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NHK連続テレビ小説「らんまん」主演・槙野万太郎役・神木隆之介さんインタビュー

 4月3日から放送がスタートするNHK連続テレビ小説「らんまん」は、「日本の植物学の父」と呼ばれる故・牧野富太郎さんをモデルにしたオリジナルストーリーです。
 当記事では、3月20日発売の『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 らんまん Part1』より、主人公・槙野万太郎を演じる神木隆之介さんの撮り下ろし巻頭インタビューをお届けします。 


 朝ドラの主演と聞いて、最初は信じられませんでした。「えっ、僕がヒロインですか?」と(笑)。よくよく聞いたら男性の主演は「エール」の窪田正孝さん以来3年ぶりだそうで、光栄なお話に「ぜひ!」とお答えしました。
 僕が演じる槙野万太郎は、江戸時代末期の土佐で酒造りを営む家に生まれ、商いを継ぐことを望まれながらも植物学にのめり込んでいきます。植物学者の牧野富太郎博士がモデルということで、牧野博士に関する本や資料を読ませていただきました。写真も多く残っていて、とにかく笑顔がすてきな方なんです。牧野博士が大きなキノコを両手に持ってひょうきんな踊りを披露する写真もありました。うれしかったりおもしろかったりすると体が動いちゃう人なのかなと感じたので、演技では僕も体を使った感情表現を意識しています。
 もう一つ感じたのは、「研究に必要だから知りたい」というのではなく、「好きだから知りたくてしかたがない!」という一心で植物と向き合った方だということ。僕自身、よくも悪くも周りが見えなくなるほど好きなことに熱中するタイプなので共感します。自分の子ども時代を振り返ると、何時間でも集中して好きな絵を描いていました。もっとも、絵の才能は牧野博士に到底及びません。牧野博士が描いた植物画は、緻密で繊細で美しい。ドラマの中で植物画を描くシーンがあるので、ちゃんと上手そうに見えるといいのですが(笑)。

 書籍『かみきこうち』の取材と撮影も含め、牧野博士が生まれ育った高知県のあちこちを歩きました。まず圧倒されたのは、広大な美しい自然です。海や川や緑の大地や、そこに生きる生物たちに見守られているような感覚がありましたし、地元の方々の優しさにも感激しました。酒蔵の街並みが残る牧野博士の出身地・佐川町や、牧野博士ゆかりの植物や植物画が見られる高知県立牧野植物園も印象深いです。高知で自分が体験したことを、万太郎の体験として大事に持ち続けていたい。高知ロケは、牧野博士が植物調査を行った伊尾木洞からスタートしました。シダに覆われた渓谷は、ゲームの世界に迷い込んだような幻想的な美しさでした。
 万太郎の少年時代は、子役の森優理斗君と小林優仁君が演じてくれます。二人がドラマの中で経験したことを大切に引き継いでいくつもりです。特に母親のヒサさんから受けた愛情は万太郎の記憶にずっと残り続けているはず。祖母のタキさんも厳しさの中に深い愛情があって、病弱な万太郎を見守ってくれている。酒蔵「峰屋」の働き手たちもそうです。それから、僕の大好きな先輩・寺脇康文さんが演じる池田蘭光先生。万太郎は蘭光先生からも影響を受けます。そうやってたくさんの人の愛情に囲まれていたから、好きなことにまっすぐで、心根が優しくて、時に子どもみたいにはしゃぐ楽しい人柄になったのだと思います。
 役づくりで苦労しているのは土佐ことばです。自分の言葉にするには、お手本を聞いてひたすら繰り返すのみ。共演の皆さんと励まし合いながら頑張っています。
 僕はこれまでに、大河ドラマで源義経を演じたり、漫画やアニメのキャラクターを演じたりしてきました。そうした役では、一般的に定着しているイメージを大切にしながらも、台本を読んで感じたことや、共演者とのやり取りの中で思いがけず生まれた感情を自分なりに表現するように心がけています。最初は手探りなのですが、芝居を重ねていく中で、「この人にはこういう一面があったのでは」「相手がこう来たらこういう反応になるよな」などと気付くことが多いんです。今回も、収録を重ねるほど槙野万太郎という独立したキャラクターが僕の中で出来上がってきている感覚があります。そのうえで、偉大な植物学者・牧野富太郎をモデルにした槙野万太郎の生涯を、説得力を持って伝えられたらうれしいです。

取材・文=髙橋和子 撮影=木村和平

プロフィール
神木隆之介(かみき りゅうのすけ)

1993年埼玉県生まれ。
映画「桐島、部活やめるってよ」 「バクマン。」「3月のライオン」「フォルトゥナの瞳」「君の名は。」(声の出演)、ドラマ「SPECシリーズ」「いだてん~東京オリムピック噺~」「コントが始まる」などに出演。
2023年にはNHKの連続テレビ小説「らんまん」で主演を務めるほか、映画「大名倒産」が6月23日に公開予定。

『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 らんまん Part1』では、上記の他にも浜辺美波さんをはじめ出演者の方々のインタビューを掲載しています!

同時発売しております、「らんまん」の小説版『NHK連続テレビ小説 らんまん 上』はこちら!

同じく同時発売しております、神木隆之介さんが「らんまん」舞台地・高知の魅力の数々を体感したビジュアル紀行ガイド『かみきこうち』はこちら!

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