※連載第1回から読む方はこちら 「セクハラ」という言葉が見えなくする真実 愛と性をめぐる問題系の中で、最もありふれたことのひとつなのに、議論が一向に深まらないことがある。いわゆる「セクハラ」の問題である。「セクハラ」と聞くと、良心的な男性の多くが、どれほど身構えるものかを、わた…
※連載第1回から読む方はこちら 性の管理とその犠牲 この連載の第1回で、提示した命題を覚えているだろうか? よりわかりやすく言い換えて、もう一度繰り返す。 「すべての個人は性的マイノリティである」 自分はヘテロセクシュアルだから普通、などと思っていると、人生が非常に生きにくい…
※連載第1回から読む方はこちら わたしのことを話さなければならない。わたし自身の最も深い苦悩について。 わたしの苦悩と、そのいちばんの核に隠された可能性について。 その可能性について語るために、わたしはこのすべてをしている。 耐え難さと生きていくために それは、そうすべき対…
※連載第1回から読む方はこちら 「あなたの秘密を書いてください」 そう言われたら、あなたは何を書くだろうか。 正直になれるだろうか? 目の前の人に。 いや、 正直になれるだろうか? ほかならぬ自分に。 自分のために。 そんな課題を、2019年度、教えていた大学生の創作の課題…
※連載第1回から読む方はこちら すべてが性愛になる 前回、フレディ・マーキュリーとクイーンを描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』のことを書いた。 対比で思い出すのは、フランスの女性作家マルグリット・デュラスの少女期の自伝的小説『愛人 ラマン』だ。 いや、対比というよりは連想。 …
sometimes I wish I’d never been born at all. そう、まったく生まれないほうがよかった。 影も形も。 こんなに孤独なら。 この世界に属せない、疎外感だけなら。 存在するということの、まったき孤独。 孤独だから、誰かを求めるのか。 求めても孤独。 本当の望みなど、知らな…
草食男子という誤認 「草食男子」という言葉がある。 恋愛や性に消極的な男子、という意味に使われることが多いだろうか。元気がない男と同義にされるなど、ネガティブに使われることも多い。 そもそもは「草食動物のように優しく草を食んでいるような男子」というポジティブな意味でつけた、と…
女であるって生きづらいと思ってきた。 生まれて死ぬまでホルモンに、体調から感情まで支配されて生きるようで、身体のリズムや変化は、不可抗力な自然からの介入で自分の思い通りになることは少なくて、セックスはいいものだけれど、セックスにまつわる負担は女に一方的に、圧倒的に、多くて。 …
年来、「自らの男性性への嫌悪」「男であることの罪悪感」を口にする男に出逢ってきた。 わたしはこれを他のどこでもあまり聞かないし読んだことがなかった。 わたし自身、聞いてよくわかったとは言えない。 じっさい、何がそんなにつらいのかと思っていた。 彼らは、変わった人たちではな…
「男/女」と単純に分類しがちな私たちの「性」というものは、本来とても繊細で、多様だ。それは少しずつ認識されつつあるが、いま私たちが性を語る言葉は、あまりに人々を分断し、対立させ、膠着させるものではないだろうか。各々が性を語るその言葉の前提は、確かだろうか。マジョリティだと自認する…