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主演・小栗旬(北条義時役)×小池栄子(政子役)✕坂口健太郎(北条頼時[泰時]役)座談――『大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』

 2022年放送の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、その主人公は、平安時代末期から鎌倉時代に生きた伊豆の豪族の次男坊・北条義時です。権力闘争の末に鎌倉幕府の最高権力者へとのぼりつめる義時とその周りの人々が織りなす物語を、脚本家・三谷幸喜氏が生き生きと描いていきます。
 当記事では、5月27日に発売した『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』より、主演・北条義時役の小栗旬さんと、義時の姉・政子役の小池栄子さん、義時の長男・頼時(泰時)役の坂口健太郎さんの座談会の一部を掲載。それぞれの思いと、ドラマの今後の展開について、語っていただきました。


あのかわいい金剛がこんなに大きくなった!

小栗 坂口君はドラマの途中からの参加だけど、難しそうな様子もなく現場になじみましたね。
坂口(真顔で)いや、難しかったですね。
小栗小池 え〜!(笑)
坂口 実際は難しくなかったです(笑)。現場の皆さんが自然に受け入れてくださったので。
小池 旬君が穏やかな空気をつくってくれていますからね。
坂口 はい(笑)。
小池 しかし改めて、この坂口さんが旬君の息子役とは!
小栗 ほんとだよね(笑)。
小池 子役さんが演じた金剛(頼時のち泰時)とのギャップが大きくて。急成長したから(笑)。
坂口 第22回まで子役の森優理斗君が、第23回から僕が演じます。話の筋からすると、両回をまたいで進む年月は3年ほど。
たった3年で僕の姿に(笑)。
小栗小池 (笑)


父と息子は目で通じ合う

小池 義時と頼時親子がどう描かれるのかも楽しみです。
小栗 頼時は、義時のピュアで少し抜けているところを受け継いでいる気がするんだよね。
坂口 そうですね。頼時は年齢のわりに真面目で達観しているけれど、抜けているとこもあって、特に女性への接し方(笑)。
小栗 父親譲りだね(笑)。
坂口 はい(笑)。あと、僕は小栗さんの目線のお芝居から義時の思いを感じています。印象的だったのは、義時、頼時、比奈の3人で話すシーン。頼家について「何をしても頼朝様と比べられる」と語る頼時に、比奈が、「気持ちは分かります。私も八重さんと比べられましたから」と言う。このとき、義時が頼時をちらっと見ますよね。
小栗 うん。
坂口 あの一瞬の目線が、僕の中ではめちゃめちゃ大きくて。
小栗 台本のト書きに「顔を見合わせる」とあったからね。ただ、監督に指示された座り位置だと自然な体勢で視線を交わせないと思って位置を変えてもらった。
坂口 そうか、最初の位置関係だと、義時が体ごと振り返らないといけなかったから。
小栗 そう。でも確かに義時と頼時の父子関係がうかがえるシーンだったよね。父と息子で「八重はこうだった」と思い出すことがあったんだろうなと。
坂口 そうそう。目が合ったときに、義時の家庭での様子や、分かり合っている父子の関係性が見えたような気がしました。

