「形」を知ると、身体のしくみと進化が見えてくる!――「キリンと人間、どこが違う?[キリンの肺は肩身が狭い?] 」郡司芽久
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「形」を知ると、身体のしくみと進化が見えてくる!――「キリンと人間、どこが違う?[キリンの肺は肩身が狭い?] 」郡司芽久

 キリンと人間はまったく違う動物? 生き物の身体の「形」を比べてみると、意外な共通点が見つかります。動物学者で「キリン博士」こと郡司芽久さんが、動物の身体をめぐる謎やユニークな進化についてわかりやすく解説。浅野文彦さんのイラストも必見!
 今回のテーマは第1回につづき、ふたたび「肺」が登場。動物ごとに異なる呼吸の仕組み。深遠なるその進化を見ていきます。
 *当記事は連載第9回です。第1回から読む方はこちらです。

キリンの小さな肺

 先日職場の健康診断を受けたら、胸部X線を撮影してくださった技師さんから「お姉さん、普通の人より少し肺が大きいね」と声をかけられた。「ほら、肺が、X線写真の下ギリギリまであるでしょう? 並の技師だったら、肺の下のほうが撮影視野を外れて切れちゃっているよ」と満足そうに頷く技師さんに、とりあえず笑顔で「ありがとうございます」と返事をした。水泳選手でも管楽器の奏者でもないので、ほかの人よりちょっとだけ大きな肺をもっていたとしても、その恩恵にあずかったことはあまりないような気がする。
 そんな私とは反対に、キリンは身体の大きさのわりに肺が小さな動物だと言われている。お腹の中に巨大な胃が詰まっているため、そのぶん肺が小さくなってしまっているらしい。内臓が収まる胴体内部のスペースは限られているので、どこかが巨大化すれば、どこかが割を食ってしまうのだ。

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 連載第7回の「消化器官」でも説明したとおり、キリンやウシなど反芻(はんすう)類の仲間では、胃が4つに分かれている。キリンの場合、4つの中でもとくに第一胃が非常に大きく、食べた葉っぱを大量に溜め込んでじっくり消化し、体重1トン近くにもなる自身の巨大な身体を維持するのに必要な膨大な〝エネルギー〞を作りだしているのだ。(詳細は第7回をご覧いただきたい)
 呼吸は生命活動に必須なものではあるけれども、消化も同じくらい重要だ。大きな胃と肺が両方収まるような大きな身体をもつという選択肢もあるが、身体が大きくなるということは、身体を維持するのに必要なエネルギーが増えるということでもある。つまり、身体が巨大になると、さらに大きな胃が必要となる。これではイタチごっこになってしまう。
 内臓の大きさは、その器官の機能や重要性だけで決まるのではなく、ほかの器官とのせめぎ合いもカギとなるのだ。

 というわけで今回のテーマは、キリンの身体の中で肩身の狭い思いをしている「呼吸器」である。本連載の第1回で、「肺の起源」を紹介したが、今回はもう一歩踏み込み、動物ごとに異なる呼吸の仕組みを説明していこう。

