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「宗教がこんなにも豊かで開かれたものであることを知ってほしい」――悩み苦しむ現代人のための「宗教のきほん」

本がひらく

 古今東西の宗教における「知識」と「知恵」をわかりやすく伝えるシリーズ、「宗教のきほん」が10月28日に創刊となります。いったいどんなシリーズになるのか、担当編集者であるNHK出版・白川貴浩が大いに語ります。

NHK出版・白川貴浩

――本を手にしてまず思ったのは、カバーの手ざわりのよさなど、装丁の美しさです。
白川貴浩(以下、白川)
 シリーズのコンセプトを反映すべく、デザイナーの成原亜美さんと相談を重ねました。

――シリーズのコンセプトは「宗教の『知識』と『知恵』をわかりやすく伝える」とのことですが。
白川 2018年に「学びのきほん」というシリーズを創刊しました。「2時間で読める教養の入り口」というコンセプトで、各分野のエキスパートに「キホンのキ」を100ページ程度で解説していただくシリーズです。おかげさまで、累計40万部を超えるシリーズとなりました。いろんな学問分野の「入り口」まで案内するような入門書が最近減ってきたなと感じていて、それが「学びのきほん」創刊につながりました。
 どの分野でも入門書が減ってきている印象ですが、例えば哲学などは割と充実しているジャンルに思えます。一方、「宗教」というのはとりわけ入門書に乏しいジャンルなのではないかと感じていました。宗教の教義などを詳しく伝える専門書や、自己啓発書に寄ったライトな本はあるのですが、ビギナー向けに宗教の「知識」と「知恵」を車の両輪のように伝えた本はないかな、と思います。
 しかしその両者があってこそ、宗教が広く一般の方の実生活で生きてくるのだと思います。そこで「宗教のきほん」という新シリーズを創刊することにしました。

――その宗教を信じている人にも、いない人にも向けたシリーズということですね。
白川 そうです。「宗教のきほん」創刊の話が持ち上がったのが2020年でした。コロナ禍でこれまで以上に「人がひとりで生きていかなくてはならない局面」が増えてきて、多くの人が悩み苦しみに直面していると思います。そんなときに、宗教の知識と知恵が力を持つのだと思います。たとえば哲学の本を読んで、その人の生き方が変わっていくように、その宗教を信じていなくとも、何か実生活に役立ったり、悩みに直面したときの助けになるようなことを宗教から学ぶことができると思います。

――「多くの人の助けになるように」……そんなコンセプトが、造本にも反映されているのですね。
白川 既存の宗教関係の本は重厚なつくりのものが多いですが、ビギナー向けの本シリーズでは、手に取りやすい装丁を目指しました。誤解を恐れず言えば、「かわいく、ポップにしたい」とデザイナーさんには伝えました。本の形はB6の変型判というもので、書籍として一般的なA5判や四六判よりも小ぶりで手のひらに収まりやすく、重量としても軽いものになっています。

――カバーを外した表紙が文庫本のようです。
白川  「少し大きな文庫本」のように見えますよね。表紙もとても手ざわりのいい紙を選んで、ずっと手に持ってもらえるようにこだわりました。

カバーを外すと文庫本のように

――ロゴのイルカのイラストもかわいらしいですね。
白川 近藤愛さんに描いていただきました。「知識と知恵」というコンセプトに照らして、イルカという生き物はぴったりだなと。

――創刊ラインナップの2冊の読みどころを教えてください。
白川 山本芳久さんの『「愛」の思想史』は古代から中世までの「愛」の概念の展開を非常にわかりやすく解説していただいており、合わせてキリスト教の基礎知識が身につく本です。キリスト教における主な「愛」の概念として、「自分が愛する愛」と「自分が愛される愛」があり、それらとの関り方というのは、まさに現代人にとっても切実なテーマなのではないでしょうか。「愛されること」を求めすぎたり、「愛すること」に疲れ果ててしまったり…。古代や中世の愛の思想を通して、そんな実生活上の悩みを解決するヒントを見つけてもらえると嬉しいです。

 山川宗玄さんの『禅の知恵に学ぶ』は禅についての基礎知識とその知恵がかつてなくわかりやすく書かれていると思います。禅僧である山川さんは、ひとりの宗教者として禅というものの非常に深いところを見た人です。本書でそのほんの一端でも垣間見てもらえると嬉しいです。
 禅では日々の暮らしのひとつひとつを「修業」として捉えています。そのような視点で仏教や禅を学ぶと、みなさんの日々の暮らしに対する考え方も変わってくるかもしれません。

――今後の展開はどうなるのでしょうか。
白川 引き続き、「知識と知恵」の両面を教えてくれる著者の方にご執筆をお願いしようと思っています。今後5年ほどで10~15冊刊行し、古今東西の宗教の「きほん」が網羅できることを目指します。一冊一冊、カバーの色を変えていくつもりなので、シリーズでそろえると、とてもカラフルになると思います。

――読者に向けて、ひとことお願いします。
白川 「宗教のきほん」は、教養として各宗教の基礎を学びたい人にとって、最適な入門書になればいいな、と願っています。一方、「宗教」というものに対して、違和感や抵抗感を覚える人にもぜひ読んでほしいです。読んでいただいて、「宗教ってこんなに開かれたものなんだ」と思ってもらえたら嬉しいです。苦しみに直面したときの助けになるような考え方や知恵が宗教の世界にはあって、私自身原稿を読みながら、その豊かさに心動かされていました。

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