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吉沢亮×高良健吾×橋本愛が語り合う――今夜放送開始の大河ドラマ「青天を衝け」幼なじみ座談会

 いよいよ、大河ドラマ「青天を衝け」の放送がスタート! 主人公・渋沢栄一の生まれ故郷である血洗島村(現・埼玉県深谷市)を舞台に、家族や仲間たちと過ごした栄一の青年時代が描かれます。主演・吉沢亮さんが演じる栄一のいとこであり、幼なじみでもある渋沢喜作と尾高千代は、栄一と深い関係を築いていく注目の登場人物。ドラマではそれぞれ、高良健吾さん、橋本愛さんが演じます。
 現在、好評発売中の『NHK大河ドラマ・ガイド 青天を衝け 前編』では、撮影現場で一緒になることも多い、吉沢さん、高良さん、橋本さんに、ドラマの見どころやお互いの役について、また収録現場での雰囲気などを語っていただきました。渋沢栄一ゆかりの地にて穏やかな雰囲気の中行われた座談会を、当記事で余すところなくご紹介します!

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栄一と喜作は千代に気があるんだよね

吉沢 僕らが今いる青淵文庫(せいえんぶんこ) は、渋沢栄一さんの80歳のお祝いと、男爵から子爵に昇格したお祝いを兼ねて、栄一さんを慕う方々が贈った建物だそう。ステンドグラスなどすばらしいですよね。
高良 壁の装飾も凝ってますね。
橋本 私はじゅうたんのコウモリの柄が気になって、管理の方に伺ったら、福を呼ぶ縁起のいい柄だとか。初めて知りました。
吉沢 こんなすてきな建物をプレゼントしてもらう人になるのか……。今はまだ血洗島(ちあらいじま)の小さな村で幼なじみの喜作とわぁわぁ騒いでいる若い頃しか演じていないので、不思議な感じです。
高良 若い頃の栄一と喜作は、千代に気があるんだよね。喜作なんて子どもの頃から好きで。
橋本 千代はいい子なので、みんなから愛されたんだと思います。私が男ならつきあいたい。
吉沢・高良 ははっ(笑)。
高良 千代は結局、喜作じゃなく栄一を好きになりますが。
吉沢 喜作は優しいいい男だし、先に好きになったのに(笑)。
橋本 わぁ、ごめんなさい(笑)。でも当時は想い合って結ばれるケースは少なかっただろうから、好きな栄一さんと結婚できた千代は幸せ者で、周囲のみんなに感謝したと思います。
吉沢 ただ、栄一が千代の想いや自分の想いに気づくのが遅くて、6、7話かかったんじゃないかな。大河ドラマならではのスローテンポを実感しました。
高良 丁寧に心の動きが描かれるからね。大河ドラマならではというと、収録順が台本どおりでないところが僕はおもしろい。
吉沢 難しさもないですか?
高良 うん、難しさもある。あるシーンを撮って、その前後のシーンを数週間後に撮るとなったとき、以前撮った芝居は「違ったかも」と思うこともあります。でも大河ドラマは短距離でなくマラソンだから、どこかで芝居を調整できるし、そのプロセスに独特のやりがいも感じる。
吉沢 確かに。僕はそれを踏まえて「こう演じる」って決めすぎないようにしています。余白を残しておくというか。
橋本 私は重要なシーンを先に撮ることが多くて不安でした。でも少しずつ栄一さんたちとの関係性が体になじんできて、今は楽しく演じられています。
吉沢 台本を読んで橋本さんがどう演じるんだろうと楽しみだったんです。千代はいろんな演じ方ができそうで、逆に言うと捉えどころがない。初収録のときは「これがお千代か!」と一発で正解を見せられた気がしました。すごい役者さんだなぁと。
橋本 ありがとうございます!