デッド・スペース

 キリンは、肺が小さいだけでなく、死腔が多い動物としても知られている。
 死腔とはデッド・スペースとも呼ばれ、「空気が通る気道のうち、ガス交換に関係していない部分」のことである。つまり、空気は通っているものの、周囲に隣接した血管がないため、「血液中に酸素を受け渡す」ことも「血液中に溶け込んだ不要な二酸化炭素を受け取る」こともできない部分のことである。
 では、いったいどこの部分なのだろうか? 哺乳類では、口から体内へと入った酸素が豊富な空気は、喉にある気管を通り抜け、肺の内部に張りめぐらされた細い「気管支」へと向かっていく。気管支はどんどん細くなっていくが、一番奥にある〝終着地点〞である先端部分は少し膨らみ、「肺胞」という袋状の構造になっている。肺胞の周囲には、多数の毛細血管が蜘蛛の巣のように張りめぐらされていて、ここで血液とガス交換(酸素の受け渡しと二酸化炭素の受け取り)を行うこととなる。
 こうした空気の通り道のうち、気管から肺胞よりも手前の気管支部分までが、「死腔」にあたる。気管は、気管支に比べると直径がかなり大きいため、死腔の容積の大部分を占めている。首が非常に長いキリンでは、当然のことながら、口から肺にいたるまでの気管も非常に長い。その結果、ガス交換に関与しないデッド・スペースが増えてしまっているのだ。
 過去の研究によると、体重70キロのヒトの場合、死腔の容積は約150ミリリットルだそうだ。一方、体重1トンの大人のキリンでは、死腔の容積は約3リットルにもなると推測されている。身体の大きさがまったく違うので単純な比較はできないが、体重1キロあたりの死腔容積で比較すると、キリンはヒトの約1.4倍だ。同じ首の長い偶蹄類であるラクダと比べても、1.6倍もある。

 死腔が多いことは、生き物にとってあまりうれしいことではない。新鮮な空気を肺の奥まで届けるのに、呼吸に必要な量以上にたくさんの空気を吸い込まなくてはならないからだ。酸素を送り届けたあとの「使い古した空気」を体外に吐き出すのも大変になる。古い空気が死腔に残ったままだと、酸素が十分に送られず、「呼吸をしているのに酸素が足りない」という状況になってしまう。
 第8回で、「キリンは非常に高血圧で、そのおかげで高い場所にある脳に血液が届けられるようになっている」という話をしたが、首が長くなることは、血液循環だけでなく、呼吸においても困難を生むのである。
 とはいえ、キリンの身体もこの状況に対して無策だったわけではない。身体の中を調べていくと、首が長くなる進化の過程で、わずかではあるけれども「死腔増加への対策」がとられていることがわかる。ほかの動物に比べて、気管が細いのだ。
 ウマの気管の直径が6センチなのに対し、ウマよりも身体が大きなキリンでは、気管の直径は4センチと3分の2の大きさだ。断面積に直すと、ウマの場合は約28平方センチメートルで、キリンは約13平方センチメートルと、半分以下になっている。気管が長い分、細くなることで死腔の増加を最小限に抑えられているというわけだ。
 それでも同じくらいの大きさのほかの種に比べると、死腔の容積は1.3〜1.5倍ほどになっていると言われている。首が長くなるというのは、本当に大変な進化だ。

肺に空気を送る方法

 哺乳類の肺は、非常にやわらかく弾力性に富んだ器官で、風船のように大きく膨らんだり縮んだりする。肺が膨らむと、肺の内部の気圧が下がり、周囲の空気が肺の中へと吸い込まれていく。これが呼吸の仕組みだ。ぎゅっと潰したスポイトから手を離すと、スポイトの中に空気や水が流れ込むのと同じだ。
 とはいえ、肺が自ら膨らんだり縮んだりするわけではない。肺の内部には筋肉がないため、肺自体が自分の力を使って伸び縮みすることはできないのだ。哺乳類の場合、肺の周囲を囲む骨である「肋骨」や、肺の下部に膜状に広がる「横隔膜」という筋肉が、肺を広げる役目を担っている。横隔膜は、焼肉店では「ハラミ」として親しまれている部位だ。「膜」という名前に反して、結構肉肉しい、しっかりした筋肉である。
 肋骨が動くと肺は横に引っ張られて広がり、横隔膜が収縮すると肺は下へと引っ張られて広がる。私たちが普段「腹式呼吸」と呼んでいるのは、横隔膜を使って肺を広げる呼吸方法のことである。これに対し、肋骨を使った呼吸を「胸式呼吸」と呼ぶ。深呼吸した際に、肩が上がれば胸式呼吸、上がらなければ腹式呼吸である。

