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ミステリー小説や食エッセイから、小中学生向けの教養読み物まで、さまざまな興味・関心を刺激する作品を取りそろえています。
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#庭

百坪宇宙から脱して大自然へ――「熊本かわりばんこ」#23〔阿蘇へのドライブ、父のこと〕吉本由美

  長年過ごした東京を離れ故郷・熊本に暮らしの場を移した吉本由美さんと、熊本市内で書店&雑貨カフェを営む田尻久子さん。  本と映画、そして猫が大好きなふたりが、熊本暮らしの手ざわりを「かわりばんこ」に綴ります。 ※#01から読む方はこちらです。 阿蘇へのドライブ、父のこと 道路の除雪や屋根の雪下ろし、度重なる停電や断水の対応など北国の皆さんのご苦労に比すれば“雀の涙”ほどでしかないけれども、ここ熊本も寒い日が続いている。水道管の凍結防止や万が一破裂した場合の処置、窓・床の防

記憶のなかにある、あの日の空、あの日の雲――「熊本かわりばんこ」#17〔空を見上げる〕吉本由美

 長年過ごした東京を離れ故郷・熊本に暮らしの場を移した吉本由美さんと、熊本市内で書店&雑貨カフェを営む田尻久子さん。  本と映画、そして猫が大好きなふたりが、熊本暮らしの手ざわりを「かわりばんこ」に綴ります。 ※#01から読む方はこちらです。 空を見上げる 今はまだ7月の終わりでこれからが夏本番となるのだけれど、私は早くも夏疲れと言おうか、疲弊している。庭の草たちがすでに取りつく島もないほどに繁り、毎朝毎夕、私の心とお財布を締めつけてくるのだ。庭を見ては毎日ため息をついてい

暮らしがある小さな空間から世界を見る――「熊本かわりばんこ」#16〔梅雨時の庭〕田尻久子

 長年過ごした東京を離れ故郷・熊本に暮らしの場を移した吉本由美さんと、熊本市内で書店&雑貨カフェを営む田尻久子さん。  本と映画、そして猫が大好きなふたりが、熊本暮らしの手ざわりを「かわりばんこ」に綴ります。 ※#01から読む方はこちらです。 梅雨時の庭  日が長くなってくると、もうすぐ夏至だなあと思う。空はいつまでも明るく、午後8時近くになってもまだ夜という感じはしない。夏至の前には梅雨がきて、陽の光を雲がさえぎってしまうけれど。  庭の植物は日を追うごとに育ち、特に

都会暮らしでは叶わない自分好みの庭造り――「熊本 かわりばんこ #03〔「庭育て」が始まった〕」吉本由美

 長年過ごした東京を離れ故郷・熊本に暮らしの場を移した吉本由美さんと、熊本市内で書店&雑貨カフェを営む田尻久子さん。  本と映画、そして猫が大好きなふたりが、熊本暮らしの手ざわりを「かわりばんこ」に綴ります。 ※#01から読む方はこちらです。 ひさしぶりに散歩に出ると  2021年5月15日、早くも熊本に梅雨入りが発表された。平年より20日早く、1951年の統計開始以来過去2番目に早いらしい。かんかん照りより雨降りが好きだけれど、まだ5月半ば、早すぎませんかと思う。もう少し