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高良 僕の印象では、吉沢さんも橋本さんもシャイ。それが芝居に出るのか、セリフを交わすときに「来すぎない」んですよ。押しが強すぎないというのかな。そのあんばいが絶妙。
吉沢 僕は高良さんとの芝居がとにかくやりやすくて、相棒役なのでありがたいです。栄一と喜作は、どっちが兄貴分でどっちが弟分なのかよく分からないところがおもしろいですよね。
高良 表面的には喜作のほうが行動的に見えるけれど、いざというときは栄一のほうが大胆。喜作が栄一に甘えているところもあって、そんな関係が最後まで続いていくんだろうな。
橋本 千代が栄一さんに惹かれた要素は、喜作さんにもあると思うんです。2人とも前向きなエネルギーと人のために行動できる優しさや強さを持っている。そんな2人を心強いお兄ちゃんみたいに思っていて、でもたまに「かわいいな」と母性をくすぐられる。シーンにより2人への見方が変わるのですが、人間関係ってそういうものですよね。
吉沢・高良 うんうん。
橋本 あと、千代をめぐって2人が口論するシーンがあるじゃないですか。台本を読んで「このシーン、大好き」と思いました。栄一が喜作をいったん褒めてからけなすという……。
吉沢・高良 ああ(笑)。
橋本 2人の関係性が男くさくて、土くさくて、かわいらしい。こういう喧嘩ができるって羨ましいとも思いました。
吉沢 これから撮る場面ですね。
高良 今の話を聞いて改めて大事なシーンだと思った。まだ撮ってなくてよかったね(笑)。
吉沢 栄一たちを見守る渋沢一族も魅力的ですよね。栄一は父親の市郎右衛門や母親のゑいから道徳的なことを学び、尾高惇忠から学問や時勢を学ぶ。いずれ血洗島村を出て活躍のフィールドは広がっていくけれど、渋沢一族との関わりの中で培った根本的な部分はずっと変わらなかったんじゃないかと思う。
高良 特に惇忠は若者たちに大きな影響を与える。「花燃ゆ」で高杉晋作(たかすぎしんさく)を演じたときも思ったけれど、当時は吉田松陰(よしだしょういん)や惇忠みたいな偉大なメンター(指導者)が各地にいて、感化された人たちが日本を変える原動力になった。出会いそうにない人どうしが攘夷(じょうい)思想でつながって行動を起こしていくんだよね。
橋本 私は千代が兄の惇忠に初めて意見するシーンが印象的でした。教養人の惇忠でさえ「女に学問は必要ない」と考えていて、千代は兄を尊敬しているからこそやるせない。でも正直に自分の思いを伝えたら、兄様は優しく受け止めてくれた。このドラマは、時代の価値観を優先するのか、自分の価値観を優先するのかを試されるシーンがたくさんあって、まさにそういう
シーンだったと思います。

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高良 渋沢一族を演じるキャスト陣がまたすばらしいですよね。
吉沢 ほんとに。市郎右衛門役は小林薫さんですが、僕は渋い感じのお芝居をされるのかなと勝手に想像していたんです。実際は柔らかくて、かわいらしくて、それでいて当時の父親らしい強さを感じる。ゑい役の和久井映見さんもすてきですし。
高良 皆さん第一線で活躍し続けている方々で、共演できるだけでありがたいよね。毎回何かもらっている感じがします。
橋本 あと、尾高長七郎役の満島真之介さん。
吉沢・高良 あ〜っ!(笑)
高良 いるときといないときで現場の雰囲気が全然変わるよね。
吉沢 ふだんがおもしろすぎて、真面目な芝居をしていると笑っちゃうんですよ。ギャップがハンパない(笑)。
橋本 満島さん、シリアスなシーンを撮るときに本番直前まで笑っていたんです。私はそのたたずまいを見て「絶対このあとすごい芝居をする」って感じたんですね。そしたらやっぱりすごくて、台本にはない感情までわっと伝わってきて。熱い魂が燃え盛っているというか……。「火事現場だ!」と思いました。
吉沢・高良 火事現場(笑)。
橋本 フッと緩めておいてから集中するやり方があるのか、自分も試してみたいと思いました。

