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池谷裕二+ヨシタケシンスケのそのモヤモヤ、かいけつします 第4回

質問する人
東京学芸大学附属竹早小学校3年~6年生のみなさん
答える人
池谷裕二 薬学博士。東京大学・大学院薬学系研究科・教授。48歳、しし座。好きな食べ物はたけのこ。6歳と3歳の女の子のお父さん。
いっしょに考えてイラストを描く人
ヨシタケシンスケ 絵本作家、イラストレーター。45歳、ふたご座。好きな食べ物はイカ。12歳と7歳の男の子のお父さん。

質問「なぜゲームはやらないほうがいいのですか?」 リンリンさん(5年)より

質問「なぜゲームをすると親におこられるのですか?」 Zさん(5年)より

質問「ゲームで目が悪くなるといいますが、幼稚園からずっとやっていますが、視力が1.5のままです。なんでですか?」 T・Iさん(5年)より

質問「ゲームも趣味の一つなのに、なぜ親は制限するの?」 ジョン・G・G・ゴッドゴリラさん(6年)より

 ゲームをやらないほうがいいか? そんなことはぜんぜんないと思います! じつは、ぼくもゲームが大好きです。それにしても、ゲームにかんする質問が多かったですね。
 まず、T・Iさんの質問に答えていきましょう。ゲームによる視力の低下は、科学的には証明されていません。「長時間ゲームをやることによって近視が進行する」という学者もいますが、近視になる原因は、遺伝や環境などゲーム以外のことも考えられるため、はっきりとした結論は出ていないんだ。
 逆にゲームをやることで、視力がよくなることを証明した研究があるよ。とくにアクションテレビゲームは、「動体視力(どうたいしりょく)」を高めるともいわれているんだ。動体視力とは、簡単にいうと、「動くものを見る力」のこと。たとえば野球やテニス、卓球など小さなボールを使ったスポーツにはこの能力が役に立ちそうだね。
 とはいえ、「ゲームをやって目が悪くなる証拠(しょうこ)はない!」「ゲームをすると動体視力がよくなるのを知らないの?」などとお父さんやお母さんに言っても、「ヘリクツばっかり言っていないで、勉強しなさい!」としかられちゃいそうだね。夜おそくまで本を読んだりしても怒られないのに、どういわけだか、ゲームだけが目のかたきにされちゃうんだ。それはなぜだろう?
 理由は大きく2つあると思う。1つは、ゲームをすることを「ひきこもり」などと強引に結びつけて「ゲームはわるいもの!」と見なす世の中の風潮(ふうちょう)があること。もう1つは、ゲームには中毒性があり、依存症(いぞんしょう)になる可能性があること。
 それにしても「ゲーム=よくないもの」という考えは、あまりにも安易なものだ。めいかくな根拠(こんきょ)もない。「ゲームオタクは人づきあいが苦手」「戦闘ゲームが好きな子は、こうげき的」といった、とんでもない誤解(ごかい)さえある。Zさんやジョン・G・G・ゴッドゴリラさんの親ごさんたちは、わが子がそういった「社会のへんけん」にさらされるのをおそれているんじゃないかな。親ごさんたちだけの力で世の中からへんけんをなくすのは難しいから、その気持ちはぼくにも理解ができます。
 ところで、ファミコン(ファミリーコンピュータ)って知ってる? ぼくが子どものころにはやった家庭用ゲーム機なんだけど、親から「やめなさい」といわれた記憶はなくて、むしろ親のほうがハマって、ぼくにゲームをゆずってくれなかったほど。いま、ぼくにはふたりの娘がいるけれど、彼女たちが「ゲームがしたい」と言い出したら、とめるつもりはないんだ。ただ、「宿題をやってから」「1日1時間まで」「夜ふかしはしない」といったルールは守ってもらう。理由は自分をコントロールできる力をやしなってほしいから。その力は、いつか大人になって社会に出たときに必ず役に立つはずだからです。
 アンケートでは、「なぜゲームをやめられないのか?」という質問が多くありました。ゲームには、脳の「報酬系(ほうしゅうけい)」と呼ばれる神経回路を活性化させる作用があり、依存症になるリスクと大きく関係しています。これについては、次回くわしくお話ししていこうと思います。

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(構成=髙橋和子)

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多彩な執筆陣による連載小説・エッセイ、教養・ノンフィクション読み物や、朝ドラ・大河ドラマの出演者などをはじめとするインタビューをお届けします。新刊情報も随時更新。ときどき編集部裏話も!  *NHK出版HP → https://www.nhk-book.co.jp/
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