小説・エッセイ

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日比谷の書店員のリアルな日常、街の情景、本の話――〔蛙と進化〕 新井見枝香

日比谷の書店員のリアルな日常、街の情景、本の話――〔蛙と進化〕 新井見枝香

※当記事はエッセイ連載「日比谷で本を売っている。」の第19回です。第1回から読む方はこちらです。  手帳に旅行の予定を書き込んだが、なんだか妙である。 「取鳥旅行」  それくらい、馴染みのない土地だった。  新幹線を姫路で降りて、特急で鳥取県内の某駅に着くと、知人が車で迎えに来ていた。梅雨時で空が重く、今にも降り出しそうだ。駅前を離れ川沿いを進むと、雲を被った山の合間に田んぼが広がり、ぽつぽつと数軒の家が並ぶ。知人の家の前で車を降りると、足下で何かが跳ねた。「モグラ叩き」が

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寄稿「かわいい絵本は訳せません」 金原瑞人(翻訳家)

寄稿「かわいい絵本は訳せません」 金原瑞人(翻訳家)

キャッチーなテディベアの装丁が、海外の児童書ブックフェアで話題になったイギリスの絵本“LOVED TO BITS(『ぼくのしましまテッド』)”が、3月19日(木)に発売されました。刊行にあたり、訳者の金原瑞人さんがメッセージを寄せてくださいました。  ぼくは絵本を訳すのが下手だ……という、この一文を読んだだけで、下手だろうなとわかってもらえると思う。ぼくの得意分野はヤングアダルト、つまり若者むけの本と一般文芸なので、「です・ます体」で訳すような本は苦手なのだ。  そのくせ、

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