 一方で、「膨らまない肺」をもつ動物もいる。鳥類の仲間だ。
 鳥の肺は、哺乳類の肺のように、それ自体が膨らんだり縮んだりすることはない。そのかわりに、肺の周囲に気囊(きのう)という伸縮性のある袋状の器官がいくつもつながっている。この気囊を伸縮させることで、空気の流れを生み、肺へと空気を送り込んでいるのだ。
 哺乳類の場合、酸素を取り込む肺自体が伸縮するポンプでもあるので、肺が縮んで呼気を吐き出しているときには、肺は酸素を取り込むことはできない。肺の中は行き止まりになっていて、「吸い込んだ空気がやってくる道」と「吐き出す呼気が出ていく道」は同じになってしまい、一方が進むときはもう一方が〝道を譲る〞必要がある。つまり、哺乳類の肺の仕組みでは、「肺に空気を送り込む」と「肺から空気を吐き出す」を同時にすることが不可能なのだ。
 ところが、鳥の場合はやや事情が異なる。肺には入り口と出口が別々にあり、空気が入ってくる道と、呼気が出ていく道が分かれているのだ。そして気囊は、この出入り口の部分につながっている。お腹の奥側にある“肺の入り口”につながっているのが「後気囊」、お腹の手前側にある“肺の出口”につながっているのが「前気囊」である。そして、この肺と前後の気囊からなる呼吸システムは、「息を吸ったときも吐いたときも、常に肺に新鮮な空気を送り続けること」を可能にしたのだ。
 鳥の呼吸における空気の流れ方はこうだ。息を吸い込むと、口から入ってきた空気は、肺に向かうとともに、肺の入り口近くにある「後気囊」にも入っていく。気囊は伸縮性がある袋状の構造なので、後気囊は風船のように膨らみ、中に新鮮な空気を溜め込むこととなる。
 吸い込んだ空気のうち、肺に入ったものは、酸素を受け渡しながら肺を通り抜け、出口側にある前気囊へと進む。肺の前後に出入り口があっても、空気を体内に吸い込む「口」(くちばしのある、いわゆる口)は1つしかないため、息を吸い込んでいる最中に呼気を吐き出すことはできない。そこで、吐き出すタイミングがくるまで、呼気は前気囊に一時保管されることとなる。
 その後、息を吐くときになると、前気囊に溜まった呼気は気管を通って口から体外へと出される。じつはこのとき、吐いているにもかかわらず、肺へは新鮮な空気が送られている。息を吸ったときにパンパンに空気を溜め込んだ後気囊から、肺に空気が流れ込んでいくのだ。これが、気囊を使った「常に肺に酸素を送り届ける仕組み」である。

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 気囊を使った呼吸システムは、新鮮な空気と使い古された呼気が混ざりにくく、哺乳類に比べるとはるかに効率が良い。前気囊・後気囊はそれぞれ複数あり、体内に多数の「空気の袋」が存在するおかげで、鳥の身体は大きさのわりには軽くなっている。
「気囊を使った呼吸」は、息切れせずに長時間飛び続けたり、酸素の少ない高所を飛び回ったりするうえで役にたち、身体の軽量化にも貢献している。飛ぶのに適した仕組みなのだ。

エラ呼吸

 ここまでは空気中で肺呼吸を行う哺乳類と鳥類の話をしてきたが、次は、肺呼吸とは一味違うエラ呼吸についてご紹介したい。
 多くの方がご存じのとおり、魚は、エラという器官を使い、水中に溶け込んだ酸素を体内に取り入れ、血中に溶け込んだ二酸化炭素を体外へと放出する。エラの表面には無数の毛細血管が張りめぐらされていて、エラの隙間を水が通り抜ける際、水中の酸素が血管内に、血液中の二酸化炭素が水中へと出ていくわけだ。ガス交換の仕組みは、肺呼吸とさほど変わらない。
 呼吸器官として知られているエラだが、もともとは採食時に使われる部位だったと言われている。原始的な脊椎動物の仲間は、口から吸い込んだ水をエラから吐き出し、エラの隙間にひっかかったプランクトンを食べていたと考えられているのだ。酸素はおもに皮膚呼吸で得ていたらしい。
 ところが、進化の過程で、エラには毛細血管が発達し、次第に酸素を取り入れる呼吸器官へと変化していった。食事をとる際、常に新鮮な水が身体の中を通り抜けていくため、その水流を利用してガス交換を行うようになっていったのだ。「今あるものを、別の何かに流用する」は、進化の十八番と言ってもいい。単なる「プランクトンを捕まえる網」だったものが、酸素を取り入れる器官としてバージョンアップされたのだ。
 その後、多くの魚類は、「大きな口」と「硬いものでもかみ砕ける強い顎」をもつように進化し、採食器官は口がメインとなっていった。一方で、もともとは採食器官だったエラは、呼吸専門の器官へと変わっていくこととなった。ただし今でも、プランクトンを食べて生活している一部の魚類は、呼吸と採食の両方にエラを利用している。

