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教養・ノンフィクション

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#翻訳書

日本でもニーズ・知名度急上昇中! ナチュラリスティック・ガーデンとは?

すてきな庭だと感じても、どんな植栽なのか、どんな考え方なのか、じつはよくわからない……。 そんなナチュラリスティック・ガーデンの「教科書」『PLANTING: A NEW PERSPECTIVE』の邦訳『ピート・アウドルフの庭づくり』が10月25日に発売になります。 翻訳を務めた永村裕子さんに、本著の内容や魅力をたっぷりお聞きしました。 ※NHKテキスト『趣味の園芸』11月号より一部抜粋・再編集したものです。 ナチュラリスティック・ガーデンを学ぶ、絶好の書──そもそもナチュ

人類共存の実現が、ある芸術家に託された時代があった!――20世紀初頭の世界を熱狂させた知られざる首都構想

科学、通信技術、芸術、スポーツなどあらゆる叡智をひとつの都市に集結させる――20世紀初頭、壮大な〈世界の首都〉構想が立てられた。目的は技術革新を通した世界平和。考案者は彫刻家とその義姉。計画は世界じゅうで熱狂的に支持されるが、構想から30年を経たのち夢と潰えた。だがその裏ではムッソリーニ、ヒトラーら独裁者たちが強い関心を示していた……。 ジャーナリスト、ジャン=バティスト・マレによる歴史ノンフィクション『人類の都――なぜ「理想都市」は歴史の闇に葬られたのか』(田中裕子訳、NH

人間には“太るスイッチ”があった!? 斬新なアプローチで肥満のメカニズムに迫り、その予防と治療を考える一冊『肥満の科学――ヒトはなぜ太るのか』(NHK出版)発売!

 「肥満大国」とも呼ばれるアメリカ合衆国では、成人の1/3以上が肥満〔アメリカの基準ではBMI30以上〕に相当します。さまざまな慢性疾患の増加や高額な医療費にも影響して大きな社会問題になっているこのテーマに、かつてないアプローチで挑んだのが本書の著者、リチャード・J・ジョンソン医師です。著者の研究チームは、ある特性を持つ食べ物を摂取すると、人間の身体が脂肪を蓄えやすく、燃焼しにくくなる生物学的変化を起こすことを突き止め、その変化を「サバイバル・スイッチ」と呼ぶことにしました。

[特別寄稿] 毒殺未遂を経て最後までプーチンを震撼させたナワリヌイの実像とは?

 SNSや調査動画などを駆使し、獄中からも最後までプーチン政権の裏側を追求してきた反体制派指導者ナワリヌイ。「自由なロシア」のための長年の活動からノーベル平和賞の有力候補とされ、2021年には人権擁護や思想の自由、民主主義の発展に貢献した個人・団体に与えられるEU「サハロフ賞」を受賞しました。日本で唯一の関連書『ナワリヌイ プーチンがもっとも恐れる男の真実』(NHK出版より2021年11月刊行)より、ナワリヌイ氏の死をめぐる最新状況を加筆したNHK解説委員・安間英夫氏の解説を

いつ、どうやって切り替えるか――メンタルヘルス研究の世界的権威が語る「柔軟な脳」の作り方

人は1つのことをする状態から、別のことをする状態に頭を切り替えることが難しく、そのつどエネルギーを消費しています。切り替えにかかる負荷は思わぬストレスになり、切り替えがうまくできなければ同じ間違いを繰り返してしまうのです。 一方で、機敏に思考や精神を切り替えることができれば、最高のパフォーマンスを発揮し、より軽やかに楽に生きることができます。では、いかにして「フレキシブルな脳」となるのでしょうか。『SWITCHCRAFT(スイッチクラフト)切り替える力――すばやく変化に気づき

「やり抜く力」から「切り替える力」へ――メンタルヘルス研究の世界的権威による、みずから変化を起こすスキル!

長年の研究により、目標達成や幸福度を劇的に高めるのは「切り替える力」だと判明。脳が不安にとらわれたままでは行動を起こせません。どんな状況でもすばやく柔軟に対応できる人・組織だけが困難を乗りきれるのです。 新刊『SWITCHCRAFT(スイッチクラフト) 切り替える力――すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略』(NHK出版より11月17日発売)では、認知心理学・神経科学の世界的権威であるエレーヌ・フォックスが、フリーズした脳を動かし、しなやかな思考・行動が身につく方

人類は暴力を克服できるか? スタンフォード大学の名物教授による人間行動の根源を探る旅、『善と悪の生物学ーー何がヒトを動かしているのか』(上下)より抜粋公開

スタンフォード大学の名物教授、ロバート・M・サポルスキー博士による『善と悪の生物学――何がヒトを動かしているのか』(上下)が10月26日に発売になりました。ある行動の瞬間から、その一秒前に脳内で起こっていること、数秒から数分前の感覚刺激、数時間から数日前のホルモンの状態……と時間を遡り、行動を決定する要因を探るというユニークかつ壮大な構成の本書は、「ワシントン・ポスト」紙が「2017年の10冊」に選び、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーにもなった話題作。ここでは、その待望の

「視覚でひらめく」人々の驚きの思考法と新たな才能の世界を示す!

