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映画続報に沸く『護られなかった者たちへ』(主演・佐藤健)のシリーズ続編『境界線』——情報化社会の闇ビジネスと人々の祈りを描く骨太の社会派長編小説

復興への祈りを込めたヒューマンミステリー

 12月16日(水)に中山七里さんの新作小説『境界線』が発売されます。この日は中山さんの誕生日です。そして今年は中山さんの作家デビュー10周年の記念イヤー。そのキャンペーンの一環として実施している「単行本12か月連続刊行」のフィナーレを飾るのが本書です。

 本作は2018年に刊行された『護られなかった者たちへ』につらなる、“宮城県警シリーズ”の続編。宮城県警捜査一課の笘篠誠一郎刑事が部下の蓮田らとともに、宮城県内で起きた不可解な事件に立ち向かっていきます。ミステリーとしての読みごたえはもちろん、前作同様に人間ドラマを正面から描いた骨太の社会派小説として楽しめるのが、数ある中山作品の中でも際立った特徴になっています。あらすじは以下のとおりです。

「東日本大震災による津波で行方不明中だった女性の遺体が発見された。名前は笘篠奈津美。彼女は前夜まで生きていて、自殺と見られる」
 突然の妻の訃報を受けた宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎は、さまざまな疑問と複雑な感情を胸に遺体が待つ現場へ急行する。しかしそこで目にしたのは、まったくの別人の遺体だった。なぜ妻の名前は騙られてしまったのか? 静かに怒りを燃やし、個人情報の流出経路と自殺した女性の身元を笘篠刑事は探っていくが果たして——。

 情報化が進む社会において、個人情報はもっとも身近で基本となるもの。作中で、「戸籍を基に発行される各種証明書による“記録”と、その人物を知る者の“記憶”の2つがあって、初めて人間の存在に至る」ことに言及している中山さんは、個人情報の闇ビジネスを描きながら、「人間の存在とは何か」という究極の問いを投げかけてきます。

誰にでも境界線がある。越えるか、踏みとどまるか。

 中山さんが本作の刊行に寄せたこの言葉が表すのは、東日本大震災によって引かれてしまった運命の“境界線”と、それに翻弄される人々の人生の岐路。果たして、選択した人生の先に待ち受ける未来とはどのようなものなのか――。

 2021年3月で東日本大震災からまる10年を迎えるにあたり、「物書きとして心や人間関係も含めた復興への祈りを込めました」と中山さんが思いを託した『境界線』。慟哭必至のヒューマンミステリーを、ぜひこの機会に手に取っていただけたら幸いです。

映画「護られなかった者たちへ」続報解禁!

 今年3月28日の映画化決定の第一報後、公開への期待の声がインターネット上で沸き立った映画「護られなかった者たちへ」。その公開時期が2021年の秋に決まったことと、劇中の音楽を村松崇継さんが手がけることが発表されました。

 さらに、主演を務める利根役の佐藤健さんと彼を追う笘篠刑事役の阿部寛さんの、臨場感と情感があふれる映画ビジュアルも初公開! 激しい怒りをむき出しにして刃物のような鋭い眼差しで睨みつける佐藤さんと、胸中に渦巻く思いを抱えながら事件の奥に隠された真実を解き明かそうとじっと見据えるようにたたずむ阿部さん。演技派のおふたりの気迫と、物語の世界観が伝わるビジュアルが大変印象的です。

「護られなかった者たちへ」ティザー最終_縦

 全身を縛られたまま餓死させられるという残忍な手法で起こった連続殺人事件。その背景にあるのは、日本の社会制度の限界とひとつの絆。そして、「10年目の殺人」が起きる。その顛末がわかったとき、心が揺さぶられることは間違いありません。

 今回の続報にあわせて、原作小説の帯も映画ビジュアルにデザインチェンジしました! 映画制作陣が自信を持って「2021年、もっとも切なく、もっとも衝撃的な、究極のヒューマンミステリー大作の誕生」と謳い、中山七里さんも刊行当時に「現時点での最高傑作」と話していた本作。来秋の公開を前に、まずは原作小説から楽しんでみるのはいかがでしょうか?

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◎映画情報
「護られなかった者たちへ」
佐藤 健 阿部 寛 清原果耶 倍賞美津子 吉岡秀隆 林 遣都 
原作:中山七里「護られなかった者たちへ」(NHK出版)
監督:瀬々敬久 脚本:林 民夫・瀬々敬久 音楽 村松崇継
企画:アミューズ 制作:松竹撮影所 配給:松竹
©2021 映画「護られなかった者たちへ」製作委員会
2021年秋ロードショー
※映画「護られなかった者たちへ」公式HPはこちらです。

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