 さて、先ほど、エラと肺のガス交換の仕組みは似たようなものだと述べた。たしかに仕組みはよく似ているのだけれども、呼吸器が置かれた状況は、空気中と水中で大きく異なっている。空気中と水中では、酸素の量に天と地ほどの差があるのだ。たとえば、1リットルの空気の中に含まれる酸素は200ミリリットル程度だと言われている。これに対し、同じ量の水の中に含まれる酸素は、10ミリリットル以下ときわめて少ない。水温が高くなると、水中に溶け込んでいる酸素の量はさらに減る。
 酸素の量だけを見れば、肺呼吸の動物たちは、エラ呼吸の動物に比べてかなり恵まれた環境にいると言える。それが原因かは定かではないが、肺呼吸の動物は、意外に〝酸素の取りこぼし〞が多い。吸い込んだ空気の中に含まれているすべての酸素が、体内に吸収されるわけではないということだ。
 たとえばヒトの場合、吐き出した呼気の約15パーセントは酸素だという。吸い込んだばかりの新鮮な空気に含まれる酸素が20パーセントほどなので、吸い込んだ酸素の大半は吐き出してしまっていることになる。周囲に酸素が豊富にあるため、無駄なく回収しなくても、生きていくうえで特段問題はないということなのだろう。
 ところが魚の場合は違う。もともと周囲にある酸素が少ないので、前述した肺呼吸のような無駄が許される状況ではない。そこでエラには、きわめて効率的に酸素を回収する仕組みが存在しているのだ。その仕組みを、対向流システムと呼ぶ。

