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教養・ノンフィクション

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2021年1月の記事一覧

シン・アナキズム――連載「アナキスト思想家列伝」by ディオゲネ子(重田園江)

 デイヴィッド・グレーバーの著作をはじめ、いまあらためて注目されているアナキズム思想について、その繊細さと多様性を保持しながら魅力を伝えていく「列伝」形式の連載。今回は1人目「ジェイン・ジェイコブズ」の1回目です。※前回を読む方はこちらです。 ジェイン・ジェイコブズ1 俯瞰するモンテスキュー、徒歩で行くルソー 「アナキスト思想家列伝はじめます」宣言をしておきながら、ちっともはじまらないじゃないかと思っていたあなた、お待たせして大変すみません。大学教員は秋が忙しく(おそらくと

評伝 『ECDEAD あるラッパーの生と死』 「ECD/石田義則の命日にあたって」 磯部 涼

 2020年1月24日にスタートした、ECDさんの生涯を評伝として描く連載。おかげさまで多くの方から反響がありました。現在、第2回公開に向けて執筆を進めている磯部涼さんから、メッセージが届きました。磯部さんはECDの不在に何を思うのか。連載の再開を楽しみにお待ちください!  2021年1月24日は、ECDこと石田義則が亡くなってから3年目の命日にあたる。  石田さんにまず謝らなければいけないのは、昨年の今日、『ECDEAD』と題した評伝のプロローグを発表したのにもかかわらず

働き盛りの世代の、老後に対する「うっすら不安」の正体!――中島美鈴『あの人はなぜ定年後も会社に来るのか』

「今は仕事があるけれど、定年後の人生を考えるとなんとなく不安」「いざ定年になってみたら、何もやることがない」――多くの人が抱く、そんな心理はなぜ生まれるのか。それは私たちが社会の中で集団的に形成している、“特有の認知=考え方のクセ”に出発点がある!?  話題の認知行動療法の専門家が、心理学の視点から老後不安と孤独の正体を明らかにしながら、今から簡単にできる「豊かに生きる考え方のコツ」を示したNHK出版新書『あの人はなぜ定年後も会社に来るのか』。当記事では、本書より「はじめに」

「NHK出版新書を探せ!」第13回 新自由主義、功利主義をどう乗り越えるか?――梶谷懐さん(経済学者)の場合〔後編〕

 突然ですが、新書と言えばどのレーベルが真っ先に思い浮かびますか? 老舗の新書レーベルにはまだ敵わなくても、もっとうちの新書を知ってほしい! というわけで、この連載では今を時めく気鋭の研究者の研究室に伺って、その本棚にある(かもしれない)当社新書の感想とともに、先生たちの研究テーマや現在考えていることなどをじっくりと伺います。コーディネーターは当社新書『試験に出る哲学』の著者・斎藤哲也さんです。  ※第1回から読む方はこちらです。 <今回はこの人!> 梶谷 懐(かじたに・か

「NHK出版新書を探せ!」第12回 中国のイメージが立場で分かれるのはなぜか?――梶谷懐さん(経済学者)の場合〔前編〕

 突然ですが、新書と言えばどのレーベルが真っ先に思い浮かびますか? 老舗の新書レーベルにはまだ敵わなくても、もっとうちの新書を知ってほしい! というわけで、この連載では今を時めく気鋭の研究者の研究室に伺って、その本棚にある(かもしれない)当社新書の感想とともに、先生たちの研究テーマや現在考えていることなどをじっくりと伺います。コーディネーターは当社新書『試験に出る哲学』の著者・斎藤哲也さんです。  ※第1回から読む方はこちらです。 <今回はこの人!> 梶谷 懐(かじたに・か

国内外の酒場をハシゴして40年、包丁を握って35年の小説家が理想の居酒屋を開店!?――島田雅彦『空想居酒屋』より

「本がひらく」で大好評だった、作家・島田雅彦さんの痛快エッセイ連載「空想居酒屋」が2021年1月12日にNHK出版新書として発売されます。 「そこに酒があり、ドリンカーがいれば、即酒場」をモットーとする島田さんの神髄がつまった本書は、書籍化にあたり書き下ろしコラムや島田さんの手料理のレシピなどオリジナルコンテンツももりだくさん。当記事では、刊行に先駆けて本書より「はじめに」をお届けします。  そこに酒があり、ドリンカーがいれば、即酒場。  自身の中に様々な交代人格を育てる作