どこに着地すればよいかわからないまま、お尻が宙に浮く。お尻がついたらついたで、今度は足が浮く。