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小説・エッセイ

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人気・実力を兼ね備えた執筆陣によるバラエティー豊かな作品や、著者インタビュー、近刊情報などを掲載。
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2022年7月の記事一覧

わたしの後半生を変えた天安門事件――「マイナーノートで」#16〔6.4の記憶〕上野千鶴子

各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。 ※#01から読む方はこちらです。 6.4の記憶  1989年6月4日。中国、天安門事件の日。英語圏ではTiananmen Square massacreと呼ばれている。この日、自由と民主主義を求めて北京の天安門広場に集まった若者たちを、人民解放軍が虐殺した。死者や負傷者の数はつかめず、行方不明

久々のホームパーティーで披露したものとは?――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は、久々に参加したホームパーティーで披露した、ある出し物についてのお話です。 ※当記事は連載の第16回です。最初から読む方はこちらです。 # 16 高座に穴をあけるな 東京の新型コロナ感染者数は1万人を超えた。これまでの自粛生活と工夫が全部無駄に思えて泣きそうになりながら、再び穴ぐら生活に戻っている。前回、体調が回復したかも、と喜んでいたが、のっけから残念な

映画、ドラマ、舞台などで異彩の存在感を放つ、いま最注目の俳優・岸井ゆきのの、ありのままの心の内と素顔

 『#家族募集します』『恋せぬふたり』『愛がなんだ』『神は見返りを求める』をはじめ、数々のドラマ、映画、舞台などで縦横無尽に活躍し、主演作・話題作への出演が続き注目が集まる俳優・岸井ゆきのさん。岸井さんがこれまで明かすことのなかった30歳の女性としてのあるがままの気持ちを「いましか手元にとどめておけないもの」として残した、初めてのフォトエッセイ『余白』が本日発売です。  53篇におよぶエッセイでは、デビューのきっかけや、作品に臨む姿勢、現場での舞台裏といった仕事にまつわるエピ

明日への扉を開く~執筆の陰で――熊谷達也インタビュー

 河北新報などで好評だった連載をもとに書籍化した『明日へのペダル』(6月28日発売)。本作は、直木賞作家であり、自ら愛車を駆りイベント入賞も果たす現在最も自転車に詳しい作家・熊谷達也さんが、ロードバイク愛を込めて描いた感動の物語です。  コロナ禍での新聞連載、そして単行本化にあたって大幅改稿をすることとなった経緯やその舞台裏について、熊谷達也さんに担当編集者がお話を伺いました。 まず、熊谷先生ご自身も相当のロードバイクフリークと伺っています。自転車をはじめたきっかけはなんだ

「ぶっ飛んでる細胞」は自分にも? 「後からジンワリ……ぶっ飛んだ人たち」――お題を通して“壇蜜的こころ”を明かす「蜜月壇話」

タレント、女優、エッセイストなど多彩な活躍を続ける壇蜜さん。ふだんラジオのパーソナリティとしてリスナーからのお便りを紹介している壇蜜さんが、今度はリスナーの立場から、ふられたテーマをもとに自身の経験やいま思っていることなどを語った連載です。 *第1回からお読みになる方はこちらです。 #03 後からジンワリ……ぶっ飛んだ人たち 大胆不敵とか、常軌を逸するとか、ぶっ飛んでるとか……「通常の生活や意識の中では考えつかないような振る舞いや決断など」を選択した経験のある者は私の周囲に