『自閉症の脳を読み解く』(NHK出版)など数々のベストセラーで知られるテンプル・グランディンによる『ビジュアル・シンカーの脳~「絵」で考える人々の世界』が、NHK出版より7月25日に発売されます。全米大学教授トップ 10(CEOWORLD 誌)、世界で最も影響力のある100人(タイム誌)にも選出されたグランディンは、自閉スペクトラム症の当事者であり、同啓発活動において世界的に影響力のある学者のひとりです。本書では、自身も視覚思考者(ビジュアル・シンカー)であるグランディンが多

ハーバード教育大学院で活躍の心理学者が「みんな同じ」に潜む危険性を解説

 なぜ日本人男性の育休取得が進まないのか? 思い込みから起きた飛行機墜落事故の真相とは? 移植用腎臓の10%が無駄になる理由とは?  「集合的幻想」とは、事実に見えたことが実際には思い込みだったにもかかわらず、間違った認識のまま大勢が行動すること。この集合的幻想は現在、社会や組織、個人にいたるまで大きな弊害をもたらしています。『なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術』(NHK出版より5月25日発売)では、自身も「幻想」を体験した心理学者トッド・ローズ

「人間にとって説得力のある」文章を生成できるチャットボットは何をもたらすか? 「Chat GPT」を開発した研究機関・オープンAIの目指すものとは

 かんたんな質問を入力するだけで、自然な文章で回答が生成される「Chat GPT」。2022年11月にリサーチプレビューとして一般公開されると、実際に使ってみたユーザがさまざまな反応を見せ、日本でも話題になっています。  質問への回答ばかりでなく、クリエイティブな文章やソースコードの作成といった指示にも応えるChat GPT。開発したAI研究機関・オープンAIとMicrosoft社が継続的なパートナーシップを結んでいるように、ビジネスへの有効利用が期待される一方で、倫理的な問

破壊的イノベーションは民主主義を脅かす? ユートピア的なテクノロジー信仰に、スタンフォード大学が警鐘を鳴らす!

 いまや政治家や経済学者よりも社会に対して大きな影響力を持つ巨大テクノロジー企業(ビッグ・テック)。破壊的イノベーションの震源地ともいえるシリコンバレーに多数の人材を送り出しているスタンフォード大学では、多くの学生が「テクノロジーは貧困を終わらせ、人種差別を解消し、機会均等を実現するなど、あらゆる社会問題を解決する力を持っている」といったユートピア的な考え方を持つようになっていると言います。同大学はこの状況に危機感を抱き、IT技術者に対する倫理教育の刷新に取り組みはじめました

脳は「深遠な展望台」、尿は「太古の海」──世界を旅する現役医師が語る人体の驚異と奇跡

 血液は「体内を流れる川」であり、心臓は流れが滞らないよう指揮をとる。  脳は「自分だけの高い山」であり、人体にとっての奥深い展望台だ――  北極圏、ネパール高地、アメリカ先住民居留地など世界各地で医療活動をおこなってきた著者は、体内の器官を理解するために自然の生態系への深い知識が必要だと気づきます。人間は自然という大きな「体」のひとつの器官であり、内臓どうしは体内の生態系として互いに連携してはたらいているのです。  自然界を通して得た豊かな知識と深い洞察に満ちたユニークな医

ずっと続く満ち足りた生活のために――今だから知っておきたい!「ウェルビーイング」にきく『WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方』

 新型コロナウイルスの影響もあり、思考のパラダイムシフトやワークライフバランスの見直しがより重要視されるなか、大きな注目を浴びているのが「ウェルビーイング」という考え方です。「一時的な幸せ(happiness)」と異なり、「ウェルビーイング(well-being)」では満たされた状態が続きます。心身の健康だけでなく、幸せを感じたり社会的に良い状態を維持していたりするなどすべてが満たされている状態がウェルビーイングといえるでしょう。  脳卒中から回復するまでの体験を綴り、世界中

脳全体(ホール・ブレイン)を活かして思考のクセを変える――『WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方』

あなたの「脳」には〈4つの人格〉がある!?  ベストセラー『奇跡の脳~脳科学者の脳が壊れたとき』(竹内薫訳、新潮社)の著者、ジル・ボルト・テイラー博士の最新刊『WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方』が発売されました。脳卒中を克服した脳科学者が気づいたのは、「脳」と「自分」の関係を見つめなおして、心穏やかな人生を送る方法でした。  本書を訳しながら、次第に心が楽になっていったという、翻訳者の竹内薫さんのあとがきを抜粋してご紹介します(*見出しは編集部)。 ――