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NHK出版新書

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ビジネス、哲学、時事、環境、教育、宗教、美術、科学……多彩なジャンルを深くわかりやすく伝えるNHK出版新書の関連記事をラインナップ。
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#寄稿

《寄稿》気象情報をより深く理解できれば、自分や大切な人を守れる――気象キャスター・斉田季実治

 局地的な大雨、大型台風、記録的猛暑、そして巨大地震――激甚化する自然災害に私たちはどう対処すればよいのか。NHK「ニュースウオッチ9」の人気気象キャスターであり、現在放送中の連続テレビ小説「おかえりモネ」で気象考証を担当する斉田季実治さんが、気象情報の読み方と防災の必須知識をわかりやすく解説したNHK出版新書『新・いのちを守る気象情報』が好評発売中です。刊行に寄せて、そのいきさつや本書への思いを斉田さんが綴ります。  NHK出版新書『いのちを守る気象情報』の改訂版を出しま

生命科学者のベンチャー経営者・高橋祥子さんが読んだ、『マルクス・ガブリエル 新時代に生きる「道徳哲学」』

「コロナの時代の自由」を論じるマルクス・ガブリエルの言葉を、日本をリードする知識人たちはどう読んだのか? 続々と届くリレーコメントの第三弾!  先月の発売から話題の『ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考』の著者・高橋祥子さんは、執筆において「少なからずマルクス・ガブリエルの影響を受けた」と言います。遺伝子解析ベンチャー「ジーンクエスト」を率いる経営者として、またガブリエルが批判的眼差しを向ける自然科学の研究者として、NHK出版新書『マルクス・ガブリエル 新時代

気鋭の日本思想史家・先﨑彰容さんが読んだ、『マルクス・ガブリエル 新時代に生きる「道徳哲学」』

「コロナの時代の自由」を論じるマルクス・ガブリエルの言葉を、日本をリードする知識人たちはどう読んだのか? 続々と届くリレーコメントの第二弾!  ガブリエルが関心を寄せる日本思想史を研究する立場から、西郷隆盛の遺訓をはじめ現代の世相までを鋭く分析する先﨑彰容さん。先﨑さんは、2月10日発売のNHK出版新書『マルクス・ガブリエル 新時代に生きる「道徳哲学」』を読み、何を思うのか? 善悪を論じる「倫理」の研究からみた本書の勘所をガイドしていただきます。 SNSから民主主義を考える

話題沸騰の経済思想家・斎藤幸平さんが読んだ、『マルクス・ガブリエル 新時代に生きる「道徳哲学」』

 「コロナの時代の自由」を論じるマルクス・ガブリエルの言葉を、日本をリードする知識人たちはどう読んだのか? 続々と届くリレーコメントの第一弾!  世界の哲学ファンを夢中にさせる天才哲学者、マルクス・ガブリエル。 そして、『人新世の「資本論」』でまさに今、日本を席巻中の経済思想家・斎藤幸平さん。二人の間には知られざる交流がありました。  このたび刊行されるNHK出版新書『マルクス・ガブリエル 新時代に生きる「道徳哲学」』(2月10日発売)を読んだ斎藤さんは何を思ったのか。誰より

なぜ人は死を怖れるのか? 人生の意味を自分で勝ち取るために「死生観」を養おう――齋藤 孝

還暦=60歳を過ぎた頃から、いよいよ気になり始める自分の死。 人生後半戦を不安にさいなまれず過ごすには、どうすればよいか? NHK出版新書『極上の死生観 60歳からの「生きるヒント」』を上梓した著者が、あなたをとらえて離さない「死の不安」に打ち克つ方法を考える。 余生という意識  誰でも若い時は、「やがて必ず自分も死ぬ時がくる」ということを、なかなかイメージできないものだ。しかし、40代の後半にさしかかる頃から、老いとは言わないまでも身体のちょっとした衰えを自覚し、「そうだ

