「置いてみたら売れた」と、広告でよく見かけるような見出しになってしまいました。でも本当のことです。NHKブックスという「シリーズ」の本、それも数年前までに出た20タイトルです。「まだまだ読者がいるはず」と思われた本を20冊選んで、この6月に一斉に復刊(増刷)ました。そのリストを全国に配って、いくつかの書店で置いてもらうと……売れたそうなのです。
とある大都市の、しかし中心部ではなく住宅街ちかくにある書店から「NHKブックスをこれまで置いたことがなかったが、置いてみたら売れた。潜在的なお客さんがいることがわかった」という意見が寄せられました。これを読んだとき担当者は内心「よっしゃ!」と叫んだものです。……「内心にとどめておくことはない、公開すべし」との指示が出て、このサイトへ、詳しいお知らせを上げることになりました。いまどき「置いたら売れる」ってどんな本なのか? 「シリーズ」という言葉も分かりやすく説明してみます。
まずは、20冊を並べてみます。知っている本があるでしょうか;
知らない本ばかり……であっても何の問題ありません。だいたい本というのは、10万部ぐらい売れないと認識されないものだと思います。ここに挙げた20点はそういう部数に至っていません。(今のところ。あと少し……というものはあります)
上のタイトルだけ見ると、面白そう! という人も、そうでない人もいることでしょう。次に著者の名前を併記してみます;
どうでしょうか、著者の名前なら知っているという方は少なくないかもしれません。そうです、実力派の方々が書いているのがNHKブックスというシリーズなのです。ちなみに、当社NHK出版が「日本放送出版協会」という社名だった頃から、58年間にわたって1,273冊のタイトルを刊行してきている、「選書」と呼ばれる連続的な刊行物が、シリーズ「NHKブックス」です。
その1,273冊目は山口健介著『ミャンマー 「民主化」を問い直す』で、その次、この8月に出る1,274冊目は大澤絢子著『「修養」の日本近代』です。
さてこの記事は、上記の20点を復刊した「名著復刊フェア」をお知らせすることを通じて、読んだ方に「この本読んでみようかな」と思っていただくことが目標でした。以上で、その目標は達成されたのではないかと思います。よろしくお願い…
……失礼しました、書目と著者名を並べただけじゃダメでしょ。と、中の人に指摘されたのでもう少し書かせてください。こんどは各タイトルに、通巻番号を付けてみます。No.617は1991年、No.794は1997年、No.991は2004年、No.1184は2011年、No.1224は2014年の刊行で、そこから継続して売れています。説明文を付けます;
担当者と出版社の願いは、「息の長い本を掘り起こしてほしい」ということに尽きます。ここに挙げた「名著復刊」20タイトルは、分量も内容も読みごたえのあるものです。腰を据えて、骨のあるものを読むと、目に映る世界は変わります。「変わってもいいかな」と思われる方は、夏の休みに、秋の夜長に――何なら年末の休みに――読む一冊へ加えるのはいかがでしょうか。もっと言えば、1991年(31年前)の本が今も読まれ続けているのですから、「積ん読」で31年後、2054年に読んでいただくのも面白いかもしれません。
「なんか面白い本ないかな」。そう思ったときにNHKブックスをご検討ください。これからも息の長い「定番」を刊行していきます。ご注目ください。
(NHKブックス編集部・記)
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