教養・ノンフィクション

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「愛と性と存在のはなし」第8回 〔男か女に生まれることの避けられない痛み〕 赤坂真理

「愛と性と存在のはなし」第8回 〔男か女に生まれることの避けられない痛み〕 赤坂真理

※連載第1回から読む方はこちら  わたしのことを話さなければならない。わたし自身の最も深い苦悩について。  わたしの苦悩と、そのいちばんの核に隠された可能性について。  その可能性について語るために、わたしはこのすべてをしている。 耐え難さと生きていくために  それは、そうすべき対話の時間だった。相手が、誠心誠意そうしてくれるのを聞いていた。驚くべき告白を、聞いていた。息をするのも忘れて。わずかな息で、わたしは空気を吸うというよりは、言葉のエッセンスを吸う。それはわたし

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中野京子「異形のものたち――絵画のなかの怪を読む 《人間以外のものとの合体(2)》」

中野京子「異形のものたち――絵画のなかの怪を読む 《人間以外のものとの合体(2)》」

 画家のイマジネーションの飛翔から生まれ、鑑賞者に長く熱く支持されてきた、名画の中の「異形のものたち」。  大人気「怖い絵」シリーズの作家が、そこに秘められた真実を読む。  ※当記事は連載第2回です。第1回から読む方はこちらです。 半人半馬、人面豚  太古の昔、人間は野生馬を狩っていた。食料として、また皮を得るために。やがて家畜化し、ある時、誰かが――歴史を変えた冒険家と言えよう――乗りこなせることに気づく。この画期的発見により、馬は生きたオートバイとなる。重装備で遠くま

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「健康のためと思うと続かないんです」――運動嫌いの人たちが語る驚きの言い訳の数々。プロのフィジカルトレーナーが本気で彼らと対話してみた

「健康のためと思うと続かないんです」――運動嫌いの人たちが語る驚きの言い訳の数々。プロのフィジカルトレーナーが本気で彼らと対話してみた

 青山学院大学駅伝チームのフィジカルトレーナーを務め、数々のトップアスリートの指導をしてきた中野ジェームズ修一さんが、さまざまな“運動をしない言い訳”を口にする運動嫌いの人たちと対話したら、運動嫌いが直るのか? 当記事は、そんな素朴な疑問をもとに企画がスタートした書籍『中野ジェームズ修一×運動嫌い 〜わかっちゃいるけど、できません、続きません。』より、中野さんと客室乗務員の方々との本気の対話を全2回にわたってお送りする、その後編です。  ※前編はこちらから 《客室乗務員編》

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運動嫌いな人たちが語る数々の「運動をしない言いわけ」にプロのフィジカルトレーナーが本気で対話したら、はたして心に響くのか?

運動嫌いな人たちが語る数々の「運動をしない言いわけ」にプロのフィジカルトレーナーが本気で対話したら、はたして心に響くのか?

「疲れの原因は、“動きすぎ”ではなく“動かなすぎ”」 「筋肉貯金のない40代、60歳で要介護の可能性あり」 「効率的な運動なら週1回でも効果あり」  健康診断で運動を勧められたので通勤のときに一駅手前で降りて歩いている、という経験がある方も多いのではないでしょうか? でもそれでは、運動の負荷が低くて健康増進の効果がないどころか、「私は運動をしている」と安心してしまうことにつながっています。  青山学院大学駅伝チームのフィジカルトレーナーを務め、数々のトップアスリートの指導

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「ソウルマンの死~追悼・志村けん」 輪島裕介

「ソウルマンの死~追悼・志村けん」 輪島裕介

 志村が死んだ。という言い方は、常識的には不謹慎で敬意を欠くものだろう。しかし、毎週「志村、うしろ、うしろ」と真顔で叫んでいた1974年生まれ(そう、彼がドリフに加入した年だ)の私にとって、「コメディアン・志村けんさんが亡くなりました」といった「正しい」言い方はどうしても馴染めない。舞台や画面上の演者と、客席やお茶の間の観衆を明確に区別したうえで、観衆を興奮の渦に巻き込んでゆく芸能者に対して、あたかも個人的な知り合いのように馴れ馴れしく敬称をつけて呼ぶことはむしろ失礼であるよ

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自由意志のパラドックスを解く
カントから考えた「SNS社会のワナ」――『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ 自由と闘争のパラドックスを越えて』(2)

自由意志のパラドックスを解く カントから考えた「SNS社会のワナ」――『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ 自由と闘争のパラドックスを越えて』(2)

 NHK番組「欲望の時代の哲学」出演が大反響を呼び、ブームを巻き起こしたドイツ人哲学者・マルクス・ガブリエル。「自由」の理念の実験場とも言うべきアメリカの中心地・ニューヨークで、世界が注目している哲学者は何を思い、何を語ったのか。そして、なぜ彼は時代と闘うのか。  当記事は、本日発売されたNHK出版新書『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ 自由と闘争のパラドックスを越えて』の一部を、全2回にわたって先出しで掲載するものの第2回です。  ※前回の記事はこちらから読めま

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「欲望の奴隷」からの脱出――『マルクス・ガブリエル
欲望の時代を哲学するⅡ
自由と闘争のパラドックスを越えて』(1)

「欲望の奴隷」からの脱出――『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ 自由と闘争のパラドックスを越えて』(1)

 NHK「欲望の時代の哲学」での番組出演が大反響を呼び、ブームを巻き起こしたドイツ人哲学者、マルクス・ガブリエル。「自由」の理念の実験場とも言うべきアメリカの中心地・ニューヨークで、世界が注目している哲学者は何を思い、何を語ったのか。そして、なぜ彼は時代と闘うのか。  当記事は、2020年4月10日(木)発売予定のNHK出版新書『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ 自由と闘争のパラドックスを越えて』の一部を、全2回にわたって先出しで掲載するものです。 人はみな、本

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「愛と性と存在のはなし」第7回 〔最も深い苦悩を語るということ〕 赤坂真理

「愛と性と存在のはなし」第7回 〔最も深い苦悩を語るということ〕 赤坂真理

※連載第1回から読む方はこちら  「あなたの秘密を書いてください」  そう言われたら、あなたは何を書くだろうか。  正直になれるだろうか? 目の前の人に。  いや、  正直になれるだろうか? ほかならぬ自分に。  自分のために。    そんな課題を、2019年度、教えていた大学生の創作の課題に出した。  何年か創作の教師をして、創造性には、この課題がいちばんよかった。いちばん変容が起きた。いろいろな課題を出したけれど、いちばん厄介なのは、才能の欠如でもテクニックの欠如でも

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