マガジンのカバー画像

小説・エッセイ

167
人気・実力を兼ね備えた執筆陣によるバラエティー豊かな作品や、著者インタビュー、近刊情報などを掲載。
運営しているクリエイター

#幼馴染

友を思うがため、真実を導きだすため、情けを捨てて向き合う――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。貢の妻であり、蓮田刑事にとっても幼馴染の沙羅から聞かされた夫と父への思い。蓮田は任意同行した貢と一騎打ちの取り調べに臨む――。 ※当記事は連載第18回です。第1回から読む方はこちらです。 2  石動に直訴した通り、貢への聴取は蓮田主動で行われた。普段は尋問役の笘篠が、今回は記録係に回っている。  対峙

スキ
7

あの日を境に失った、関係性と心を取り戻すため――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。事件解決の糸口となる「方法とチャンス」が揃った。笘篠刑事と蓮田刑事は、残るピース「物的証拠(凶器)」と「動機」を見つけ出すため、次なる一手に踏み込む――。 ※当記事は連載第17回です。第1回から読む方はこちらです。 五 援護と庇護1  掛川勇児は後頭部を鈍器で一撃されていた。よほど重量のあるもので殴打

スキ
15

そろっていく事件をつなぐピース。残された最大の謎の存在――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。〈シェイクハンド・キズナ〉と仮設住宅での殺人事件がつながる背景を探るべく、笘篠刑事と蓮田刑事が向かった先は裏稼業として“情報屋”を営む五代良則のもと。そこでふたりは“迷惑系”NPOの裏の役割とともに、祝井建設とのつながりを知る―― ※当記事は連載第16回です。第1回から読む方はこちらです。 4  翌日

スキ
21

法をかいくぐって静かに活動する“迷惑系”NPOの姿――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。〈シェイクハンド・キズナ〉の職員・板台が起こした仮設住宅での暴挙。“迷惑系”NPOとして知られるその実態が明らかになるも、笘篠刑事と蓮田刑事は殺人事件とのつながりを示す糸口をつかみきれずにいた―― ※当記事は連載第15回です。第1回から読む方はこちらです。 3  逮捕した板台には前科があった。  板台

スキ
20

仮設住宅に暮らす被災者にのしかかる、制度のセイフティネットからこぼれ落ちてしまうもの――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。森見善之助議員の支援者への聞き込みで見えてきた被災地の復興の実態。そこへ蓮田の旧友・知歌からの緊急連絡。そこへ急行した蓮田と笘篠は―― ※当記事は連載第14回です。第1回から読む方はこちらです。 2  覆面パトカーを飛ばして十五分ほどで吉野沢に到着した。  トラブルの場所は一目瞭然だった。皆本老人の家

スキ
25

たどり着く事実は公共事業の汚職か、それとも街の再建・復興への狼煙か――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。再び貢への聞き込みのため対峙した蓮田は、その際に森見家の車からタイヤ痕を採取。鑑識の結果は、「事件現場に残されたものと一致」という報告だった―― ※当記事は連載第13回です。第1回から読む方はこちらです。 四 獲得と喪失1  笘篠と蓮田の持ち帰った粘着シートは捜査本部を活気づかせるのに充分な役割を果た

スキ
29

友として、刑事として、眼前の事象の先に見えたもの――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。県議会議員への聞き込みで、森見議員と祝井建設の黒い噂を引き出した笘篠と蓮田は、森見議員やその秘書である貢に殺人事件への関与の可能性をさらに深めた―― ※当記事は連載第12回です。第1回から読む方はこちらです。 4  翌朝の午前七時過ぎ、蓮田は単身森見宅を再訪した。この時間であれば貢が在宅していると踏ん

スキ
33

崩された密室トリック。いまだ残る謎は容疑者のアリバイと動機――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。完全犯罪と思われた密室トリックの謎は関係者ならば知り得る手口で“抜け穴”があったことがわかる。容疑者候補が絞られるも、決め手に欠く笘篠と蓮田だった―― ※当記事は連載第11回です。第1回から読む方はこちらです。 3  翌々日の捜査会議で笘篠が〈ヤマトハウス〉の高橋からレクチャーされた内容を発表すると、

スキ
19

完全犯罪と思われた密室殺人の謎の真相が伝えるひとつの事実――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。後悔を抱えたまま十数年にわたって絶縁状態だった旧友との再会は、蓮田にとってさらに苦いものとなった。その一方、覚悟を新たにして、笘篠のもとへ向かった―― ※当記事は連載第10回です。第1回から読む方はこちらです。 2  非番明けで登庁した蓮田は刑事部屋で笘篠を見つけると、すぐに駆け寄った。 「話がありま

スキ
25

過去の後悔との対峙。友との再会がもたらす感情にざわめくものは――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。震災復興のための公共工事がらみの汚職の可能性を探る、笘篠と蓮田。蓮田の旧友である貢の義父・森見善之助議員に疑いの目が向けられるなか、聞き込みのため、蓮田は自ら旧友のもとへと足を向ける―― ※当記事は連載第9回です。第1回から読む方はこちらです。 三 公務と私情1  非番の日に個人的な理由で捜査する日が

スキ
41

組織への忠誠心か? 友を信じる心か? 感傷が職業倫理に浸食して――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。蓮田の旧友である知歌は、迷惑系NPO法人として知られる〈シェイクハンド・キズナ〉の職員に遭遇し、彼らの活動にさらなる疑念を抱く。その頃、笘篠と蓮田は難航する捜査の突破口を探して、次の手に打って出る―― ※当記事は連載第8回です。第1回から読む方はこちらです。 4  元より捜査会議は緊張するものだが、そ

スキ
27

新しいものが生まれる陰に存在する破壊と消滅――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。期せずした旧友との再会によってかつての友人たちとの苦い思い出を嚙み締める蓮田。一方、南三陸町でいまもNPO活動を続ける旧友・知歌は招かれざる者と対峙する―― ※当記事は連載第7回です。第1回から読む方はこちらです。 3 『困ってるんだよ、大原さん』  皆本老人から電話が入ったのは今から三十分前のことだ

スキ
18

唯一無二の友たちと過ごした青春時代と故郷。馳せる思いと、その仲を裂いた古傷の疼き――中山七里「彷徨う者たち」

2  二〇〇三年、将悟たちは高校三年生になっていた。それぞれの進路で志望校も異なり、物心つく頃から常に一緒だった四人にも別離の時が訪れようとしていた。  あと数カ月もすれば離れ離れになるのが分かっていても、四人の日常に大きな変化はない。入試に備えて各々動いていても、一緒にいる時にはおくびにも出さないのが暗黙の了解だった。  現実を直視するのが怖いのだろう、と将悟は考えていた。小学生でもあるまいしとは思うが、今まで兄妹同然で育ち毎日のように顔を合わせている日常がなくなってしま

スキ
34

物的証拠がなく見えない先行き。被害者の生前の姿と人柄に手がかりは――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。14年の歳月が、幼馴染たちの境遇も互いの関係性を変えた。自身の苦い思い出を胸に蓮田は―― ※当記事は連載第5回です。第1回から読む方はこちらです。 二  再建と利権1  二回目の捜査会議は東雲の仏頂面で始まった。  前回に告げられた捜査方針は鑑取りの継続で掛川と接点のある者を洗い出すことと、犯人の逃走

スキ
34