繰り返す「そんなつもりじゃなかったのに」

小栗 この親子はこれから2代目鎌倉殿の頼家を支えていくけれど、何かと苦労が多いよね。
坂口 頼時は、鎌倉殿として認められたい頼家の気持ちも分かるし、頼家に負担をかけまいとする父上の気持ちも分かる。もちろん頼時なりの考えもある。ただ、頼時自身が若くて強く主張できる立場ではないので、苦労するんだと思います。
小池 頼時は人望があって、重鎮たちからの評判もいい。だから頼家としては、どこか頼時への嫉妬があるのかもしれませんね。
小栗 義時と頼時の父子関係に対して思うところもあるかもしれないよね。自分には頼りたい父親がもういないんだと。
小池 政子としては、息子の頼家がかわいくてしかたがない。頼家役の金子
大地さんがすてきに演じてらっしゃるので、なおさらなんです。ただ、ダメなお坊ちゃんのわがままさや横暴さ、危うさみたいなものも感じられて。愛しすぎたら一緒に墜ちてしまう感覚というか……。
小栗 頼家は悪い人じゃないんだよね。いきなり持たされた権力の使い方が分からないだけで。
小池 そうそう。見ていて楽にしてあげたくなるんですよ。政子はきっと、頼家には鎌倉殿としての器がないと分かっているんじゃないかな。だから頼家の空回りがつらいし、切ない。
坂口 頼朝のようになれない悲しみや、政治を任せてもらえないもどかしさゆえの空回りだと思うんです。それをいちばん分かってあげられるのは、幼い頃から頼家を見ている頼時じゃないかという思いもあります。
小栗 時代が時代なので、演じていてしんどいことが多くて、頼家を取り巻く出来事もそう。これまで「そんなつもりじゃなかったのに」という展開が何回もあったけれど、今後もきっとそうなんだろうな。
小池 政子もだんだんと責任が重くなってきて、「そんなつもりじゃなかったのに」ということが増えています。ただ、義時とは最後まで協調していくのかなという気はしています。
坂口 義時と頼時の関係性はどうなっていくんだろう。頼時は頼朝没後の父親の微妙な変化を感じているだろうし、鎌倉幕府の行方とともに気になります。
小栗 いい関係に見える義時と頼時の関係も、今後は分からないよね。あんなに愉快に描かれている時政とすら、義時はもめることになるし……。とはいえ三谷幸喜さんの脚本ですから。
坂口 そうですね。些細な日常の出来事やたわいのない会話がおもしろく描かれているので。
小池 ほんと絶妙ですよね。なんてことないシーンのようで、人となりが一瞬で伝わるという……。後半も楽しんでいただけること間違いなし!
小栗・坂口 お楽しみに!

取材・文=髙橋和子 撮影=山田大輔

プロフィール
小栗 旬(おぐり・しゅん)

1982年生まれ、東京都出身。子役として活動を始め、95年、大河ドラマ「八代将軍吉宗」に出演。以降、ドラマ・映画・舞台で幅広く活躍。主な出演作に、ドラマ「ごくせん」、「花より男子」シリーズ、「BORDER」「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」「日本沈没-希望のひと-」、映画「クローズZERO」シリーズ、「銀魂」シリーズ、「罪の声」など。NHKでは、「さよなら、アルマ〜赤紙をもらった犬〜」などに出演。大河ドラマは「葵 徳川三代」「義経」「天地人」「西郷どん」などに出演し、本作で8作目となる。

小池栄子(こいけ・えいこ)
1980年生まれ、東京都出身。主な出演作に、ドラマ「俺の話は長い」「美食探偵明智五郎」「姉ちゃんの恋人」、映画「接吻」「八日目の蟬」「許されざる者」「SUNNY強い気持ち・強い愛」「記憶にございません!」「グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜」など。NHKでは、連続テレビ小説「こころ」「瞳」「マッサン」などに出演。大河ドラマは「義経」に出演。

坂口健太郎(さかぐち・けんたろう)
1991年生まれ、東京都出身。主な出演作に、ドラマ「シグナル 長期未解決事件捜査班」「イノセンス 冤罪弁護士」「35歳の少女」「婚姻届に判を捺しただけですが」「ヒル」、映画「64−ロクヨン−」「君と100回目の恋」「人魚の眠る家」「仮面病棟」「余命10年」など。NHKでは、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」「おかえりモネ」に出演。大河ドラマは初出演。

小栗さん:ヘア&メイク=みち子(SUNVALLEY)スタイリング=臼井崇(THYMON Inc.)衣装協力=コート¥231,000 シャツ¥113,300 パンツ¥92,400 シューズ¥53,900(すべて税込価格)エンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社(03-6274-7070)
小池さん:ヘア&メイク=KOUTA(GLASSLOFT)スタイリング:えなみ眞理子衣装協力=ブラウス DAKS/スカート LEONARD(ともに三共生興ファッションサービス株式会社 03-5651-7891)
坂口さん:ヘア&メイク=廣瀬瑠美 スタイリング:壽村太一

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