中野京子「異形のものたち――絵画のなかの怪を読む 《善悪と美醜、不思議な悪魔と天使たち(1)》」
画家のイマジネーションの飛翔から生まれ、鑑賞者に長く熱く支持されてきた、名画の中の「異形のものたち」。
大人気「怖い絵」シリーズの作家が、そこに秘められた真実を読む。
※当記事は連載第7回です。第1回から読む方はこちらです。
ギリシャ神話と違ってキリスト教絵画に異形のものは登場しないのではないか、と思えばそんなことはない。旧約・新約聖書、外典や聖人伝をも含む宗教画には、唯一神、神の子イエス、天使、悪魔、聖人、人間が織りなすダイナミックな世界が展開されており、異形や残