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連続テレビ小説「スカーレット」 戸田恵梨香(ヒロイン・川原喜美子 役)インタビュー Part2

“陶芸家”として生きていく

喜美子が15歳のときから長い時間、真摯に役と向き合い成長を表現し続けてきた戸田恵梨香さん。陶芸家として本格的に歩みだす30代の喜美子への思いや、「スカーレット」という作品に込めた思いを、まっすぐなことばで語る。

「スカーレット」の放送も後半に入り、描かれる内容に変化が出てきました。これまでは、喜美子を演じることが楽しくてしかたがなくて。次はどうなるかな? どんな話かな? と、わくわくしてばかりいたんですけど、八郎さんとのすれ違いが描かれるようになってからは、つらいシーンも増えてきて……ちょっと休憩したいなと感じることも、正直あります。
 八郎さんが銀座で開く個展の作品作りに悩んでいるとき、喜美子が八郎さんに干渉し過ぎる場面もありましたよね。真剣に考えているからこそ、口を出してしまう気持ちも分かるから、「ああ、苦しいな」と思いながら演じていました。だから、その後に絵付け小皿の注文を引き受けたときは、ものづくりに燃える気持ちを久しぶりに思い出した喜美子に対して「ああ、この姿が見たかった!」と感じました。八郎さんを支えたい、でも自分の仕事も頑張りたいと欲が生まれて、どうバランスを取ればいいのか喜美子自身が分かっていなかったけれど、八郎さんが絵付け小皿に向かう喜美子の背中を押してくれました。その代わり、八郎さんの作陶のフォローは三津に任せる、と喜美子が決断できてよかったと思っています。夫婦にとってよかったのかどうかは分からないですけど……。三津を弟子にしたことは、八郎と喜美子がそれぞれ「陶芸家」として、一歩前に進むきっかけになった出来事だと思います。

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 それから喜美子は「自然釉」の陶器を完成させたいという新たな目標を見つけて、穴窯を造ります。喜美子は、夫が八郎さんだからこそ、やりたいことをやりたいと言えたし、甘えられた。家族みんなにも、夢を後押ししてもらえることのありがたさを、感じてはいたんです。けれどそれと同時に、穴窯を失敗で終わらせてなるものかという責任感もムクムクと沸き上がってきて、後に引けなくなっていく。これまではお金を大事にして、家族のために一生懸命だった人が、家族を犠牲にしても穴窯に挑み続けるようになる。喜美子はそんな狂気にも似た熱意を、止められなくなっていくんです。「売れるものを作らなきゃ」という信条さえも、「自分の作りたいものを作る」に変わってしまうほど、喜美子は穴窯に没頭します。自分の積み重ねてきたことを、一度すべて壊してしまうくらいの気持ちで、突き進んでいく。その姿に、〝天才〟と言われる人の片鱗が見えた気がしたし、何か突出した才能がある人は、何かを捨てなくちゃいけないんだなということも感じました。「自然釉」の陶器を完成させたい、その気持ちが、ほかの何事にも勝っているんです。絶対成功させてみせる、成功するまではやめたらいけない──。私みたいな凡人には分からない世界です。そこまで情熱を注ぐことのできる「陶芸」に出会えた喜美子が、うらやましくもあり……怖くもあり……。今は、何とも言えない気持ちで演じています。

(『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 スカーレット Part2』につづく)

取材・文=安田 光

※記事「連続テレビ小説「スカーレット」 戸田恵梨香(ヒロイン・川原喜美子 役)インタビュー Part1」はこちら

プロフィール

戸田恵梨香(とだえりか)
1988年生まれ、兵庫県出身。主な出演作に、映画「デスノート」シリーズ、「駆込み女と駆出し男」「あの日のオルガン」「最初の晩餐」、ドラマ「コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」シリーズ、「SPEC」シリーズ、「崖っぷちホテル!」「大恋愛~僕を忘れる君と」など。NHKでは、連続テレビ小説「オードリー」、「書店員ミチルの身の上話」などに出演。
※「スカーレット」ドラマ・ガイド編集部Twitterはこちら

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