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池谷裕二+ヨシタケシンスケのそのモヤモヤ、かいけつします 第7回(最終回)

質問する人
東京学芸大学附属竹早小学校3年~6年生のみなさん
答える人
池谷裕二 薬学博士。東京大学・大学院薬学系研究科・教授。48歳、しし座。好きな食べ物はたけのこ。6歳と3歳の女の子のお父さん。
いっしょに考えてイラストを描く人
ヨシタケシンスケ 絵本作家、イラストレーター。45歳、ふたご座。好きな食べ物はイカ。12歳と7歳の男の子のお父さん。

質問「学校のルールになっとくいかない」 R.Kさん(4年)より

質問「なぜ学校にスマホを持ってきてはいけないんですか?」 ヘルシー・ルイ・ボスティーさん(5年)より

質問「なんで学校にマンガを持ってきちゃいけないのか。なぜ制服があるのか。なぜ学校の帰りにどっかに行っちゃいけないのか」 フルグラさん(5年)より

質問「なんで学校に関係ないものを持ってきちゃいけないの?」 くれあさん(5年)より

 おっ、おもしろい質問がきたぞ。
 内容は少しずつちがうけれど、R.Kさんの疑問のなかにある「ルール」ということばがキーワードになりそうだ。ルールとは「規則・規定・きまり」のことだね。
「赤信号は止まる、車道を歩かない」。これらをルールAとしよう。守らないと自分の命が危ないから、多くの人はこのルールを守るでしょう。
「道路にゴミを捨てない」。これをBとするね。最近、観光地などでは食べ歩きによるゴミの問題が話題になっているのは知っているかな。多くの人がこのルールを守っていない結果、近所に住んでいる人たちは迷惑を受けることになる。
 ちょっと考えてみよう。自分に影響がおよぶルールAは守るけれど、影響がないルールBは守らないというのは、ちょっとおかしくないだろうか。
 もちろんルールが必ずしも正義であるとはかぎらない。納得がいかない規則、守りたくないきまりはぼくにもあるよ。でも、守るか守らないかを個人が選択できるようになると、学校も社会も大変なことになりそうだ。
 2019年10月1日、消費税が8%から10%に上がったよね。納得していない人もたくさんいるけれど、納得がいかないからといって8%分の消費税しかはらわずにスーパーを出たら、税金を納める義務があるぼくたちは、警察の人につかまってしまうかもしれないよ。
 さて、ヘルシー・ルイ・ボスティーさんは、「なぜ、スマホを持ってきてはいけないのか」という疑問を感じたとき、その理由を自分で考えたり、先生やお母さんに聞いたりしたことはある? 先生たちはいじわるでスマホを持ってくることを禁止しているわけではないので、一度理由を聞いてみるといいよ。
 では、かりにスマホを学校に持ってくることが許可されたたとしよう。「授業中の使用は禁止」「緊急時(きんきゅうじ)のみ使用可」「歩きスマホはNG」といった、使い方についてのルールが新たにつくられるでしょう。また、スマホがいいならば、フルグラさんのマンガはどうする? くれあさんは、ペットのポニーを連れてきたいと言い出すかもしれないよ。さあ、どうしましょう。これでは、学校が勉強する場所ではなくなってしまいそうだ。
 もし、どうしてもスマホやマンガ、学校に関係ないものを持ってきたいと思うなら、それらを学校が許可したときに生まれるデメリット(欠点や短所)をなくすための新たな規則を提案して、先生たちを説得するしかない。そう、ルールを変えるときにはまた別のルールが必要になるんだ。
 でもルールに対して疑問を感じることは悪いことではないよ。おかしいと思ったら、立ち上がるべきだ! じつは学校という場所は、もっとモヤモヤしたことであふれている社会に適応していく力をつける場所なんだ。エンジョイ・トレーニング!

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(構成=髙橋和子)

「そのモヤモヤ、かいけつします」は今回をもちまして終了となります。これまでご愛読くさったみなさん、ありがとうございました。さて、お知らせがあります。この連載を今夏、単行本として刊行することになりました! 子どもたちから寄せられた「モヤモヤ」に池谷裕二先生とヨシタケシンスケさんが真剣に挑みます。どうぞお楽しみに。

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多彩な執筆陣による連載小説・エッセイ、教養・ノンフィクション読み物や、朝ドラ・大河ドラマの出演者などをはじめとするインタビューをお届けします。新刊情報も随時更新。ときどき編集部裏話も!  *NHK出版HP → https://www.nhk-book.co.jp/
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