なぜ響く言葉と響かない言葉があるのか?――「声」から読み解くコロナ危機

声は言葉以上に雄弁である  私たちのまわりには、常にたくさんの声があふれています。家庭や職場や学校などありとあらゆる場所で、私たちは声を使ってコミュニケーションをとり、さまざまな声が耳を通り過ぎています。例えて言えば空気のように日常にあるので、「声そのもの」に意識を向ける人は少ないのではないでしょうか。  しかし、「声という音」にはじつに多くの情報が含まれていることが、近年の研究で明らかになってきています。そしてその情報は、私たちの耳を通り抜けているようでいて、実は脳に取り込

最新著書『親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる』刊行に寄せて――友田明美

発売後反響を呼び、12万部を突破したNHK出版新書『子どもの脳を傷つける親たち』の著者・友田明美先生による待望の最新作『親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる』が2019年11月11日に発売予定です。脳研究に携わる小児精神科医の立場から、脳とこころを傷つけずに子どもと向き合う方法を最新の科学的知見に基づいて解説する本書。その一部を抜粋してご紹介します。 誰も救えなかった命  お父さんにぼう力を受けています。  夜中に起こされたり、起きているときにけられたり  たたかれたりされ

いちばん旨いマグロとは何か?〔後編〕 「なぜ「大間の一本釣り」は旨いのか」――中原一歩

和食にとって特別な意味を持つ魚、マグロ――。晩秋から冬にかけて「旬」を迎えます。マグロ取材歴10年を超える気鋭のノンフィクション作家が「いちばん旨いマグロ」とは何かを追究します。 ※本記事は、2019年12月に刊行されたNHK出版新書、中原一歩『マグロの最高峰』の内容から一部を抜粋したものです。 「大間」とはどこか「ここ本州最北端の地」  大間町の突端は大間崎と呼ばれ、そこに立つ羊羹型の石碑にはこう記されている。北緯41度32分、東経140度54分。ここから津軽海峡を隔てた

いちばん旨いマグロとは何か?〔前編〕――中原一歩

和食にとって特別な意味を持つ魚、マグロ――。晩秋から冬にかけて「旬」を迎えます。マグロ取材歴10年を超える気鋭のノンフィクション作家が「いちばん旨いマグロ」とは何かを追究します。 ※本記事は、2019年12月に刊行されたNHK出版新書、中原一歩『マグロの最高峰』の内容から一部を抜粋したものです。  本当に旨いマグロは人生観さえ変えてしまう――。  そんな迷信めいた話を耳にしたのは、ずいぶん昔のことだった。言葉の主は、東京・銀座に店を構えていた、その世界ではつとに名の知れた鮨

哲学者、日本語の謎に挑む 日本語と論理

飯田 隆(慶應義塾大学名誉教授) しばしば日本語は論理的な言語ではないと言われるが、果たして本当か。長きにわたり、言語と論理にかかわる問題と向き合ってきた哲学者が、「徹底的」に考えてみた。 *本記事は、NHK出版新書、飯田隆『日本語と論理 哲学者、その謎に挑む』より一部を抜粋したものです。 「三人のこども」は、何人のこどもを指すのか 次のような文があるとする。  (1) 三人のこどもが笑った。  この文が正しく実際の事態を報告しているとみなされるときとは、どんなときだ

出向、早期退職、役職定年…… 55歳の危機を突破して、後半生を幸せに生きるコツ――齋藤 孝

人生最大の転機が訪れるのが55歳。“仕事第一”の生活をまだまだ続けるか? それともギアチェンジして、新しい生き方に挑戦するか? 齋藤孝氏が教える、これからを幸せに生きるためにいちばん大切なこと。  55歳頃になると、社会における立ち位置について、変化が現れてきます。 その最大のものが、「暇になる」ということです。  「それどころか、近頃ますます忙しいよ。暇があったらどれだけいいことか」  「まだまだ働き盛りなのに、寂しいことを言わないでほしい」 そう反論される方も多いでしょ