対向流システム

 対向流システムとは、文字通り、2つの流れを対向(=逆向)させている仕組みのことである。2つの流れとは、酸素を受け渡す側の「水の流れ」と、酸素を受け取る側の「血液の流れ」だ。エラの隙間を通り抜ける「水の流れ」と、エラの表面にある毛細血管の中を通る「血液の流れ」は、必ず逆向きに流れるようになっているのだ。では、この「逆向きに流れる」ことと、効率的な酸素の回収には、いったい、どんな関係があるのだろうか?
 水中に溶け込んだ物質は、濃度が高いほうから低いほうへと移動する性質がある。水中に溶け込んでいる酸素の量がどれだけ少なくても、血液中の酸素の量のほうが少なければ、水中から血液中に酸素は移動していく。ただし、水は酸素を受け渡し、血液は酸素を受け取るので、エラの隙間を流れる水は徐々に酸素を失い、毛細血管の中を流れる血液には酸素が増えていくこととなる。もしも水と血液の酸素量が同じになったら、酸素の移動は起こらなくなってしまう。
 さて、ここに「酸素量0の血液が流れるホース」と「酸素量100の水が流れるホース」が並んでいるとしよう。このホースは特殊で、酸素だけがホースの表面を通り抜け、隣のホースに入り込めるようになっている。2本のホースは始めから終わりまでぴったりくっついている状態だ。
 もしもこの2本に水と血液を同じ向きで流したら、酸素はどのように移動していくだろうか? ホースの始点(上流部)では酸素0の血液と酸素100の水が並走しているので、酸素は水側から血液側へとどんどん移動していくこととなる。
 すると、酸素を受け取った血液側のホースでは酸素量が増え、一方で水側のホースでは酸素が減っていく。仮に、移動した酸素の量が30であるとすると、血液ホースの酸素量は30、水ホースの酸素量は70ということになる。この状況ならば、まだ血液側のほうが酸素が少ないので、水側から血液側へと酸素は移動していく。
 ところが、同じように酸素の受け渡しが進んでいくと、血液側と水側の酸素の量はどんどん近づいてくる。上の例に出した状態からさらに酸素が20移動したとすると、血液側の酸素は50、水側の酸素も50で同量になり、酸素は移動しなくなってしまうのだ。水側に含まれた半分の酸素は、血液側に移動しないまま、水側に残ってしまうこととなる。
 では、「水のホース」の流れる向きを、「血液のホース」の向きとは逆にしたらどうなるだろうか。先ほどと同じく、水は血液側へと酸素を受け渡しながら流れていくため、流れの終わりのほうに行くほど、水側のホースに含まれる酸素量は少なくなっていく。ところが、水と血液の流れる向きを逆にしておくと、「水ホースの終わりのほう(酸素少)」の隣にあるのは、「血液ホースの始めのほう(酸素0)」ということになる。どれだけ酸素が少なくても、血液側より水側のほうが多ければ、酸素は血液のほうへ移動していく。たとえ、道中で70の酸素を受け渡し、残りが30になってしまっても、並走する血液側の酸素が10であったら、酸素は水側から血液のほうへと移動するのである。

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 実験的に水と血液が同じ向きで流れるようにすると、水中に溶け込んだ酸素を十分に回収しきれなくなり、ガス交換の効率は5分の1にまで下がるそうだ。

 連載第1回でも書いたが、新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、昨年春からずっと「息苦しさ」を感じてきた気がする。ワクチンの接種が進んだ影響か、一時期に比べると感染者数は劇的に減り、全国で緊急事態宣言も解除された。まだ気を緩めるには早すぎるだろうが、少しずつ日常が戻ってくるのかもしれない。ようやく、そんな風に思えるようになってきた。
 ヒトを含む哺乳類の呼吸の仕組みは、鳥類の気囊を使った呼吸方法や、魚のエラにある対向流システムに比べて、明らかに無駄の多い単純な仕組みだ。進化はいつだって「洗練化」「強化」する方向へ進むわけではなく、ときには「単純で非効率・大雑把」なほうへ進むこともある。進化において最も重要なのは、「自分自身が生活している環境のなかで、なんとかうまくやっていけるかどうか」だけだからだ。酸素が豊富な場所で生きてきた哺乳類では、無駄が多い単純な仕組みでも、何の問題もないのだ。
 困難な環境で生き延びてきた生物の身体には、目をみはるようなさまざまな工夫が存在する。過酷な環境だからこそ生じた〝進化のかたち〞はいくつもある。

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 満たされない〝息苦しさ〞を感じ続けた1年半は、私たちに何をもたらしただろうか。失ったかつての日常にばかり目を向けてしまいがちだけれども、困難な状況下だからこそ生まれた工夫や変化も数多くあったはずだ。
 苦しい中で小さな工夫を積み重ねることが、いつか「あのときの辛い状況がわずかな変化を生み、そして今、こんなに快適に過ごせるようになった」と思える日につながると信じて、変化を恐れずに生きていきたいと思っている。

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プロフィール
郡司芽久(ぐんじ・めぐ)

東洋大学生命科学部生命科学科助教。2017年3月、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程を修了し、博士号(農学)を取得。同年4月より日本学術振興会特別研究員PDとして国立科学博物館勤務後、筑波大学システム情報系研究員を経て2021年4月より現職。専門は解剖学・形態学。第7回日本学術振興会育志賞を受賞。著書に『キリン解剖記』(ナツメ社)。
*郡司芽久さんのTwitterはこちら

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