あの日を境に失った、関係性と心を取り戻すため――中山七里「彷徨う者たち」
本格的な社会派ヒューマンミステリー『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」第3弾。震災復興に向けて公営住宅への移転が進む仮設住宅で発生した、殺人事件。事件解決の糸口となる「方法とチャンス」が揃った。笘篠刑事と蓮田刑事は、残るピース「物的証拠(凶器)」と「動機」を見つけ出すため、次なる一手に踏み込む――。
※当記事は連載第17回です。第1回から読む方はこちらです。
五 援護と庇護1
掛川勇児は後頭部を鈍器で一撃されていた。よほど重量のあるもので殴打