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教養・ノンフィクション

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2022年9月の記事一覧

「キリン博士」郡司芽久さん、新刊特別インタビュー――生き物に「ざんねんな進化」はない!

「キリン博士」こと人気解剖学者の郡司芽久さんによる待望の最新作『キリンのひづめ、ヒトの指––―比べてわかる生き物の進化』が9月28日に発売となります。「生き物の成り立ちを知り、複雑な進化の過程を理解するために比較は最も重要」として、手足、首、心臓など8つの器官を通してさまざまな動物の体に刻まれた進化の歴史をひも解く、ユニークな進化の話です。本書は2021年2月から12月にかけてウェブマガジン「本がひらく」で連載された「キリンと人間、どこが違う?」を大幅に加筆修正し、再編集して

【著者インタビュー・後篇】どの会社でも行われる「社員研修」と、大正時代の「教養ブーム」が、もとは同じもの?! 著者インタビューの続きを公開

(前回から続く) ――ビジネス書とオンラインサロンについて、ちょっと細かいかもしれませんが質問させてください。ビジネス書には、時間の管理や、効率性の追求、メンタルを強くするための方法など、働く人のヒントになるものがたくさんあります。でもこれは令和や平成の働き方で重視されるものであって、昭和、ましてや明治や大正の時代にそういうものはなかったのではありませんか? モーレツとか、根性とか、飲ミニケーションとか、そういう文化は、修養と関係あるのでしょうか。  関係しています。効率の

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で仏教美術考証を務める塩澤寛樹さんの連載『運慶の風景』! 第2回は美術史における運慶の位置を考えます。

 第1回で紹介した願成就院の阿弥陀如来坐像をはじめとする5軀を含め、運慶が残した数多くの仏像を私たちはいま鎌倉彫刻と呼び、そして鎌倉彫刻は日本の彫刻史上の集大成の時代といわれますが、そもそもそうした評価はどのように形成されてきたのでしょうか。運慶仏の制作の経緯やすぐれた持ち味の吟味から一旦離れ、第2回では日本の美術史・彫刻史の中で運慶の時代の仏像がどのように位置づけられてきたのかについて振り返っていきます。話題の時世は、運慶仏がつくられた中世からおよそ700年後の近代・明治時