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“江戸パート”の人たちと出会っていくのが楽しみ

高良 皆さんそれぞれ自分の考えている芝居があって、でも本番では思いがけないことが起こるから、お互いに感じ合っていいシーンをつくりあげていく。そんな現場だよね。本番で「おっ!」と発見することは僕もよくあります。しかも今の時期は、リハーサルでもマスクをしているので、相手の表情が本番でしか分からない。
吉沢 そうそう(笑)。
橋本 私は栄一さんに告白される場面で吉沢さんの表情に驚きました。目だけ見てたときはカッコよかったけど、気持ちがあふれる場面のせいか、マスクを外したらいい意味でカッコ悪くて。
吉沢 わはは(笑)。
橋本 感情は100%目で語れると思ってきましたが、顔の下半身って大事ですね。ちゃんとそこも使って表現しなきゃと思いました。
吉沢・高良 顔の下半身(笑)。
高良 僕は吉沢さんの剣術の覚えがめちゃめちゃ速いのに驚いた。剣道をやっていたもんね。
吉沢 いやいや(笑)。栄一たちが習っている神道無念(しんどうむねん)流は、足の運びなどが剣道と違うんです。剣道のクセが出ちゃってかえってよくないかも。江戸の千葉道場で教えていた北辰一刀(ほくしんいっとう)流のほうが剣道に近いので、そっちだったらもっとうまくやれるのに(笑)。でも高良さんも覚えが速いじゃないですか。
高良 自信があったのですが、吉沢さんを見てもっと勉強しなきゃと思って、模範映像をよく見ています。あと、つかみ合う格闘技っぽいシーンもあるし。
橋本 洗練された剣術ではないですよね。どこか野良っぽい。そこがいいなと思います。
吉沢 序盤は渋沢一族の〝血洗島パート〟と、徳川慶喜周辺の〝江戸パート〟が並走して描かれていく。これがどう合わさっていくのかも楽しみですよね。
高良 今演じているのは何者にもなっていない栄一と喜作で、村を出て〝江戸パート〟の人たちと出会っていく中で人間を磨いていく。所作や話し方も変わるだろうから、変化をつけていくのが本当に楽しみです。
橋本 女の千代は栄一さんたちと一緒に活動できないけれど、国を変えたいという気持ちは同じだったと思います。だから、栄一さんたちを心配しつつも応援し続ける千代でいたいですね。
吉沢 慶喜サイドの現場にはまだ行ったことがなくて、映像も見ていないのでなおさら楽しみ。
高良 そうですよね。
橋本 ところで、栄一さんは女性関係が華やかだったそうですが、そこは描かれるんですか?
吉沢 えっ、最後にその話題?
橋本 気になっちゃって(笑)。
吉沢 どうなんだろう、僕も分からない(笑)。では、そうしたことも含めて「視聴者の皆さんお楽しみに」ってことで!
高良・橋本 (笑)

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(『NHK大河ドラマ・ガイド 青天を衝け 前編』より再録)

取材・文=髙橋和子 撮影=平岩 享

プロフィール
吉沢 亮(よしざわ・りょう)

1994年生まれ、東京都出身。2009年、所属事務所の全国オーディションを経て、芸能界デビュー。主な出演作に、ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」「GIVER 復讐の贈与者」、「半沢直樹」シリーズ、映画「カノジョは噓を愛しすぎてる」、「銀魂」シリーズ、「リバーズ・エッジ」「ママレード・ボーイ」「あのコの、トリコ。」「キングダム」「一度死んでみた」「青くて痛くて脆い」、舞台「プロデューサーズ」など。NHKでは、連続テレビ小説「なつぞら」などに出演。大河ドラマは初出演。

高良健吾(こうら・けんご)
1987年生まれ、熊本県出身。主な出演作に、映画「横道世之介」「悼む人」「きみはいい子」「多十郎殉愛記」「アンダー・ユア・ベッド」など。2021年、映画「おもいで写眞」「あのこは貴族」が公開予定。NHKでは、連続テレビ小説「おひさま」「べっぴんさん」、「精霊の守り人」シリーズなど。2021年には、ドラマ「あなたのそばで明日が笑う」が放送予定。大河ドラマは「花燃ゆ」に出演。

橋本 愛(はしもと・あい)
1996年生まれ、熊本県出身。主な出演作に、ドラマ「同期のサクラ」「パレートの誤算~ケースワーカー殺人事件」「35歳の少女」、映画「リトル・フォレスト」シリーズ、「PARKS パークス」「ここは退屈迎えに来て」「私をくいとめて」など。NHKでは、連続テレビ小説「あまちゃん」、「長閑の庭」など。大河ドラマは「西郷どん」「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演。

*NHK出版「大河ドラマ・ガイド 青天を衝け」公式Twitterはこちら

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NHK出版の書籍編集部が、多彩な執筆陣による連載小説・エッセイ、教養・ノンフィクション読み物や、朝ドラ・大河ドラマの出演者や著者インタビューなどをお届けします。新刊情報も随時更新。ときどき編集部裏話も!