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小説・エッセイ

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人気・実力を兼ね備えた執筆陣によるバラエティー豊かな作品や、著者インタビュー、近刊情報などを掲載。
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2022年2月の記事一覧

はまちに、ぶり、いくら、うに、白子、きわめつきはあわびの肝――「マイナーノートで」 #11〔寿司食いてえ……〕上野千鶴子

各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。 ※#01から読む方はこちらです。 寿司食いてえ……  コロナ疎開で自主隔離の間には、物欲も外食欲も減った。たまには外でおいしいもんを……と思うこともなくなった。フラ飯もイタ飯も、なくてもすむ。だが、たったひとつ、なくてさびしい思いをしたのが、寿司である。そういえばコロナ禍のあいだ、1年半以上も寿

また集まれる日を思って――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は、柚木家の「手巻き寿司」をめぐるお話です。 ※当記事は連載の第11回です。最初から読む方はこちらです。 #11 手巻き寿司  感染拡大につき、何度目かの自粛生活である。正直言って、この二年間で今が一番精神的にキツい。昨年末、少しだけ自粛を緩めて、友達に会ったり、遠出をしたりしたのが本当に楽しかった分、とても寂しく、ささいなことでセンチメンタルに浸りやすくな