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小説・エッセイ

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人気・実力を兼ね備えた執筆陣によるバラエティー豊かな作品や、著者インタビュー、近刊情報などを掲載。
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2022年5月の記事一覧

幸せな夜だからこそ、世界の有りように思いを馳せる――「熊本かわりばんこ #14〔藤の花のもとで〕」田尻久子

 長年過ごした東京を離れ故郷・熊本に暮らしの場を移した吉本由美さんと、熊本市内で書店&雑貨カフェを営む田尻久子さん。  本と映画、そして猫が大好きなふたりが、熊本暮らしの手ざわりを「かわりばんこ」に綴ります。 ※#01から読む方はこちらです。 藤の花のもとで 冬眠していたヤモリが帰って来た。  ずいぶん暖かくなってきたなと思ったある日、白玉(うちの白猫)が勝手口を見つめていた。もしやと思いその視線の先を確認すると、見覚えのある姿形のヤモリがガラスの向こう側にいる。冬になるま

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卑弥呼は日御子? 騎馬民族の女王? 邪馬台国=九州説を下敷きにした作品とは?――周防柳「小説で読み解く古代史」第2回

「邪馬台国はどこか?」に代表されるように、日本の古代史はいまだ解明されない謎ばかり。そのため、吉川英治や松本清張をはじめ、たくさんの作家がインスピレーションを掻き立てられては物語を書き、あるいは持論を展開してきた。本連載では、日本史を舞台にした作品を多く手掛ける著者が、明治・大正・昭和の文豪から平成・令和の小説家まで、彼らが描いた「歴史的なあの場面」に焦点をあて、諸説を紹介しながら、自身もその事件の背景や人物像を考察していく。作家ならではの洞察力と想像力を駆使して謎に挑むスリ

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古代史ファン必読! 実力派作家・周防柳による新連載「小説で読み解く古代史」第1回

 「邪馬台国はどこか?」に代表されるように、日本の古代史はいまだ解明されない謎ばかり。そのため、吉川英治や松本清張をはじめ、たくさんの作家がインスピレーションを掻き立てられては物語を書き、あるいは持論を展開してきた。本連載では、日本史を舞台にした作品を多く手掛ける著者が、明治・大正・昭和の文豪から平成・令和の小説家まで、彼らが描いた「歴史的なあの場面」に焦点をあて、諸説を紹介しながら、自身もその事件の背景や人物像を考察していく。作家ならではの洞察力と想像力を駆使して謎に挑むス

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こんなにもあっけらかんと、女たちが口にし始めた――「マイナーノートで」#14〔月経事情、今昔〕上野千鶴子

各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。 ※#01から読む方はこちらです。 月経事情、今昔 あなたは初潮が来たことを告げたときの、母親の反応を覚えているだろうか?    パンツやスカートを黒ずんだ血で汚し、自分のカラダに何が起きたかわけがわからないまま、母親に告げる。その前に保健体育の授業で女の子だけが集められて、ひそひそ話をするように

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日記の醍醐味を知る――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は柚木さんの「新たな習慣」についてです。 ※当記事は連載の第14回です。最初から読む方はこちらです。 #14 死の恐怖 あくまでも個人的な体感なのだが、同業の友達と話していると、死に対して成熟した考えを持っている人がかなり多いと感じる。いつかは誰しも訪れる命が尽きる瞬間を冷静に見据えて、物語を書いている。小説と真剣に向き合っていたら、当然、そうなるだろうと思

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たどり着く事実は公共事業の汚職か、それとも街の再建・復興への狼煙か――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。再び貢への聞き込みのため対峙した蓮田は、その際に森見家の車からタイヤ痕を採取。鑑識の結果は、「事件現場に残されたものと一致」という報告だった―― ※当記事は連載第13回です。第1回から読む方はこちらです。 四 獲得と喪失1  笘篠と蓮田の持ち帰った粘着シートは捜査本部を活気づかせるのに充分な役割を果た

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ブロードウェイミュージカルに革新をもたらした伝説のソングライター、スティーヴン・ソンドハイム――連載「アメリカ、その心の生まれるところ~変革の言葉たち」新元良一

 自由・平等・フロンティアを旗印に、世界のリーダーとして君臨してきたアメリカ。様々な社会問題に揺れるこの国の根底には何があるのか? 建国から約230年。そこに培われた真のアメリカ精神を各分野の文化人の言葉の中に探ります。  第8回は、人民が歴史をつくり、自分たちの文化や芸術を生み育てていくというアメリカ独自の精神性に守られ、ミュージカルをエンターテインメント以上の芸術にまで高めた巨匠、スティーヴン・ソンドハイムです。 第8回「この世界は、常に混沌としている。人生で先が見通せ

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「あ、死ぬかも」と思った話――お題を通して“壇蜜的こころ”を明かす 新連載「蜜月壇話」

タレント、女優、エッセイストなど多彩な活躍を続ける壇蜜さん。ふだんラジオのパーソナリティとしてリスナーからのお便りを紹介している壇蜜さんが、今度はリスナーの立場から、ふられたテーマをもとに自身の経験やいま思っていることなどを語った新連載です。第1回は、どんなお題が飛びだすでしょうか。 #01 「あ、死ぬかも」と思った話 ラジオのパーソナリティとして、今までラジオのお便りテーマは出してきましたが、出されたテーマについて答える機会はなかなかなかったような……。お便りが採用されな

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友として、刑事として、眼前の事象の先に見えたもの――中山七里「彷徨う者たち」

本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。県議会議員への聞き込みで、森見議員と祝井建設の黒い噂を引き出した笘篠と蓮田は、森見議員やその秘書である貢に殺人事件への関与の可能性をさらに深めた―― ※当記事は連載第12回です。第1回から読む方はこちらです。 4  翌朝の午前七時過ぎ、蓮田は単身森見宅を再訪した。この時間であれば貢が在宅していると踏ん

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