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連続テレビ小説「なつぞら」 広瀬すず(ヒロイン・奥原なつ 役)インタビュー Part2

2018年6月のクランクインから約1年。ヒロイン・奥原なつを演じる広瀬すずさんは、今どのような気持ちで役に臨んでいるのだろうか。これまでに得たことや、終盤に向けての思いなどについて伺った。

なつとともに生きて

 なつとして生きることがすっかり日常になっていて、とても濃い時間を楽しく過ごしています。時々、「今の感情はなつなのか、それとも私なのか」と分からなくなるほど役との距離が近くて。なつは年齢を重ねていくので、役を作り込むと徐々にブレていってしまうのではと思い、そうではなく自分の中になつを取り込んで一緒に生きていこう、と思いながら演じてきました。今では、台本には書かれていなくても、なつの気持ちを感じ取れるようになり、なつとしてのさまざまな感情が自然と湧いて出てくる瞬間があるほどです。

 今までこのお仕事を続けてきて、ひとつの作品でこんなにも大勢の共演者の皆さんと関わることは初めての経験で、多くのものを得る現場になっています。大先輩方から学ぶことはもちろん、同世代の仲間からも常に刺激をもらっている毎日です。

 高校の演劇部のシーンは特に印象深い思い出。みんなで走ったり、ストレッチしたり、発声練習をしたり、「FFJの歌」を歌ったり……本当の部活動を経験したみたいで楽しくて! その日は、遅い時間に収録が終わったにもかかわらず、みんなでごはんを食べに行ったんです。お酒を飲みながら、みんなで芝居に対する思いを語り尽くしたその機会は、20歳になったことでの得難い体験になりました。

 最近では、クランクアップについての話題が現場で増えてきました。今は長期間に及ぶ撮影の疲れが表れ始める頃。スタッフの皆さんは私よりもずっと大変。それなのに、私に「早く帰して寝させてあげよう」という皆さんの気遣いに触れるたびにうれしくなる一方、「私はまだまだ大丈夫ですよ!」と伝えたくなります。こういうときこそ、ふんばって現場を引っ張っていくのもヒロインの役目。少しでも楽しくてやりがいのある現場になるよう、心がけて日々過ごしています。

 なつは今後、仕事でもプライベートでも奮闘するかっこいい女性として描かれていきます。全力で泣き、笑い、癒やされる。そんなシーンが盛りだくさんで、私自身台本を読んであっと驚いた展開も待っています。最後まで一瞬、一瞬を大切に刻みながら、頑張って演じていきたいです。なつと離れる日のことを考えると、寂しいです。現場ではみんなが「広瀬さん」ではなく「なっちゃん」と呼んでくれるのですが、ドラマが終わっても「なっちゃん」と呼ばれたい。今、それが願いですね。

取材・文=上村恭子

(『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 なつぞら Part2』より再録)

プロフィール

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広瀬すず(ひろせすず)
1998年生まれ、静岡県出身。2012年、モデルとしてデビューし、13年、女優デビュー。主な出演作に、映画「海街diary」、「ちはやふる」シリーズ、「三度目の殺人」、ドラマ「東京にオリンピックを呼んだ男」「学校のカイダン」「怪盗山猫」「anone」など。NHKでは、「激流~私を憶えていますか?~」に出演。20年には、主演映画「一度死んでみた(仮)」が公開予定。

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